外資系企業への転職を考えている人の中には、年収UPを目的にしている人も多いのではないでしょうか。
外資系企業は基本的に「実力主義」なので、成果を出せればそれだけ高い報酬が期待できるといわれています。
ただし、転職時の給与交渉には注意が必要。マナーやモラルを意識していないと、返って失礼になってしまうこともあるでしょう。
今回は、外資系企業へ転職する際に意識しておきたい「給与交渉のコツ」「交渉時の注意点」を紹介します。
外資系企業の特徴
そもそも「外資系企業」とは、どのような企業なのでしょうか。ここでは、外資系企業の特徴について詳しく解説します。
外資系企業とは
一般的に外資系企業と呼ばれているのは、海外の企業が日本に進出し「日本での子会社」として立ち上げた企業のことを指します。
他には、海外企業が日本へ進出する際に、日本企業から出資金を集って会社を設立する場合や、海外企業に買収された日本企業など様々です。
ニューヨークに本社を構える投資銀行「ゴールドマン・サックス」、同じくアメリカに本社を構える生命保険「アフラック」などが外資系企業にあたります。
また、日本でもおなじみの「ジョンソン・アンド・ジョンソン」は、日本では外資系企業として、世界では「最大級のヘルスケアカンパニー」としても知られています。
外資系企業は「実力・成果重視」
外資系企業の大きな特徴は、とにかく「実力主義」「成果重視」ということです。
性別・年齢・キャリアに関わらず、とにかく「成果を挙げた人がのし上る」業界。
日本でもその流れは頭っているものの、やはり「年功序列」が健在しているのが現状でしょう。
社会人としてのキャリアや業界での認知度が浅かったとしても、実力主義の外資系企業なら、年齢やキャリアに関わらずチャンスが広がっています。
ただし、実力主義の裏を返せば「成果が出せなければ雇用が続かない」とも考えられるため、やる気と継続することへの覚悟が欠かせません。
常に成果を求めて努力できなければ、外資系企業で活躍し続けることは難しいといえるでしょう。
外資系企業は「即戦力」を求める
日本企業ではキャリアが浅い人材を採用して「育成する」という研修プログラムも充実していますが、外資系では「即戦力」が求められることがほとんどです。
そのため外資系では、新卒採用をほとんどおこなっておらず、即戦力となる中途採用が採用の中心といわれています。
なぜ外資系企業が即戦力を求めるのかというと、大きく分けて2つの理由が考えられるでしょう。
- 即戦力があればすぐに会社の利益になるから
- 基本的に人員不足であるため、新人研修にかけられる余裕が少ないから
このように、外資系企業では中途採用を積極的におこなうことによって、会社にとって即戦力となる人材を見極め、会社の利益につなげています。
また、外資系企業では一般的に「人員不足」であるため、すでに新人研修を終えている中途採用希望者をリクルートすることで、研修にかける時間と費用の削減を狙っています。
ただし、コンサルタントや金融系の企業では積極的に新人研修制度をおこなっている場合もあるため、転職前に確認しておくといいでしょう。
外資系企業は「平均年収が高い」
外資系企業の平均年収は約800万円です。
日本企業における30代男性の平均年収が約500万円であることからも、外資系企業の年収はかなり高いことが伺えます。
なぜ外資系企業の年収が高いかというと、日本企業にある「退職金制度」「福利厚生制度」を採用していないところが多いからです。
退職金制度などにかける分まで月々の給与に反映されているため、外資系では平均年収が高くなりやすいといえるでしょう。
また、企業によっては成果報酬のインセンティブをかなり獲得できるところもあるため、年収1,000万円を超える人も少なくありません。
キャリアアップや年収アップを狙って外資系企業へ転職を考えている人は、応募する企業の平均年収やシステムをしっかりと確認しておきましょう。
外資系企業は「個人」重視
日本企業では「縦のつながり」や「横のつながり」が多く、上司よりも先に帰ることをよしとしなかったり、勤務時間外の付き合いがあったりします。
一方で、外資系企業では同僚同士の付き合いもドライな傾向があります。
仕事とプライベートをきっちり分けている企業も多いため、「会社帰りに上司に付き合わなければいけない」ということもほとんどありません。
成果を出すためにはチームワークのよさが大切ですが、チームでの雰囲気を大切にしながらも「自分の仕事を終えたら帰宅する」というスタイルが一般的です。
企業によって特色は180度異なる
外資系企業の特徴をまとめると「実力重視」「即戦力を求める」「平均年収が高い」「個人主義」などですが、外資系といっても様々な企業があります。
一般的に「新人教育には力を入れない」傾向があるものの、企業のジャンルによっては新卒採用でしっかりと人材育成をおこなう企業も増えてきました。
また、日本企業より平均年収が高いといっても、どのくらい企業の業績に貢献できるかによっても年収は異なるでしょう。
外資系企業はそれぞれの特色を持っているため、応募する企業の詳細を調べてみることは非常に大切です。
外資系企業へ転職したいと考える人へ
外資系企業への転職を考えているなら、それに見合った「実力」を兼ね備えていることは、とても重要なことです。
ここでは、外資系企業へ転職したいと考える人にぜひチェックしてもらいたい項目をピックアップします。
「実績」はあるのか?
