就活・転職生のための情報サイト「シュウカツ部!」

【就活対策インタビュー】株式会社ASTRAX 代表取締役・民間宇宙飛行士 TAICHI氏

今回は株式会社ASTRAX、代表取締役・民間宇宙飛行士の TAICHI氏にお話を伺ってきました。

「シュウカツ部!」だけの特別なインタビューです。

ぜひご覧ください!

会社名称 株式会社ASTRAX
取締役 TAICHI (山崎 大地)
設立 2016年7月7日
主な事業 民間宇宙開拓事業全般、宇宙を活用したサービスの提供等
社員数 非公開
会社所在地 〒248-0006 神奈川県鎌倉市
会社HP https://astrax.space

 

 

①御社の現在の事業内容についてお伺いします

 

自分の肩書きは「社長」になりますが、今は「民間宇宙飛行士」をメインとしています。また、「無重力飛行士」として仕事もさせて貰っています。

 

 

事業内容としては、ここでは書ききれないくらいの数の事業を行っております。

ジェット機をチャーターして、無重力の体験をして貰うなど、現在200以上の宇宙事業を行っています。最終的には1000事業を超えていく予定です。

民間宇宙旅行時代が始まった今、人類の生活圏が地表を離れて宇宙へと広がり、地球上のあらゆるものを宇宙に持って行く必要があります。弊社は将来的には太陽系全体を人類の経済圏・生活圏にしていく事を目標としています。

宇宙を使ったサービスは今までにも「プラネタリウム」から「衛星通信」などまで様々あるのですが、そんな中でも、弊社の事業は、「一般人が宇宙に行って、そこで生活をする」というのが大前提であり、そのために様々な宇宙サービスを提供するための事業開発を行っています。

簡単に言えば、「誰もが宇宙で普通に生活出来るようにするための何でも屋さん、あるいは宇宙のコンビニエンスストア」といった感じですね。

 

②現在の事業に至るまでの経緯をお伺いします。

 

起業に至った経緯を話すと、今から20年ほど前に国際宇宙ステーションの運用管制官として働いていた時、両親の介護が始まり、子供が生まれたことあって、家庭の事情がいろいろと重なってしまったことが1番大きな理由です。責任の大きな国際宇宙ステーションの仕事と、子育てと両親介護の両立は非常に難しく、結果的に家庭を優先して国際宇宙ステーションの仕事を辞めたのがきっかけになります。

その後、主夫として子供を連れてアメリカに渡ることになったのですが、そこにも様々な壁があり、その結果自分で宇宙企業を起業することに至りました。

自分で起業すると、社内規程もなく、自分が全ての裁量権を持っており、仕事の内容も働く時間も働く場所も自由なので、いつでも臨機応変に自分のやりたい仕事だけをやることができ、その結果育児や両親の介護と両立出来ると思ったからです。

元々、国際宇宙ステーションの運用管制官として働いていた時は、日本の代表としてアメリカに行くことができました。しかし、独立して個人になってしまうと、アメリカで同じような国際宇宙ステーションの仕事に就くことは非常に難しい。そもそもアメリカで働くためには就労許可を取らなければならず、外国人という立場だとさらにセキュリティの面からも難しかったこともありました。そこで、自分で宇宙関連の会社を作る方が早く、日本とアメリカを自由に行ったり来たりできるので、自分の家庭環境には起業するのが1番適していたというのが理由です。

 

また、国際宇宙ステーションの仕事を辞めた2004年は、アメリカの民間企業が宇宙船を作り、世界初の民間有人宇宙飛行に成功した時期でもありました。

その時、「いよいよ民間宇宙旅行の時代が始まる!」と思い、今後は宇宙飛行士だけでなく一般の人々が誰でも宇宙に行けるようにすることが自分の仕事であり、使命だろうというビジョンを持ち始めました。

その頃、2008年には民間宇宙船が飛び始め、誰でも宇宙旅行に行けると言われていたのですが、宇宙船の開発の遅れや、開発中の事故、リーマンショックなどの影響が重なり、結果的に民間宇宙船による宇宙旅行は2021年まで延期されてしまったんです。

