今回は irodori Branding 株式会社 代表取締役 村本氏にお話を伺ってきました。
「シュウカツ部!」だけの特別なインタビューです。
ぜひご覧ください!
会社名称 | irodori Branding 株式会社 |
取締役 | 村本彩 |
設立 | 2019 年8 月14 日 |
主な事業 | ・マーケティング戦略に関するコンサルティング
・ブランド構築、戦略に関する企画、コンサルティング及びプロデュース ・デザイン及び広告の企画、制作及びディレクション ・映像の企画、制作、編集及びディレクション ・組織開発及び人材育成支援に関する業務 |
社員数 | 6名(取材時) |
会社所在地 | 〒158-0083
東京都世田谷区奥沢1-57-12 シャリオ自由が丘202号室 |
会社HP | https://irodori-branding.com/ |
①現在の事業内容についてお伺いします。
『イロドリブランディング』は名前の通り、主にブランディングを行う会社です。どのようなことをやっているかというと、『商品』『サービス』『会社』『人』が本来持っている魅力を正しく伝えていくためにスポットライトの当て方を変えていく、そんな仕事になります。世の中では日々、沢山の商品やサービスがより良い世の中にしたいという想いを持って生まれてきます。しかし、これが思うようにお客様に伝わっていないと、日の目を見ずに消えていってしまうんです。そんな悲しい現実にならないように考えていくことを日々行っています。
ブランディングを大きく分けると2つありまして
1つ目は、お客様に向けて価値を伝えていくWebや広告など『外側』に向けたブランディング。
2つ目は、社内の仲間に向けて自分たちのビジョンやミッションを共有していく事で一致団結を図るための『内側』に向けたインナーブランディング。
写真①企業でのブランディング研修の様子
こうしたお客様との絆作り、そして仲間との絆作りをブランディングを通して支援させて頂いております。
②就活生のブランディングはどのように行っていくべきでしょうか?
本来持っている魅力を正しく伝えていくためにスポットライトの当て方を変えていく、というブランディングの手法は就職活動にも応用できるので、面接の場で自分の価値をどう伝えていくかといった講演などもこれまでにさせて頂いています。
『自分で自分の価値を認識する』
『相手に理解して貰えるように伝える』
ビジネスでも就活の面接の場でも同じプロセスだと思います。
学生が自分のどこが売りなのか?
客観的に自分を見た時に把握しているかが第1歩になりますね。
また、とても素敵な魅力や強みを持っているのに、伝え方が分からず相手に届かないという人も多いので、自分の売りを1番分かりやすく伝えていくにはどうすれば良いのかを考えていく事が必要になってきます。
例えば『私は人を繋ぐのが強みです。』と言われても抽象的で伝わりにくいですが
『これら〜のエピソードがあって…こうした理由で人を繋ぐのが得意だと思いました。』と具体的な話が出来ればイメージのしやすさは段違いです。
仮にAさんとBさんの2人がこの同じ強みを言っているとすると、その力がある事を説明するためのエピソードは全く違ってきます。
具体的なエピソードにこそその人らしさが出てくるので、自分の売りとそれを客観的に裏付けるエピソード、そして会社が求めている視点を合致していく事こそ、就活を乗り越えるカギになるのではないでしょうか。
③前職のお仕事に向いている人は?
私は新卒で入社したサントリー時代は営業を経たのち、ブランドマネージャーという職種に約10年従事していました。ブランドマネージャーの仕事では、決められたことをやることよりも、自分のアタマで仮説を立て、企画・実行・検証を繰り返すことを求められます。PDCAのプロセスを徹底的に叩き込まれました。
写真②サントリーのブランドマネージャー時代
コンセプトを決めたり、それにあったパッケージのデザインはどんなものかな、伝えていくにはどんなプロモーションが良いのかなと白紙の状態から決めて作っていく感じなので、『自分で決めるのがプレッシャーになる人』は向いていないかなと思います。
何か1つに決めるということは、他のすべての選択肢を捨てることにもなります。上手く行くかどうか分からない時に、残りの選択肢を捨てるのが怖い。
もしかしたら他の選択肢が良かったんじゃないかな?と選ばなかった99%の選択肢を気にするよりも、自分が選んだ選択肢を正解にしていく!という気持ちで仕事に臨める人の方が向いていると思います。
以上をまとめると、
・白紙の状態から作っていくのを楽しめる人。
・『これ!』と決めた事を正解にしていく人。
華やかな仕事に見えると思いますが、結構胆力が必要な仕事です(笑)
ただ、これからの時代、皆そういう力を持って進んでいかないと生きづらい時代になるのではないかなと思っています。
先を予測しづらい世の中になってきているので、今までのように決まっている答えを導きだすような『計算では無い力』がこれから大事になってくるのではないかなと考えています。
④営業職に向いている人、成果を出す人の特徴は?
