転職して新しい職場で働き始めて1カ月。
頑張ろうと思いながらも職場に慣れないことは、珍しいことではありません。
では、転職して間もない人が職場に慣れるためにはどうしたらいいのか、その方法について解説します。
転職になれるまでには、最低3カ月は必要
転職して新しい会社に入社したものの、1カ月を経過しても職場に慣れない。
そんな転職による不安やストレスを感じているのは、あなただけではありません。
転職後に不安を感じた人のうち、86.8%が「入社から1カ月以内がもっとも不安を感じていた」と答えています(doda調査結果)。
また、ディップ総合研究所の調査でも1カ月、6カ月、1年のタイミングで、離職・転職を考える人が増加する傾向が明らかになりました。
つまり、転職後1カ月に不安を感じるのは当たり前なのです。
一方で、3~6カ月で新しい職場に慣れたと答える人も多く、入社3カ月間が新しい会社になじめるかどうかのターニングポイントといえるでしょう。
最初の1カ月はお試し期間と考える
入社1カ月で不安になるのは理解できたが、職場に早くなじみたい。
そんな人はどうすればいいのでしょうか。
一つは「入社1カ月はお試し期間」であると割り切り、後悔しないことです。
入社1カ月は研修期間や職場に慣れてもらう期間と考える企業も多く、1カ月目から活躍してほしいとは考えていません。
よほど即戦力として採用された場合をのぞき、1カ月目は準備期間と考えてもよいでしょう。
そのため、1カ月目から職場に慣れないと落ち込む必要はありません。
むしろ、2カ月から3カ月が評価の分かれ目です。
この期間で職場になじめれば、その後も安心して職場で働き続けられます。
「人間関係」「職場環境」「仕事内容」に3カ月で慣れる方法
職場に慣れる、もう一つの方法は「不安の原因」を解消することです。
転職して不安を感じる大きな原因は、「人間関係」「職場環境」「仕事内容」の3つです。
転職経験者の80%以上が、「人間関係がうまくいくか」「職場(社風)になじめるか」「仕事についていけるか」に不安を感じたことがあると答えています(doda調査結果)。
つまり、3つの不安を解消できれば、新しい職場に慣れるはずです。
具体的に、どのようにすればいいのでしょうか。
それが以下の3つの行動です。
- 質問できる相手や信頼できる相手を見つける、人脈(ネットワーク)を作る
- いったん前職の常識や経験を忘れ、新しい職場のルールや情報をインプットする
- 先輩や上司からフィードバックを受け、できる人をマネする
職場になじめるかどうかは、その人が「職場に溶け込もうとしているか」が重要です。
もちろん、職場の上司や先輩、同僚から声をかけられることもあると思います。
しかし、いちばん重要なことは自分からアクションを起こせるかどうかです。
職場になじめなかった人の特徴として「あいさつをしない」「仕事の飲み込みが遅い」「話を聞かない」という点が挙げられます。
どれもビジネスパーソンとして基本の姿勢ですが、基本を徹底してできることが職場に慣れる重要なポイントです。
入社してから3カ月、これらの行動で職場に慣れていくことで不安を解消できます。
社内に質問できる相手・信頼できる相手を作る
まず行動すべき大切なことは、社内でのネットワークづくりです。
とはいえ、社内政治で根回しする、権力者にこびることではありません。
簡単にいえば、職場の上司以外の先輩や同僚にも積極的にコミュニケーションをとることです。
なぜなら、入社時にいちばん質問しやすいのは上司ですが、上司は忙しいことが多く、質問できるタイミングが少ないからです。
いつでも質問や相談できる相手を見つけて人数を増やすことが、職場や仕事に慣れる第一歩といえます。
身近な存在である先輩や同僚との関係を深めることから始めるのがよいでしょう。
- 笑顔であいさつする
- 職場の先輩・同僚の名前を覚え、名前で呼ぶ
- 積極的に周囲の手伝いをする
関係を構築するためには、上記の行動を徹底することが効果的です。
まずは自分から積極的に行動し、自分を認識してもらう必要があります。