その待ち時間に私は、アメリカの様々な民間宇宙船に搭乗する契約をしまして、様々な民間宇宙船を使って、一般人のお客様を宇宙に連れていくサービスを提供しようと考えました。自分の専門である航空宇宙工学や国際宇宙ステーションの開発、建設、運用の経験を応用すれば、一般人向けの宇宙旅行サービスができるだろうと考え、今の会社を立ち上げていったという流れです。

 

③現在の事業に向いている人の特徴について

 

まず、うちの事業に向いていない方から説明します。

「JAXAに憧れてます。」

「宇宙飛行士の話を聞いて憧れてました。」

「宇宙兄弟、下町ロケットを見て宇宙産業に憧れました。」

といった方々のように、『日本の宇宙開発や宇宙技術は素晴らしい』と思い込んでしまっている方々は私たちの事業には全く向いていません。

というのも、私たちの仕事は国家事業のための宇宙事業ではなく、純粋な民間宇宙事業者だからです。つまり、多額の税金を使った宇宙開発ではなく、一般のお客様からお金をいただいて宇宙サービスを提供しています。民間の力だけで、世界にまだ存在しない宇宙サービスを創り出し、みんなで楽しく宇宙開拓を行うが仕事なのです。

弊社が目指していることは、何の役に立つのかわからないような、ほとんど無意味な自己満足の研究開発ではありません。一般のお客様目線になって、今すぐお客様の個々のニーズに応えるために、宇宙を利用した様々なサービスの提供や事業展開を行っているのです。

そのため、弊社の事業に向いている人の特徴は、決して権力や利権に迎合せず、常に問題意識を持っていて、人のニーズや問題点が理解できて、固定概念に縛られず、普通の人が考えていることとは全く違う発想と提案ができる人が向いていると言えます。

凝り固まっている日本人的な知識や情報や枠に縛られず、日本を飛び出して、世界と同じレベル、あるいはそれ以上の目線や意識で考えられる人、そしてまだこの世に存在しない全く新しい宇宙サービスを自分の力で作り上げていこう!と思える人が向いているんじゃないかなと思います。

 

④TAICHI社長が就活生時代に行っていた対策があれば教えて下さい。

 

就活は大学3年生の夏休みから始めました。

大学では工学部の航空宇宙学科に所属しており、宇宙の仕事に就きたい人は沢山いたのですが、「就活超超氷河期」という厳しい世代だったこともあり、周りの人達は、まったく別の業界に行ったり、採用人数の多いところに行ったりと、とにかく内定が出ればどこでもいいといった風潮でした。

今もそうかもしれませんが、お揃いの就活スーツを買ったり、あちこち企業訪問したり、インターンに行ったり、「面接の達人」というような本を見ながら面接の練習などを徹底するのが当たり前の時代でした。

なので、就活はこういう風にやるものだという常識は知っていましたが、自分はそういった常識から完全に離れていました。

自分は「皆と同じことやっていたら絶対に勝てない」と思っていたからです。

というのも私は他の業界で妥協したりせず、絶対に国際宇宙ステーションの運用管制官としての仕事をしたかったのです。

「こんな仕事をしたいな」とぼんやり考えているレベルではなくて、しっかりと仕事の細部まで見据えていました。

大学3年生の夏に「アポロ13」という映画を観た影響もあるのですが、子供の頃からの自分の夢は「土星に行く」ことでしたので、その為に1番適している仕事をしたいと思っていました。

その目標がしっかり決まっていれば自ずと自分のやりたい仕事は見えてくる。そうやってやるべきことを絞っていました。

勿論、やるべきことを絞るために、それぞれの会社を徹底的に調べ尽くして、色々な企業に行って話を聞いて、自分が本当にやりたいことがちゃんと出来る会社を決めて、そこでこういう事をやりたいということまで決めていましたね。あとは会社側が自分を採りたいかどうかということまで対策をしていました。

具体的な対策で言うと

私の場合、少しイレギュラーかもしれませんが、みんなが就職活動を始める前から、茨城県つくば市にある筑波宇宙センターで開催されていた国際宇宙ステーションの開発企業が集まるシンポジウムに参加し、それが終わった後の懇親会にまで参加したりしていました。