営業とブランドマネージャーという2つの職種を経験して、どちらにも共通して向いているなと思ったのは「自分の商品をどうやったら売れるか」ではなくて、「相手が困っている事に対して自分が力になれる事って何だろう」という視点を持つ人でした。
この『お客様目線』 こそビジネスの本質かなと思っています。
後は「相手の気持ちを分かっている人」ですね。
我が家は、私も夫も営業職だったのですが、私の場合、その環境下で相手の気持ちを見るのが得意で、夫はその人の人間性の部分を見ていて、懐を掴むのが上手だったんです。
相手が何を欲しているのかな?とそれを必要なタイミングで察して動ける人が向いているなと思いました。
相手に頼まれる前より先に行動出来るというのは「感動」に繋がるので、周りとは一味違うなと思われます。
相手の懐に入っていける人はそういう特徴があるなと思います。
⑤現在の事業に至るまでの経緯についてお伺いしていきたいと思います。
ブランドマネージャーの仕事が好きで天職だと思っていたのですが、その仕事で大失敗をしてしまったのが1番の転機でした。
具体的に言うと、自分がゼロから立ち上げに関わった商品が、悲しいほどに売れなかったんです。
そんな経験をするまでは自分はこの仕事が好きだし、得意だし、向いているし、才能もあると思っていました。
しかし、売れない商品を作って数億円の大赤字を出してしまったことから、自分の能力に対して疑心暗鬼になってしまい、(この仕事向いていないのかな)(このまま続けていいのかな)と悩むようになりました。
その頃、育休に入ったのですが「育休インターン」というものを見つけ、キャリアの閉塞感を打破できるかもと思い参加したんです。
自分の能力に対して、次の足掛かりとなる突破口が欲しかったんだと思います。
というのも、自分の勤めていたサントリーはとても大きく多様な仕事がある会社だったので、会社の中での部署異動という視点でしかキャリアを見ていなかったんです。
しかし、インターン先では「10年も同じ会社に勤めているなんて凄いね」と言われました。
自分の価値観では、会社を辞めるというのは凄く大きな事だと思っていたのですが、部署異動感覚で転職している人もいるんだなと衝撃を受けました。
会社の外にも視点を持ってみたら、もっとベストな選択肢があるのかもしれないとそこで初めて考えたんですね。
ちなみに自分の最大の強みは、会社員時代『ブルドーザー』と呼ばれるくらい、臆せずに道なき道を進んでいけるタイプで挑戦と創造が好きな性格でしたので、これまでの自分の「当たり前」を覆す世界に出会い、面白そうだなと思ったのが会社を辞めて起業するという選択をした理由として一番大きかったです。
しかしその時は、大失敗をした後だったので、自分にブランディングの才能があるとは到底思えない時期だったんですね。
ですので、ブランディングで独立なんて全く思っていませんでした。ライフシフトが起きた時に望むキャリアの構築を支援していけるような「キャリア支援」のお仕事はして行きたいなと漠然と思って退職しました。
しかし蓋を開けてみると、会社以外で出会った人達からブランディングのやり方を教えて欲しいという声が凄く多くて、そんな事を知りたい人が多いんだなと驚きました。
自分の周りでは当然と思っていたことが、身を置く場所を変えたら凄く価値になったんです。
これがきっかけで今のお仕事を始めようと思いました。
写真③ブランディング講座の受講生と(前列中央・村本氏)
⑥就活で落ちてしまった時に、必要な対策は?
落ちてしまうと落ち込みますが、そんな時こそ冷静に何が原因かを分析するのが大事かなと思います。
就活もマッチングなので、自己分析、自己PRをどんなにやっても、採用する会社のお困り事や、やっていきたいことにマッチしていなければ採用されません。
自己分析をして『私はこれが好きです。』『これが得意です。』と語れるものを見つけることも大事ですが、それと同じくらい大切なのは、その会社で自分はどう役立つ人間になれるか、自分が成長していったならば、この会社にこう貢献が出来るという視点を持って話が出来るかどうか。
そのためには「この会社はどういう人を欲しているのだろう」「求める人物像に自分はマッチするだろうか」というように、会社のことを知る努力も大事ですね。
相手の視点に立って対策していく事こそ、やはり大切なのかなと思います。
⑦自身が就活生時代に行っていた対策があれば教えて下さい。
まず自分の売りが何なのか、何が好きで、何が強みかを考えていましたね。
単純に内定を取るというよりかは、仕事を通してどんな人間になりたいかといった大きなイメージで選んでいました。
学生時代に力を入れたこと(=ガクチカ)に関しては、私は福岡ドームでビールの売り子のバイトについて話すことが多かったです。
歩合制なので同じ勤務時間でも売り上げによってお給料が変わるという点が私にとっては魅力的でしたので、沢山いる売り子の中で、どうやったら自分を選んでもらえるかを考えるようにしていました。
面接ではそういった戦略思考を持って、売り子としてナンバーワンになれた経験を話したので無敵のエピソードでしたね(笑)
写真④大学時代のアルバイトの様子
また、他にもいくつかエピソードを持っておいて、面接で試してみてウケが良くなかったら、伝え方を変えてみたり、切り口を変えてみたりとPDCAを繰り返し工夫していました。
「戦略的にチャレンジできる人」「道を切り開いていける人」
ビジネスとして分かりやすくイメージできる話を面接で出来れば、良いご縁に恵まれるのではないでしょうか。
⑧自身の今までの経験から社会人として学んだことは?
