フリーランスを目指している方は、仕事を軌道に載せるためにどこか頼れる場所を探している方は多いものです。
怪しいという声も聞かれることのあるフリーランス協会も、徐々に知名度が上がってきています。
協会の存在をはじめて知ったという方に向けて、フリーランス協会の概要や活動内容、会員になるメリット・デメリット、評判などを詳しく解説します。
フリーランス協会が怪しいと言われる理由
フリーランス協会に限らず、事業内容や活動実績が不明なものに対しては、どうしても世間の風当りは強いものです。
ここ10年ほどで協会と名の付く団体が増加していることもあり、始めて存在を知った協会に対しては怪しいと感じることは確かにあります。
実際にフリーランス協会が気になっている方でも、会員になることをためらっている方は多いのではないでしょうか。
しかしながら2017年の設立から3年以上経って、フリーランスの方はもちろんのこと、企業や自治体からも問い合わせが連日来るような状況になっています。
ただし働き方が多様化する中、フリーランスに対する考え方も千差万別で、フリーランス協会に対する各個人の感じ方は変わってくるでしょう。
ぜひフリーランス協会に入会するメリット・デメリットを冷静な目で判断してみてください。
フリーランス協会の概要
フリーランス協会の正式名称はプロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会です。
独立して活躍する人を応援するために、フリーランスに役立つサービスや情報発信を行っている非営利団体として活動しています。
またフリーランス協会は、2017年に設立されてから2020年時点では一般会員数が5,826名ほどでした。
(参照:フリーランス協会ホーンページ)
しかし会員数は右肩上がりに増えており、現在では法人会員や協力会員も含めると12,000突破しています。
フリーランス協会は無料会員と有料会員とがある
フリーランス協会の会員登録制度は、無料会員と一般会員(有料会員)とに分かれます。
資格や職種、経歴などを問わずだれでも入会はできると公表していますが、現役のフリーランスもしくはフリーランスを目指していることが前提です。
また有料会員になるには年会費1万円がかかり、無料会員との差別化を図っています。
フリーランス協会の一般会員に向いている人
フリーランス協会はどんな人に向いているのでしょうか。
フリーランス協会に向いている人
- キャリアアップをしたい人
- 今の仕事以外になにかチャレンジしたいことがある人
- 大きな案件を抱えている人
- 体調を崩して休むことが多い人
フリーランス協会に向いていない人
- 受け身な人
- メールマガジンなどで情報だけを知りたい人
- 自己投資に興味がない人
- 自分で営業するのが苦手な人
フリーランス協会の主な活動内容
フリーランス協会の活動内容はどんなものがあるのでしょうか。
①フリーランス白書プロジェクトの発行
フリーランスの実態調査を年に一度実施し、厚生労働省からの要請で「フリーランス白書」として公開しています。
国全体でフリーランスの現状を把握し、問題点の改善をするためにフリーランス協会の活動は注目されています。
近年でも浮かび上がってきた課題を集約して発信し、国の政策検討などに活用されてきました。
フリーランス白書2020では「フリーランスの収入・満足度等の実態」「フリーランスの契約トラブル実態」「フリーランスの活動事例集」などの調査が行われています。
②キャリア支援のイベント・セミナーを開催
キャリア支援のためのイベント・セミナーを定期的に開催しているのも活動の一つです。
フリーランスにありがちな、仕事を獲得することの難しさ、確定申告の方法が分からないなどの悩みに対して、解決の糸口となる内容となっています。
具体的にはキャリアアップやセールスプロモーション、税金に関することなどの情報が満載です。
またネットで仕事をするための職種別交流会なども盛況で、普段、孤独になりやすいフリーランスの方や、本業を持ちながら社会貢献に励んでいる方たちに喜ばれています。
③オウンドメディア「フリパラ」の運営
フリーランス協会はフリーランスの働き方を応援する、オウンドメディア「フリパラ」の運営も行っています。
主にフリーランスとして活躍する人たちへのインタビューや、確定申告・節税・業務効率化など、フリーランスに「本当に役立つ記事を届けたい」という思いでメディアを構築しています。