会社によってはブラザー・シスター制度やバディ制度、メンター制度など、体制として新入社員の相談役を配置することも少なくありません。
そのような制度が存在する場合は、まず相談役との関係を構築しましょう。
いつでも相談できる相手が一人いるだけで、職場での安心感はまったく異なります。
忘れてはいけないのは、上司(縦のライン)や先輩・同僚(横のライン)以外の関係(斜めのライン)も構築することです。
たとえば、別部署の同期入社や入社時にお世話になった人事や総務などです。
直接的な利害関係がない関係を作ることで、フラットな目線でアドバイスをもらえるからです。
最近では別部署の上司をメンターに据える会社も誕生しています。
「ななメンター」などと呼ばれ、部署を超えた関係性の構築を促進している会社も存在します。
実例は少ないものの、制度として存在する会社は効果を上げています。
自分なりの「ななメンター」を見つけてはいかがでしょうか。
分からないことは積極的に質問する
職場のルールや仕事の仕方は「暗黙知」――言語化されていないことが多くあります。
言語化されていないにもかかわらず、暗黙知と違う行動をとると周囲から嫌がられることが少なくありません。
同業他社であってもルールや慣習、常識が異なることが多く、まったくの異業種であれば外国と同じと思ったほうがよいかもしれません。
郷に入っては郷に従えという言葉どおり、まずは企業のルールや慣習を理解しましょう。
もちろん、不合理や理不尽なこともあるはずです。
しかし、一見理不尽に思えるルールや習慣も、企業の歴史のなかで生まれています。
今は理不尽でも、もともとは必要性があったはずです。
これまでの前提や歴史を無視した発言は、組織から排除される可能性があります。
そうならないためにも、少しでも疑問に思ったこと、分からないことが発生したら、まず誰かに質問することをおススメします。
当たり前すぎる質問をすると怒られるのではないか、そんな不安も分かります。
ですが、入社1~2カ月の新入社員であれば、たいていの質問は怒られません。
相手も「入社したばかりだから分からないのだろう」と好意的に見てくれるからです。
ポイントは「仮説や前提があったうえで話す」こと。
質問された先輩や同僚もヒマではありません。
仕事のなかで質問に答えるわけですから、要領を得ない質問は嫌がります。
「自分は○○だと思うのですが、その認識で合っていますか?」
「〇〇までは理解したのですが、△△からよく分からないので教えてください」
など、自分はこういう理解をしています、ここまで理解していますと説明することで、相手も何を説明したらいいのか返答しやすくなります。
また必ずメモをとり、同じことを2回以上質問しないようにしましょう。
メモもせずに同じ質問した場合、教えた側は「話を聞いていなかったのか!」と、以降あなたの質問に答えなくなってしまいます。
質問できる相手を失うだけでなく、職場での信頼も失ってしまいます。
またルールや文化、習慣などは、早めに質問することをおススメします。
一つは職場になじむために必要であること、もう一つはルールや文化は長くいればいるほど知らないことに対し不信感を抱かれるからです。
不明や疑問は早めに解消することが、不安を減らし、周囲の信頼を得ることにつながります。
フィードバックを受ける
仕事を覚えるために上司か信頼できる相手からフィードバックを受けるのも一つの手です。
できれば定期的なミーティングや1on1を実施してもらい、仕事で感じたこと、つまずいたところなどに対してコメントをもらえるとベストです。
入社数カ月では自分の行動が合っているかどうか分かりません。
自分では必死に努力していたが、その努力が見当違いだったとなると、周囲からの信用も下がってしまいます。
たとえば、資料作り一つとっても、自分では完璧だと思って締め切り前日に提出したら、会社の書式と異なっていた、上司が求める情報が入っていなかったため、直前でやり直しになったということは、よくある話です。
また、上司と定期的なミーティングを実施すれば、上司にあなたのパーソナリティを理解してもらえ、あなたの成長過程も見てもらえます。
