ストレスは看護師の本音の転職理由としてよく挙げられています。
ずっと抱えてきたストレスを解消して働くことを目指して転職するのは、より良い働き方につながる重要なポイントです。
ただ、転職先でもまた同じようなストレスを抱えてしまったのでは意味がありません。
この記事では看護師が転職するほどのストレスを感じる理由と、ストレスの負担が少ない職場に転職する方法を紹介します。
看護師の転職理由としてストレスは上位
看護師が転職する理由には給料やキャリアアップの悩みがあったり、家庭生活との兼ね合いがあったりする場合もあります。
しかし、全体としてみると転職理由としていつも上位を占めているのがストレスです。
他の職種でもストレスが原因で転職しているケースはありますが、とりわけ看護師がストレスがつらいと思って転職しているのはなぜなのでしょうか。
接客サービスの性質があるからストレスが多い
看護師の仕事は医療における接客サービスという性質があります。
患者を第一に考えて献身的な看護サービスを提供しなければなりません。
医師や他の医療スタッフのサポートをする役割も果たします。
相手を優先して考えて仕事をしなければならないため、看護師の仕事はストレスを感じやすいのです。
セルフチェックによる自己管理が大切
看護師はストレスを抱えているかどうかを適宜確認するのが大切です。
ストレスはかなりひどい状況にならないと自分では気付かないこともあります。
セルフチェックはアンケート形式のストレスチェックサービスを使うと簡単におこなえます。
厚生労働省でも「こころの耳」というポータルサイトを運営していて、ストレスセルフチェックや疲労蓄積度セルフチェックなどを無料で利用可能です。
精神科や心療内科のクリニックでもストレスチェックのオンラインサービスを提供しているので活用してみましょう。
ストレスに早い段階で気付いて自己管理をするのが看護師にとって大切です。
簡単なストレス解消では解決できず、原因が職場にあるときには転職するのが賢明な判断でしょう。
看護師が転職したいと思うストレスの原因
看護師はストレスが多い職種だと知られているので、ある程度のストレスなら覚悟している人も多いでしょう。
それでも転職したい思うほどにストレスを感じてしまうケースが多々あります。
看護師が転職を決意するほどのストレスの原因にはどのようなものがあるのでしょうか。
医療に関わる重大な責任とプレッシャー
看護師の仕事は医療に関連するのが特徴で、人命や生活水準に関わる重大な責任を伴います。
わずかなミスによって患者が重体になるケースもあり、最悪の場合には亡くなってしまうケースもあります。
常に強いプレッシャーを受けながら働かなければならないのは大きなストレスです。
特に看護師の数が少ない現場や、担当する患者が決まっている現場では責任が重くなります。
周囲からの期待が大きいと重圧も大きくなりがちです。
ベテラン看護師になると慣れると言いますが、なかなか慣れられずに悩み続ける人もいます。
他の職場でもう少し負担を軽減したいと考えて転職するのももっともなことでしょう。
人間関係やハラスメントの問題
看護師は患者や医師、同僚などとのコミュニケーションが重視される職種です。
人間関係を良好に保つのは現場で働く上で重要になります。
しかし、患者も他の医療スタッフもストレスを抱えているので、なかなか理想的な形で人間関係を樹立できずに苦労しがちです。
職場によっては医師からハラスメントを受けることもあります。
モンスターペイシェントによってつらい状況に立たされることもあるでしょう。
職場内の人間関係や患者や家族との関係で大きなストレスを抱えることはよくあります。
居場所がないと感じられるようになって転職を決意する看護師もいるのが実情です。
不規則な勤務時間による生活リズムの乱れ
看護師の勤務時間が不規則なのもストレスの原因になります。
病院では土日祝日も含めて265日24時間、看護師が常駐しなければなりません。
夜勤を交代制で担当すると生活リズムが乱れてしまい、よく眠れない日々を送ることになりがちです。
睡眠が十分に取れていないと疲労も蓄積しやすくなります。
身体のリズムも安定せず、生理不順などのトラブルに見舞われている看護師も少なくありません。
土日祝日の出勤もあるのが普通で、休みを取れるのがだいぶ先になってしまうこともあります。
心身ともに疲れているのに休めないとなるとストレスが大きくなるでしょう。
安定して休める職場や夜勤のない職場で働きたいと考えて転職を目指すのに十分な理由です。
ワークライフバランスの悩み
勤務時間が不規則なのに加えて残業も多くて仕事を中心にした生活を送らなければならないのも看護師の仕事の悩みです。
ワークライフバランスを整えてプライベートの時間も充実させたいと思っていても難しい場合がよくあります。
シフト制の現場が多いですが、残業があるのが前提でプライベートの予定を組みにくいのが悩みになりがちです。
休みの日のつもりでも現場からコールがあって急に出勤しなければならない場合もあります。
ワークライフバランスの悩みを解消できる職場を探して転職するのは、近年の働き方改革の観点から魅力的です。
働きやすい待遇を重視する施設も増えているため、ストレスを抱え続けるよりも転職しようと考える看護師が多くなってきています。
感染や医療事故のリスク
看護師がストレスを感じる理由として現場での感染や医療事故のリスクも挙げられます。
感染症を患って受診する患者もいれば、感染症治療のために入院する患者もいます。
看護を担当していると濃厚接触をすることになるため、感染リスクが大きいのは確かです。
いつ感染によって重篤な状態になるかわからないと考え始めてしまうと大きなストレスになります。
また、医療の責任との兼ね合いで医療事故に対する懸念も深刻です。
ヒヤリハットで済まずに患者に悪影響が出るトラブルが発生してしまうと、故意や不注意でなかったとしてもいたたまれない気持ちになります。
その重圧に耐えきれずに精神的に病んでしまう看護師もいます。