編集チーム全員が現役のフリーランスやラレルワーカ(本業以外にも社会貢献活動をしている人たち)ということもあり、フリーランス同士が分かり合える交流の場となっているのです。
フリーランスは一人で仕事をしていることが多いため、同じ志を持つ仲間と情報交換できることは息抜きになることでしょう。
フリーランス協会の会員向け4つのサービス
フリーランス協会の一般会員になると、ベネフィットプランにより様々な恩恵を受けることができます。
①安心に備えた「賠償責任保険」
フリーランス協会の一般会員になると、業務遂行中にトラブルが起きたときの賠償責任保険が自動付帯になっています。
仕事中の対人・対物の事故だけではなく、うっかり情報漏洩や著作権侵害をしてしまった場合などに役立つ保険です。
取引している保険会社としては
- 損保ジャパン
- 東京海上日動
- あおいニッセイ同和損保
- 三井住友海上
と大手4社が協賛しています。
②大企業も導入する「WELBOX」
WELBOXとは(株)イーウェルが提供する会員制福利厚生サービスです。
フリーランス協会の一般会員は、WELBOXのサービスを第二親等まで受けられ、配偶者や両親のみならず、祖父母や孫まで対象内となっています。
サービス内容は健康診断やスーパー銭湯などのリラクセーションでの割引、子育て支援や税金の相談と、幅広い特典が準備されています。
③コワーキングスペースの利用
優待サービスの中には、全国各地にある提携コワーキングスペースの利用も含まれています。
各施設の受付サービスに名前と会員IDを伝えるだけで、気軽に活用ができ、特に難しい手続は必要ありません。
少人数で打ち合わせがしたい、イベントを開催したいときなど様々なワーキングスペースとして役立つでしょう。
④営業ツールにできる「フリーランスDB」
フリーランスDBとは、フリーランスの仲間がほしい場合や、フリーランスに仕事を発注したい場合の無料検索サービスです。
例えばカメラマンであれば、写真とテキストで実績や得意なことをアピールして、仲間から評価をもらうこともできます。
無料会員でもシステムを利用して検索と投稿ができますので、うまく活用すれば思わぬ仕事が舞い込んでくる可能性もあるでしょう。
⑤独自優待サービス
独自優待サービスは、これからフリーランスとして活動していく方にも役立つサービスが豊富に取り揃えられています。
いくつかご紹介すると
- 万が一のケガや病気ではたらけなくなったときの「所得補償」
- 報酬トラブルが起きたときの弁護士費用保険「フリーガル」
- ホームページ作成相談
- ローリスクで利用できる「フリーランスWi-fi」
フリーランス協会の優待サービスは、状況に合わせて必要なサービスが選択できるところが魅力の一つです。
だだし、独自優待サービスの内容はあくまでオプションなので、別途申し込みが必要となります。
フリーランス協会に入会するメリット
フリーランス協会に入会すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
メリット①トラブルが起きたときのリスクの軽減
一般会員になると、自動付帯の賠償責任補償を使用できるので、仕事でトラブルが起きたときに、自分とクライアントを守ることができます。
どんなにプロ意識を持って仕事に取り組んでいたとしても、避けられないトラブルは起こり得るものです。
万が一予期せぬことが起きたときた場合の備えとして、トラブルをカバーしてくれる賠償責任補償は、多くのフリーランスの方に喜ばれています。
メリット②働けなくなったときの不安を解消
任意加入保険の「所得補償制度」は、フリーランスで働けなくなったときの不安を解消してくれます。
当然ですがフリーランスは自由な働き方ができる一方で、有給休暇や誰かが代わりになって働いてくれる制度はありません。
そのため突然入院することになって仕事を長期間休む場合などのリスクを考える必要があります。
その点フリーランス協会の所得補償制度は、福利厚生のないフリーランスのデメリットを軽減してくれるでしょう。
メリット③仕事の幅を広げる可能性
大勢の会員が見ている、近年登場したフリーランスDBをうまく活用すれば、新しい仕事を獲得できる可能性があります。
今まで漠然と挑戦してみたい仕事があった場合、気軽にインスタに投稿するような気持ちで自分の得意なことをアピールしてみるのもよいでしょう。
近年始まったばかりのサービスなので実績や詳細は現在のところ不明ですが、今後に期待できるサービスです。
メリット④フリーランス協会との関わり方
一般会員になった方はアドバイスを受けるだけの方もいれば、イベントに参加するだけの方もいて、フリーランス協会との関わり方は自由です。