お酒継ぎながら色々なお話を伺うだけでは足らず、本来はその日で終わるイベントだったのですが、私は急遽近くのホテルを取ってもう一泊して、翌日に筑波宇宙センターの隣にあった目当ての企業の事業所に行き、『昨晩懇親会のお話を聞いて、更に企業のお話が知りたくなりました!』と受付にアポ無しで突撃しました(笑)

たまたま私と同じ大学の10歳以上年上の先輩がその事業所の所長をされていたので、いろいろと案内していただき、さらに詳しく話を聞くことが出来ました。

こうした積極的なアピールが功を奏したのか、翌年の春から始まった就職試験の時には、その会社の面接の時点で「君は合格」と言われました(笑)

今まで見せてきた熱意が伝わり、希望する事業所の方からぜひ採用して欲しいという話が人事部の方にしてあったそうなのです。

その面接で、一つだけ質問がありました。「このご時世、希望の部署に配属されるか分からないですが、それでも頑張れますか?」という質問です。

当時の無難な回答としては、「どんな部署に配属されても、勉強だと思って自分の持っている力を最大限に発揮して頑張ります」などと答えるのが正解だと思います。しかし、私はすぐに「その場合は会社を辞めます!」と強気に答えました(笑)

今の時代、ここまで強気でいくのが正しいかは分かりませんが、結果的に私は合格通知を頂いて、希望の部署に配属してもらうことが出来ました。

この経験から就活生に伝えたいのは

相手が求めているものを明確に見極めて、「自分を採ったらお得ですよ!」、あるいは「自分を落としたら損しますよ!」という感じで、自分にどれだけ価値があるかを相手に伝える事、

そして「 圧倒的にズバ抜けた本気の熱意」を持っている事が大切ということです。

私の場合、筆記試験や小論文などの試験でどれだけ点数が取れているか分かりませんでしたが、それを越えるだけの本気の「熱意」と「行動力」をアピールできたことが内定を頂けた一番の要因ではないかなと思っています。

対策というと、少し違うかもしれませんが

周りの人と同じことをするのではなく、自分のやりたいビジョンをストレートに伝えて相手の懐に乗り込む

自分は常にこのやり方で就活に取り組んでいました。

そして、こうした少々強引なやり方は、社会人になった今でも使っています。

例えば、会いたい社長に絶対会えるようなイベントに行って、直接社長に声をかけてお話を伺ってみる事。それがたとえ海外であったとしても。

場合によっては時間や労力もかかるし、リスクが大きく、非効率的と思うかもしれませんが、結果として様々な企業選びに時間を費やして全て中途半端になってしまうより、結局効率良く動くことが出来るでしょう。何より、他の学生とは全く違うアプローチができるので、確実に相手の記憶に残ります。インターンをしてみるのもいいと思いますが、もし自分が本当に希望する職種でなければ時間の無駄ということもあります。

 

積極的な動きをするためには、事前にしっかりと情報収集する必要がありますので、今の学生さんたちに伝えられる対策としては「徹底的な情報収集」と「明確な熱意のアピール」に力を入れる事ですね。

絶対に周りと同じ動きをせず、完全にオリジナルのやり方を見つけて実践してみて下さい。ただし、礼儀だけは忘れないように。熱意があっても無礼だとイメージダウンになります。

 

⑤現在、もし24卒の就活生になるとしたらどのような対策をするか?

 

「自分のやりたいことを明確に決めて、それができる会社を徹底的に調べあげて、あとはそこに思いっきり飛び込んでいく。」

「本当にどうしてもそこが良いなら

絶対に諦めないで何度でも飛び込んでいく。」

「担当者でダメならその上の人に話を通してもらうために飛び込んでいく。最後は社長までアタックする。」

こんな気持ちを持って、あの手この手で、やれることは全部やりますね。

OB、OG訪問 もインターンもガンガン参加していくでしょう。

どうしても実際に現場を見せてもらいたいときは、たとえアポ無しでも希望の会社に突撃すると思います(笑)

その際、「 徹底的な情報収集」と「 明確な熱意のアピール」は必ず行いますね。

⑥自身の経験から社会人として学んだこと

 

僕自身の経験から学んだことは、主に3つありました。

 

1つ目は、「 人の縁の大切さ」です。

 

誰かが誰かを紹介してくれる、その繋がりが本当に大切だと思いましたね。人を頼ると、絶対に自分では出会えないような人にも繋がります。全く想像もしない世界が一気に広がっていきます。