会社で大失敗をして大赤字を出してしまったことは、当時、人生の汚点だと思っていたのですが、その経験がなかったら会社を辞めて起業するという選択肢も生まれていません。
また、汚点だと思っていた失敗も「そんな大きな赤字を出すくらい大きなビジネスを動かしていたということだからすごい!」とプラスに捉えてくださる声をいただいたことで、その経験自体の捉え方が徐々に変わっていきました。
出来事単体を点で見ると失敗であっても、大きく地続きの線で見てみれば、これで良かったなと思えることは社会に出てからたくさんありましたね。
写真⑤共にブランディングに取り組むメンバーと(中央・村本氏)
就活でもうまくいかず、落ち込む事もあると思いますが、その時は正直に悔しさや悲しさをしっかり味わいきるのが良いです。すると、次にどうするかを冷静に考えられるのでエセポジディブにならず、きっちり、悔しい悲しい気持ちをリセット出来るんじゃないかなと思います。
『出来事を活かすも殺すも自分次第であるな』というのが、今までの経験で学んだ事になります。
まずは主観で 「悔しさ」や「悲しさ」を味わう。そして少し落ち着いたら、脚本家のように客観的に自分を見て「次のストーリーをどのように展開させていったら面白くなるかな?」というように捉えてみることで前向きに進んでいけるのではないでしょうか?
⑨PR事項、就活生に向けたアドバイス
「ブランディング」というメソッドを、ビジネスをしている方々に向けてお伝えしてきたのですが、会社だけでなく、今後、先の見えない不確実な時代にキャリアをどう切り開いていくか、個人の方も活かせるように色んな所でブランディングの考え方を普及していければと思っております。
私は最近、山梨県に移住したのですが、2023年夏、宿泊機能付きのコワーキングスペースを作る予定なんです。
銀行から融資をいただき多額のお金を投資して場所を作るということで、これまで以上にチャレンジになるのですが、実は起業当初からやろうと思って計画していたのではなく、一歩一歩出来ることを積み上げていった先に、「こんな場所を作りたい!」と新しいチャレンジとして沸いてきたものになります。
計画を立てて進んでいくのも大事なのですが、動いてみて、想定もしていなかったものに出会った時、まだ見ぬ可能性に期待して進んでいくのも良いことなのかなと思っています。
動いてみたからこそ想像もしていなかった可能性に出会えるということを体現して伝えて行けたらと思いますし、完成した施設に訪れる方にとっても、自分の人生が動き出す感覚を体感してもらえたら嬉しいなと思います。
写真⑥施設建設中の山梨県北杜市にて自社メンバーと(左・村本氏)
また、他には『会社や肩書きを脱いだとしても、自分の力で食べていけるようになろう』というテーマで、転職といったキャリアシフトを考えている方々を中心とした無料のセミナーを3月の中旬から行うので、是非、参考にして頂ければ幸いです。
リンク→https://irodori-branding.com/theone_opt_lp/index.php
就活生にとっても、学びになるのではないかなと思います。
就活生に向けたアドバイスとしては
内定を取るのをゴールとしてしまうと、短期的な視点で焦ってしまうと思うのですが、内定はあくまで通過点、スタートラインということを忘れないで欲しいです。
そして何処に向かうためのスタートラインなのか、そういった面で、自分の人生にとって大事な時間という事でゆっくり向き合って貰えればなと思います。
仮に望んでいたスタートラインじゃないとしても、そこからどう行くかは、それだけで決まるものではありません。
良くも悪くも「点」に過ぎないので、そこからどうして行くかは幾らでも変わっていけるので。
どんな所からでも、幾らでも変えられるんだなということで、気軽さを持って、肩の力を抜いて取り組んで貰えれば良いのかなと思います。応援しています!