希望があれば、事務局に参加することも可能で、一般会員からフラーランス協会のスタッフに転身する方もいます。
得意分野を活かして興味にある分野に参加できるので、無理なく協会に関わることができるでしょう。
フリーランス協会に入会するデメリット
フリーランス協会に興味がる方にとって、入会するメリットだけではなくデメリットも気になるところです。
いったいどんなデメリットがあるのか詳しく見ていきましょう。
デメリット①:優待サービスの差異
フリーランス協会の優待サービスの恩恵を受けられる施設は、東京・大阪などの都心部がほとんどです。
ショッピングやレストラン、リラクゼーション施設、コワーキングスペースなどは地方に住んでいる方にとっては無縁という場合もあります。
これから徐々に利用できる範囲は増えていくことも期待できますが、現在のところは地方で利用できる施設は少ない傾向となっています。
デメリット②:任意加入のサービスが多い
フリーランス協会の優待サービスは、多くの補償サービスはオプションとなっているため
任意のサービスをいくつも申し込んでしまうと、自己負担が大きくなってしまうこともあります。
優待サービスの内容を確認すると、申し込みは無料、使用料も1年間は無料というサービスが多いので、次々申し込んでしまうことになりかねません。
本当に必要ものを見極めないと、自己負担が増えて後で後悔することになってしまいます。
デメリット③:途中退会のルール
フリーランス協会を途中で退会した場合の年会費は、返金されないルールになっています。
あと数ヶ月で年度変わりという場合は、年会費が返金されないことに諦めもつきますが、入会して間もない場合は投資が無駄になってしまうので注意が必要です。
デメリット④:積極的に参加しないと損
フリーランス協会から発信されている多くの情報は、自分が興味を持って動かなければ、フリーランスで役立つ情報は入手できません。
たとえ多くの出会いに恵まれても、仕事の幅は広がらない一方で、そもそも入会した意味がなくなってしまいます。
実際に、優待サービスや情報が多すぎて、使いこなせていないとの声も上がっているのが実情です。
フリーランス協会の評判
フリーランス協会に実際に入会した人たちからはどんな評判があるのでしょうか。
良い評判
- もしも仕事でトラブルになった時に賠償保険があるので安心
- チャットワークのパーソナルプラン(月額400円)が無料で利用できてお得
- 事業者向けの給付金など最新の情報共有ができて助かる
- フリーランス協会に入会して一人じゃないと思えるようになった
評価しにくい点
- 途中退会しても年会費は全額負担
- ベネフィットプランが多すぎて使いきれない
- イベントやオンラインセミナーは有益だが有料のものが多い
- フリーランスDBで実際仕事を獲得した人の実績を見ていない
賠償責任保険に関しては、それがあったから入会したという声も多数寄せられています。
フリーランス協会の総評
フリーランス協会は事務局のスタッフ全員が現役のフリーランスなので、現場で起きるリアルな声を聞くことができます。
積極的に関われば、多くの情報を吸収してキャリアアップにつなげることができるでしょう。
またこれからフリーランスを目指している方も、多くの仲間と出会えるきっかけになります。
しかしフリーランス協会の一般会員は、多くのベネフィットがある一方で、有料のサービスが多いのは事実です。
年会費は1万円ですが、オプションサービスをいくつも申し込んでしまうと自己負担が増える結果にもなりかねません。
また営業が苦手で積極性のない方も、イベントやセミナー、仕事を探せるフリーランスDBなどにメリットを感じない場合があります。
そのためフリーランス協会に興味がある方は、自分に適切なサービスかどうかを見極めることが大事です。
フリーランスを応援する事業は他にもありますので、ご自身に必要なサービスかどうかを判断してみてもよいでしょう。
まとめ
フリーランス協会は、結局のところ怪しくはありません。現役のフリーランスのスタッフがフリーランスに役立つ情報を届けようと応援してくれるサービスです。
補償や相談できる環境が整っているので、積極的に活用すればフリーランスとしてキャリアアップが図れます。
しかしながらフリーランス協会のサービスが自分にとって適切かどうかは慎重に判断する必要があります。
評判や口コミが気になる気持ちも分かりますが、他人の意見に惑わされずにご自身の基準で取拾選択していきましょう。