外資系企業では即戦力が求められるため、「前職における実績」はかなりの確率で採用に関係するでしょう。
ただ単に「○○円欲しい」とアピールする人もいますが、それだけでは面接官の気持ちを揺さ振ることはできません。
「前職では△△プロジェクトのリーダーとして会社の利益率を○%アップさせた」など、具体的な数字や実績を盛り込んだアピールを心がけてみてください。
「英語力」のレベルは?
外資系企業では、海外にある本社とのやり取りや、場合によっては海外勤務や海外出張などがある場合も少なくありません。
そのため、基礎的なビジネス英語の知識やそれに伴うアピールは必須中の必須といえるでしょう。
外資系で働く場合の英語力の目安は、日常会話レベルが一般的です。
メールなどのやり取りが中心であれば「TOEIC700点程度」、外部との打ち合わせや直属の上司が外国人である場合は「TOEIC800点以上」あると安心でしょう。
グローバルな感覚を持っているか?
一般的に外資系企業では「日常会話レベルの英語力」が求められますが、それと同じく「グローバルな感覚」も重要視されます。
企業によっては社員のほとんどが日本人で、英語を使うシーンがないというところもありますが、個々を尊重するグローバル観点は必須!
いくらTOEICの点数が高くてもグローバルな感覚やコミュニケーションスキルが低い場合は、外資系企業のスタイルに馴染めないこともあるでしょう。
外資系企業へ転職!面接時に「年収や給与交渉」はNG?
外資系企業は実力主義であることから「自分の過去実績」のアピールが大切ですが、それに伴う「給与交渉」はOKなのでしょうか?
「面接時の給与交渉は失礼になる?」「給与交渉時のNG対応が知りたい」という人は、ぜひ参考にしてください。
年収や給与交渉はOK!
はじめに、日本人は「面接時に給与の話をすることはご法度」と感じている人が多い点について考えてみましょう。
「給与は企業側が決めるもの」「給与の話を持ちかけるのは失礼」といわれることもありますが、海外では自分の能力に対する報酬額はしっかりとアピールするのが一般的です。
近年では、日本企業でも給与交渉を認めている企業も増えてきているため、積極的に交渉しても問題ありません。
ただし伝え方には注意が必要!
自分の能力に対する給与交渉は可能ですが、伝え方やタイミングを間違えてしまうと返って印象を悪くしてしまいます。
「最初に給与交渉する」「長々と自分の実績を語る」「しつこく交渉する」などは、面接官に不快感を与えてしまう典型的な例でしょう。
最悪の場合「お金のことしか考えられない人」「場の空気が読めない人」と判断されるリスクも少なくないため、給与交渉は慎重におこなう必要があります。
転職時の年収は「企業内の基準」で決定されることがほとんど
転職時の給与決定は、前職の給与を元に額を決定することが多いでしょう。
基本的には「転職先の企業における基準」で決まるため、必ずしも自分が望む年収になるという保証はありません。
そのため、自分の中で「理想の額に届かなかった際の対応」も考えておくといいでしょう。「年収○万円以下なら他の企業を探す」「入社後、実績を出せば○万円アップは可能か」など、いくつか選択肢を持っておくことをおすすめします。
年収や給与交渉を成功させる秘訣は?