感染や医療事故のリスクは看護師にとって避け難いものですが、ストレスの原因としても大きな比重を占めています。
給料の水準が低くて納得できない
厳しい労働条件で大きなストレスを抱えながら働いているのに給料が少ないのが悩みになる看護師もいます。
ストレスを助長する原因として多いのが給料の水準の低さです。
医療現場で看護師と同じように国家資格を持って働いている医師や薬剤師などに比べて給料は低めなのは確かです。
必死に働いて医療に貢献しているのに給料が低く、昇給もあまりないのに納得できないのがストレスになりがちです。
職場によって給与水準にも違いがあり、スキルや経験に対する評価の仕方も異なります。
転職でもっと待遇の良い職場を目指すのは賢いストレス解消方法でしょう。
看護師が転職によってストレスを減らす方法
看護師が転職によってストレスを減らすにはどのような方法が適切なのでしょうか。
新しい職場でまたストレスを抱えないようにするために必要なプロセスを紹介します。
軽い気持ちで転職先を決めてしまうと失敗する可能性があるので、できる限り確実性の高い方法を選んで転職活動を進めましょう。
ストレスの原因を客観的に分析する
ストレスで悩んできた看護師が転職するときには、自分の抱えているストレスの原因をできるだけ具体化するのがまず大切です。
上で紹介したように様々な原因によってストレスを受けることがあります。
人によって何がどのくらい大きなストレスになるかは違うので、「自分の場合はどうか」という視点でストレスの原因を考えてみましょう。
客観的な視点で分析することで、転職先に何を求めれば良いかを考えやすくなります。
夜勤が悩みなら日勤のみの待遇の求人を探したり、クリニックやデイケアセンターのように夜勤の必要がない職場を選んだりするのが効果的です。
具体性を重視して分析をおこない、ストレスの原因をリストアップしましょう。
現職で満足している点を分析する
リストにした全てのストレスの原因を解消できたとしても、転職後に新しいストレスが発生する可能性があります。
現職では満足している点についても分析してリストにしておきましょう。
現職の待遇や職場環境が転職後にも当たり前だとは限らないからです。
残業が頻繁にあるのは悩みでも、時間が短いのは魅力という場合もあります。
例えば、転職後に残業の頻度は減ったけれど、残業時間が1時間未満だったのが2時間に及ぶようになるとストレスになる可能性があります。
現状の待遇を客観的に見て、転職後になくなってしまったらつらいと思うものがないかを考えてみるのが大切です。
重要な条件になるのでじっくりと時間をかけて分析してリストを作り上げましょう。
条件を満たす職場を探す
自己分析を終えたら具体的に職場の候補を探す段階に入ります。
ストレスの原因を解消できることと、現職で満足している点を満たすことを条件として候補を探しましょう。
職場の種類や勤務条件などは求人情報から判断することができますが、現場の実態について調査するのは簡単ではありません。
残業の状況や人間関係の樹立しやすさ、患者の様子などについてもストレスの負担を減らすには調べておきたいポイントでしょう。
職場見学に申し込むのは状況を把握する上で有効な方法です。
病院やクリニック、介護施設などでは転職を希望している看護師のために職場見学の機械を設けていることがあります。
現場を見て回れるだけでなく、看護師や他の医療スタッフと話をする機会も得られるのが魅力です。
実際に働いている人たちの生の声を聞くと本当に条件を満たす職場かどうかを判断しやすいでしょう。
転職エージェントに相談する
転職エージェントに相談するのは転職によってストレスを減らすのに効果的な方法です。
転職エージェントは病院や介護施設などから人材紹介の依頼を受けて、転職したいと考えている看護師に紹介をしています。
施設に出入りをしていることに加え、転職を希望する看護師の悩みを聞いているので職場の事情をよく理解しています。
今まで抱えてきたストレスの原因や、新しい職場に希望することを伝えると、ストレスを減らすのに最適な職場を紹介してもらえるでしょう。
転職エージェントはストレスの原因を分析する段階でもサポートしてくれるのが魅力です。
何がつらいのかを打ち明けると、第三者の視点でストレスの原因をリストアップしてくれます。
その結果に応じて候補を探してくれるので、ストレスの原因をなくせる転職先をスムーズに見つけられるでしょう。
転職エージェントは転職活動を総合的にサポートしてくれます。
転職活動のストレスを軽減するのにもつながるので、忙しさに追われている看護師にとって魅力的なサービスです。
転職後にセルフチェックを継続する
慎重に考えた条件を満たす職場への転職に成功したら満足だと思い込まないのも大切です。
実際に現場で働いてみると多かれ少なかれストレスを受けることになります。
また、新しい職場に慣れるまでの数週間はストレスが大きくなりがちです。
この期間も含めて転職後はセルフチェックを続けて、今までよりもストレスが減ったかどうかを評価しましょう。
十分な準備をして転職したならきっとストレスは軽くなっていきます。
セルフチェックの結果が改善すると前向きな気持ちも生まれやすいので、転職後は定期的に実施していきましょう。
まとめ
看護師が転職したいと考える理由として職場で受けるストレスは大きな比重を占めています。
看護師は様々な角度からストレスを受ける可能性がある職種なので、我慢できなくなることもあって当然です。
転職によってストレスを減らすことはできるので、前向きに検討してみましょう。
ストレスの原因を分析して解決できる職場を選ぶのは最低条件です。
さらに現職で満足している点も満たしている職場を選び出せればきっとストレスが減ります。
転職エージェントのサポートを受けると自己分析をしやすくなり、転職先もスムーズに選び出せます。
自分だけではストレスを減らせるかが不安だと感じているなら、転職エージェントを有効活用しましょう。