ただ、どうしても方向性が合わない人や、その人と縁があると逆に足引っ張られるなというような人は、すぐにバッサリと切り捨てることも大事です。

信頼していた人に裏切られるとショックも受けますし、そういった嫌な人の場合は距離を置かないとストレスになりますからね。

 

2つ目は、「 無理に自分を作らない事」です。

 

何でも出来ます!出来ます!と答えていては、ストレスが積み重なってしんどくなってしまいますので、無理はしない事です。

無理な事は無理だと言うのが大切というのも学びましたね。そうすれば、無駄に労力を使わずに新しい道が開けます。

 

3つ目は「 とにかくポジティブ、笑顔でいる事」です。

 

自分が常に楽しい雰囲気を持っていれば、働きやすい環境に自然と変化していきます。逆に人の悪口を言ったり、妬んだり、イライラしてしまうと絶対に良い事は起きず、ろくな結果になりません。

常に前向きでポジティブでいられる雰囲気にしていくことが重要だと思います。

 

⑦最後に言い忘れていた事、就活生に向けたアドバイスなど

 

仕事は今、副業も転職も当たり前に出来る時代になっています。そんな時代なので、自分のやりたいことはわざわざ1個に絞らなくても良いと思います。

自分も宇宙の仕事といっても、200以上の事業をやっていますので、楽しく仕事を行う事が出来ています。皆さんも副業が出来る会社だったら絶対に副業した方が良いです。

例えば、飲食の仕事を本業としていても、趣味でホームページを作ることができるなら副業でやってみるのもいいでしょう。

このように全然違う仕事を掛け持つことで、自分の人生の幅が広がり、皆と違う経験を積んでいく事で自分にしか出来ない事が見つかってきます。

これが【強み】になるんです。

あとはシンプルに自分のやりたいことを常に追っかけ続けていくこと。

これを言うと『やりたいことが見つからないです。』という意見を良く聞きますが、

少しでも「やってみたい」と思ったら、それは「やりたいこと」です。

どこかで必ず出来るタイミングやチャンスはやってきますので

その「やってみたい」っていう気持ちは常に心の中に残しておいて下さい。そうした気持ちをたくさん持ちながら、いつも自分のやりたいことを追っかけていく。

そうすることで仕事も生活もモチベーションが上がっていくし、それがたとえ大変でも辛くても、「絶対やりたい」と思えるような夢をいっぱい持って、その癖を身につけていくと、常にやりたい事ができる環境になっていって何でも楽しくなっていきます。

夢とかビジョンを持たずに働いていると、仕事はただただ辛いことしかないですからね。

自分がやりたいことがどれだけいっぱいあるかどうか考えてみてください。そしてその実現には絶対的に『人との縁』が大事になってきます。

人との縁があればある程、自分にチャンスを運んできてくれますから。

あとは、不得意なことや嫌なことは上手く避けて(あるいはできる誰かに任せて)、やりたいことだけを残していくことが今後の人生を楽しくしていくためには大切です。

自分が楽しいなと思える状態をいかに作るかってことを優先するべきだと思います。

もう1つだけ就活生に向けて言っておくとすると「何があっても死んではいけない」ということです。

就職活動の失敗で絶望してしまい、自殺してしまうという話を最近よく聞きます。

百歩譲って「死ぬギリギリまでの挑戦」はいいとしても、本当に死んでは行けません。

そんな過酷な状態から生還した人は、もう怖いものはないはずです。

死ぬ覚悟があるなら、それ以外のことは何でも出来るでしょう。最強です。

本当に死ぬ気になって、そこからなんとか這い上がろうという気になったら、ぜひ弊社に来てください。

僕が何とかしますから(笑)

電車に飛び込むくらい覚悟があるなら、宇宙に放り上げるだけの事も出来るので、世界のヒーローになれますよ。

 

最後に、就職だけがゴールではないと言うことを忘れないで下さい。やり直しはいくらでもききます。

就職せずに旅にでたり、アルバイトで経験を積んでから就職したり、自分で起業したりと、やり方は幾らでもあるので、皆と一緒にならなかったからといって自分を追い詰めないようにして頂きたいですね。

就職も大事ですが、自分の人生を思いっきり楽しんだもの勝ちですので!