ここでは、面接時における給与交渉を成功に導く「交渉のコツ」を紹介します。
交渉の「タイミング」を見計らう
給与交渉を成功に導くコツは、伝えるタイミングを見計らうことです。
基本的には、一次面接の終盤で、面接官から「何か質問はありませんか?」と聞かれたタイミングで切り出しましょう。
もしくは、面接官から給与のことについての話が出たタイミングで、こちらの意見を伝えるのがおすすめです。
面接の序盤や聞かれてもいないのに給与交渉を始めてしまうと、面接官に与える印象を悪くしてしまう可能性もあるため気をつけましょう。
自分の「価値」をシンプルに伝える
ただやみくもに「年収は○万円以上欲しいです」と交渉しても、面接官が明確な価値を感じなければ、交渉が成功する確率は低いでしょう。
交渉を優位に持ち込むためには、まず「前職での実績やエビデンスを準備しておく」ことが欠かせません。
「自分にはこれだけの価値があるし前職ではそれを成し遂げてきた」とシンプルに伝えられれば、面接官はその人材に価値を感じ、提示された交渉内容にも検討しやすくなります。
希望年収を明確な数字にしない
心の中では「年収○万円は欲しい」と思っていたとしても、希望年収をそのまま口にしてしまうのは上品ではありません。
具体的な数字を伝えるのではなく「前職で身につけたスキルを活かせるため、年収は前職の○%アップを希望します。」など、抽象的に提示しましょう。
転職先企業の情報は隈なくチェック
給与交渉を成功させるためには、転職先企業の平均年収やポジションによる年収に違いなどを調べておくようにしましょう。
ある程度の平均年収を把握しておくことで、面接官が提示した金額が妥当か妥当ではないかが判断できますよね。
転職先企業の平均年収に加えて、同ジャンルの平均年収まで調べておくとより役立ちそうです。
年収や給与交渉時に気をつけたいこと
外資系企業での給与交渉には「タイミングを見計らうこと」「エビデンスを示すこと」が大切でしたが、それだけでは不十分です。
ここでは、交渉時に気をつけるだけでさらに交渉成功率がアップする秘訣を紹介します。
自信を持って交渉する
「こんな額を交渉していいのか」「本当に大丈夫なのか」など、交渉時には不安になってしまうこともあるでしょう。
しかし、自信のなさは声や表情・仕草などを通して面接官に伝わってしまいます。
外資系企業では「即戦力となる人材」「企業にとってプラスになる人材」を求めているため、自分のスキルや実績に自信を持ってプレゼンするように心がけてください。
自分に自信が持てないのであれば「交渉額を下げる」「より自分の能力を活かせる企業にシフトチェンジする」などの対応も考えてみましょう。
交渉を長引かせない
交渉は、だらだらと長引かせないのが成功の秘訣です!
面接官が「検討します」「必ずご希望に添えるかどうかはわかりませんが」等の発言をしているにもかかわらず、さらに自分の実績ややる気をアピールすることは控えましょう。
他社と比較しない
「A社では年収○円といわれた」など、他社と比較するのはご法度といえます。
他社と比べられるというのは、面接官からすると気分のいいことではありませんし、他社からしても「情報漏洩に繋がる」と捉えられることも!
例え数社で内定が確定している場合でも、他社との比較は自身の頭の中だけでおこなうようにしましょう。
転職コンサルタントやエージェントを利用するのもあり
「交渉が苦手」「タイミングがよくわからない」「うまく伝えられない」などという場合は、転職コンサルタントやエージェントを利用するのも選択肢のひとつです。
転職コンサルティングやエージェントでは、給与交渉のプロが求職者に代わってしっかりとサポート!
企業に合わせた交渉術を熟知しているため、交渉できる上限額を考慮しながら、ひとりひとりに合わせたサポートを提供してくれます。
まとめ
外資系企業に転職する際は、自分の価値や実績をしっかりとアピールすることが大切です。
ただし、交渉時の伝え方やタイミングによってはイメージダウンに繋がってしまうリスクもあります。
給与交渉を成功に導くためには切り出すタイミングを見計らい、計画的に給与交渉していきましょう。