フリーランスには、いわゆる「育休制度」がありません。
また、会社員であればもらえる出産手当金や育児休業手当金についても受給の対象外です。
特に女性であれば、妊娠から子育てをするまでの生活について大きな不安を抱いている方も多いでしょう。
しかし、フリーランスの方でも安心して育休期間の生活が送れるよう、いくつかの支援制度が設けられています。
それらを利用することでフリーランスの方でも安心して育休期間を過ごすことが可能です。
ここでは、フリーランスの育休について、また育休期間中に利用したい支援制度などについてご紹介します。
フリーランスには育休制度がない
冒頭でも触れたとおり、フリーランスには会社員が利用できる育休制度というものがありません。
育休制度とは育児休業制度の略で、従業員が子育て後も会社に雇用され続けるための制度です。
会社によって異なりますが、育休期間中も給料が支払われることがあり、会社員であれば比較的安心して子育てをすることができるでしょう。
育休制度を利用するには、会社に継続的に雇用され、その後も雇用され続ける見込みがあるなどの条件を満たす必要があります。
そもそも「会社に雇用されており、その後も雇用される」というのが条件となるので、会社に雇用されていないフリーランスには育休制度がないのです。
産休制度についても同様で、雇用されていないフリーランスは利用することができません。
また、会社員であれば出産手当金や育児休業手当金が利用できますが、こちらも雇用されていないフリーランスは利用することができなくなっています。
認可保育園に子どもを預けるのも難しい
育休制度がないことに加え、フリーランスには認可保育園に子どもを預けにくいという難点があります。
認可保育園とは国によって定められた要件を満たし、地方自治体から運営を認可された保育園のことです。
認可保育園には受け入れ児童数の定員があり、誰でも預けられるわけではありません。
そのため、それぞれの自治体で受け入れ時の条件が設けられています。
会社に出勤しなくてはならない会社員が有利な条件となっており、自分の裁量で仕事ができるフリーランスは子どもを認可保育園に預けにくくなっているのです。
フリーランスでも育休期間にかかる費用は同じ
フリーランスには育休制度がありませんが、妊娠、出産、子育てにかかる費用は会社員と同じです。
一般的に、妊娠から出産までにかかる医療費は数十万円から100万円前後であると言われています。
それに加えて妊娠中の生活を支えるために必要なもの(マタニティグッズなど)を購入する費用がかかり、出産後はベビー用品のための出費があります。
人によってはトータルで数百万円かかることもあるでしょう。
これらの費用を育休制度もなしに支払っていくのは難しいものです。
そのようなときのために、フリーランスの方が育休期間中に利用できる支援制度があります。
次項で、それら支援制度について紹介します。
フリーランスが育休期間中に利用できる支援制度
産休・育休制度がないフリーランスですが、妊娠、出産、子育て時に利用できる支援制度があります。
出産育児一時金
出産育児一時金は、国民健康保険に加入していることで得られる補助金です。出産の際に、子どもひとりにつき原則42万円が支給されます。
支給の対象は公的医療保険に加入している被保険者、または保険に加入している夫の被扶養者です。
受給の条件は「妊娠4か月(85日目)以降であること」とされており、4か月を超えているのであれば、仮に出産が行われなかった(死産など)場合でも支給の対象となります。
覚えておきたいのが、妊娠・出産の回数に対して支払われる補助金ではないという点です。
あくまで子ども一人につき42万円ですので、双子を妊娠したのであれば、84万円(42万円×2人)が支給されます。
また「直接支払制度」を利用すれば、出産に必要な費用を健康保険組合に支払ってもらうことが可能です。
つまり、出産にあたって自分で用意しなくてはいけない費用は42万円を超えた部分だけということになります。
出産費用の事前準備が難しいというフリーランスの方は、出産育児一時金の直接支払制度を利用してみるといいでしょう。
妊婦健診の補助
妊婦健診は健康保険の適用外で、それにかかる費用は基本的に受診者の自己負担となっています。
妊婦健診にかかる費用は平均で5万円前後となっており、かなりの高額です。
安全に出産をするために必要なものなので、健診を受けないという選択はできません。
人によっては生活に支障をきたすほどの出費に感じられることもあるでしょう。
健診助成制度は、そのような妊婦健診の費用補助を受けられる制度です。
健診時に利用できる補助券が母子手帳とともに配布され、健診14回分程度(10万円前後)の補助を受けることが可能です。
補助券を使うことで健診にかかる費用をカバーすることができるので、生活に不安があるフリーランスの方でも安心して妊婦健診を受診できるようになるでしょう。
なお、補助券の枚数や補助を受けられる健診の回数は自治体によって異なります。
妊娠がわかった際は、妊婦健診の補助について自治体に確認するようにしましょう。
児童手当
児童手当は、子どもが出産してから中学校を卒業するまでの期間、継続的に支給を受けられる制度です。
支給される給付金の額は子どもの年齢によって変わります。
3歳未満は一律で1万5000円、3歳以上でかつ小学校修了前は1万円(第3子以降は1万5000円)、中学生以上は一律で1万円です。
基本的に、支給は毎年6月、10月、2月の計3回で、前月分までの金額をまとめて受給することができます。
児童手当を受給するためには自治体に申請をしなくてはいけません。
子どもが生まれたら、できるだけ早めに自治体に問い合わせるようにしましょう。
子どもの医療費助成制度
小さな子どもは何かと病気になってしまうことが多く、その都度医療費を支払うのはかなりの負担となります。
そのような際に利用できるのが、子ども医療費助成制度です。
病院で受診した際に発生する医療費の自己負担分をカバーしてもらうことができます。
カバーしてもらえる金額は子どもの年齢、所得額によって変動します。
また助成を受けるには事前の手続きが必要です。
子どもができたフリーランスの方は、自治体に問い合わせてみるといいでしょう。
フリーランスならではの働き方で育休を乗り越えよう
育休や産休に関して、会社員と比べると不利な点が多いフリーランスですが、フリーランスだからこそ得られるメリットもあります。
調子次第では仕事ができる
会社員の場合、育休に入ってしまうとその期間は仕事をすることができません。
しかしフリーランスであれば、調子次第では仕事を継続して行うことができます。
何かと思い詰めてしまうことが多い子育て中に、自分の仕事をしてリフレッシュすることができるのは大きなメリットであると言えるでしょう。
臨機応変に子育てができる
会社員は取得できる産休、育休の期間に制限があります。
育休期間を過ぎてから不測の事態(子どもが病気になるなど)が起こった際には、身の振り方を考えねばならなくなる可能性もあるでしょう。
しかしフリーランスであれば、自分の判断で休みを取ることができます。
予定通りにことが運ぶとも限らない子育てです。
産休や育休期間だけしか休暇を取得できない会社員と比べ、臨機応変に対応しながら子育てができるのはフリーランスならではのメリットであると言えます。
まとめ
制度の上ではフリーランスの育休は不利であると言えるかもしれません。
しかし、フリーランスが利用できる制度もありますし、自分のペースで子育てに臨めるというメリットもあります。
フリーランスで働いている方は、利用できる制度について把握し、どのように子育てをしていくか事前に計画を立てておくようにしましょう。
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