その結果、大きな仕事を任せてもらえる可能性が上がります。
仕事ができる人をマネする
仕事を覚える、もう一つの方法が成果を出している先輩や同僚をマネすることです。
仕事ができる人のすべてが素晴らしい、とはいいません。
しかし、成果を出している以上、なんらかコツやポイントがあるはずです。
仕事の仕方や資料の作り方、プレゼン・会議の進め方などマネして、よいところを盗むことで、成長スピードが格段に上がります。
また、できる人をマネすることで、今までやったことのない仕事や会社独自のルール・文化による進め方も自然に身につけられます。
もし、マネして違うなと思ったら、別の人をマネするか、自分なりの進め方を模索すれば十分です。
頑張りすぎない、無理しない
これまで会社に慣れる方法を説明してきました。
しかしながら頑張ることは重要ですが、頑張りすぎないことも大切です。
入社して数カ月で仕事の仕方を完全に身につけるのは難しく、見当違いの努力やミスを連発することもあります。
自分の力量以上の仕事を抱えて、つぶれてしまうことも。
そうならないために、大変だと思ったら先輩や上司に相談し、着実に業務を進めていくことが肝心です。
自分一人で何でもやろうとするのではなく、周囲を頼るのも一つの方法といえます。
社内ネットワークの構築や信頼できる相手を見つけることは、自分を守る意味でも大切です。
失敗は反省すべきですが、悩みすぎる必要はありません。
入社3カ月くらいまでは「自分は新人」という気持ちで、深く考えすぎないほうがよいでしょう。
それでも慣れなかった場合は
それでも、職場に慣れない場合はどうしたらいいのでしょう。
期間にもよりますが、6カ月~1年経っても慣れないようであれば、転職を考えたほうがよいかもしれません。
どんなに遅くても、1年ほどで仕事や職場には慣れます(エンジニアなどの技術職はのぞく)。
1年以上も経って慣れない場合は、ご自身の努力以外の問題があります。
仕事が合っていない可能性もありますが、多くの場合は人間関係や社風に原因があります。
人間関係や会社の雰囲気はとても重要な問題です。
「人間関係」を理由に仕事を辞める人は多く、我慢すればするほど不満がたまっていきます。
一方、良好な人間関係の職場では満足度も上がり、パフォーマンスも発揮しやすくなります。
大手企業ならばチームや部署を変えて、人間関係・仕事を変えるという方法もあります。
しかし、転属や異動の希望が100%叶うわけではありません。
また、会社の文化・風土が原因の場合、部署を変えても問題は解決しません。
せっかく転職した会社ですが、新しい会社を探したほうがよいでしょう。
まとめ
入社1カ月で「職場に慣れない」と悩んでいる人は、まずは上記を試してください。
それでも解決しないという場合は、転職エージェントをおススメします。
なぜなら、転職エージェントのスタッフは企業の内部まで詳しく知っており、求職者が調べづらい会社の雰囲気や文化を知っているからです。
転職サイトや企業ホームページ、口コミサイトで、求職者自身が企業の情報を調べることはできます。
しかし、企業の雰囲気や文化を知るのは大変です。
転職活動のなかで「知りたくても自分で調べきれなかった情報」に、「職場の雰囲気・社風」を挙げられるほどです。
また、エージェント経由なら「応募する前に職場を見たい」などの要望も叶いやすく、職場の雰囲気を知ることができます。
このように転職エージェントを活用することで、転職に失敗する可能性が確実に減ります。
ただ入社1カ月で悩まれているのであれば、職場に慣れようとする行動が大切です。
しかし、それでも改善しない、職場に慣れないという場合は、転職という行動も選択肢に入れたほうがよいでしょう。
特に20代や転職回数1回であれば、短期間の離職は大きな問題にされません。
職場に慣れるためにとった行動を説明し、それでもなじめなかったので転職を考えた、と説明すれば、多くの企業は納得します。
まずは、この記事を参考に行動していただければと思います。