確定申告と聞くと、「複雑で面倒くさそう」というイメージがありませんか?
会社員の時は、企業が納税を代行してくれるので、特に知識が無くても問題ありませんでした。
しかし、フリーランスで働く方にとって確定申告は切っても切れない関係です。特に、提出書類を間違えてしまうと納税の手続きができません。
そのため、きちんと正しい知識を身につけてから進めましょう。
今回は、確定申告の時に必要な書類について解説します。ぜひ参考にしてください。
確定申告の基礎知識
確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間で得た所得に対して、支払うべき税額を計算して納税する仕組みです。
また、払いすぎた税金を還付してくれる役割もあります。
基本的に、確定申告は以下の通り進めれば問題ありません。
- 書類を準備する
- 帳簿を整理する
- 確定申告書類の作成
- 税務署に書類提出
- 納付する
ここでは、確定申告に必要な書類に関して詳しく解説します。
確定申告に必要な書類は5つ
フリーランスの方が用意するべき確定申告書類は、
- 確定申告書B
- 身分証明書類
- 支払調書(源泉徴収票)
- 控除書類
- 青色申告書
となります。1つずつ詳しく見ていきましょう。
確定申告書B
確定申告書とは、自分の1年間の所得金額や、その所得に対してどれくらい課税されるのかが分かる書類です。また、確定申告書には
- 確定申告書A
- 確定申告書B
の2種類があります。
それぞれの違いを簡単に分けると、確定申告書Aは会社員やアルバイト/パートの方がよく利用する書類です。一方、確定申告書Bは個人事業主の方がよく利用します。
フリーランスの方は、基本的に確定申告書Bを税務署に提出すると覚えておきましょう。
身分証明書類
確定申告の際には、身分を証明できるものが必要になります。マイナンバーカードを持っている方は、それだけを提示すれば身分の証明が可能です。
所持してない方は、
- 番号確認書類(通知カード、住民票の写し又は住民票記載事項証明書)
- 身元確認書類(運転免許証、パスポート 等)
の2点を準備する必要があります。
支払調書(源泉徴収票)
フリーランスの方の多くが、企業との契約によって案件を引き受けて報酬を得ている事でしょう。
その時に注意が必要なのが、「源泉徴収」という仕組みです。源泉徴収とは、企業が案件委託者に報酬を支払う際に、その人に代わって税金を収めてくれる事を言います。
税金の支払額は、以下の計算方法によって決まります。
- 報酬額が100万未満の場合:報酬額 × 10.21%
- 報酬額が100万以上の場合:報酬額 × 20.42%
となります。
しかしながら、差し引かれた税金は確定申告の際に申告しないと、税金としてカウントされません。つまり、申告漏れがあると、再び税金を納付する状態になってしまいます。
そこで、源泉徴収された金額を正確に把握するために支払調書が必要になります。支払調書とは、会社員やアルバイトの時に渡される源泉徴収票のようなものです。
ただし、確定申告の際に提出する書類ではありません。あくまで、税金の払いすぎや、不足分の金額を確認するためのものです。
確定申告時に使う、確定申告書Bに「所得税及び復興特別消費税の源泉徴収税額」という欄があるので、そこに支払調書を元に、源泉徴収済金額を記入すると申告ができます。
控除書類
所得控除は、節税効果が期待できるものです。下記に当てはまるものは、全て控除対象になるので確認しておきましょう。
控除の種類 | 対象 | 控除額 | 必要書類 |
社会保険料控除 | 被保険者として保険料を負担している人。配偶者や扶養家族も含みます | 1年間に実際に支払ったもの全額 | 掛かった金額を証明するもの |
生命保険料控除 | 生命保険、介護医療保険、個人年金保険の料金を支払った人 | 支払った金額により決まります。最大40,000円が控除されます | 支払金額を証明するもの |
医療費控除 | 自分、又は配偶者やその他親族へ一定の医療費を支払った人 | (支払った医療費 – 10万円) (支払った医療費 – 総所得金額等 × 5%) どちらか多い方が控除額です | 医療費を証明するもの(領収書) |
地震保険料控除 | 地震保険などの損害保険料を支払った人 | 支払った金額により決まります | 地震保険料控除の掛金の証明書 |
雑損控除 | 自然現象による災害、盗難、横領などの被害にあった場合(詐欺や恐喝は該当しません) | (差引損失額)-(総所得金額等)×10% (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円 どちらか多い方が控除額です | 災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証明する書類 |
寄附金控除 | 政治活動や認定NPO法人等に対して寄付した人 | (特定寄附金の額の合計額 – 2千円) (総所得金額等の40%相当額 – 2千円) どちらか多い方が控除額です | 寄附をした証明書の写し、領収書 |
これらの控除以外にも、さまざまな種類があります。
控除を受けるためには、領収書などの証明書が必須です。
万が一、紛失してしまった場合でも再発行が可能ですので、それぞれの機関に問い合わせて見ることをオススメします。
青色申告書
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、どちらにしようか迷っていませんか?
オススメは、青色申告です。白色申告よりも受けられるメリットが多く、特に節税効果が期待できるからです。
青色申告をするためには、「青色申告承認申請書」と「開業届」を提出しなければいけません。
どちらの書類も税務署や国税庁のサイトから簡単に入手可能です。
また、これらの申請はそこまで時間が掛からず簡単にできてしまうので、早めに対応しておきましょう。
青色申告書は、さまざま種類がありますが、フリーランスが使用するのは「一般用」と呼ばれる書類を使います。
初めて青色申告書を作成する方は、難易度が高いかもしれません。なぜなら、損益計算書や貸借対照表など簿記の知識を必要とする用語が頻出するからです。
ただ、このような複雑な書類を簡単に自動作成してくれるツールも検索すると見つけることができます。このような便利なサービスを使って作成するのもオススメです。
確定申告をスムーズに進めるために
確定申告は、事前に申請するための準備を常日頃しておくことが大切です。1年分のお金の計算は、たくさんの時間を要します。
なるべく短時間で終わらせるためには、日々の準備が欠かせません。
定期的にお金の流れを管理しておこう
まず、お金の流れを日々管理しておきましょう。少なくとも、月に1回は帳簿をつけて、売上集計と経費集計をしておく事をオススメします。
特に、
- クレジットカード明細
- キャッシュレス払いの履歴
などは定期的に保存しておきましょう。
このようなオンラインで明細が管理されている場合、3ヶ月や半年しか履歴が遡れない可能性が充分にあります。つまり、1年分の利用明細が見れなくなってしまいます。
そうならないためにも、定期的にお金の流れを把握して、管理しておくことが重要です。
領収書を整理しておこう
確定申告をスムーズに進めるためには、これは必須事項と言えるでしょう。
経費精算などは、用途別に仕分けして集計します。そのため、1つの入れ物に領収書をまとめてしまうと、後々仕分けが大変です。
そうならないためにも、領収書は用途に分けて整理しておく事をオススメします。
フリーランスに必要な経費のノウハウは下記の記事で解説しています。
本記事と合わせてぜひご覧ください。
また、自分で確定申告をするのが不安な方もいるでしょう。
下記の記事では、税理士に依頼する方法と、おすすめの会計ソフトを紹介しています。
ぜひご覧ください。
まとめ
今回は、フリーランスが確定申告時に必要な書類についてまとめました。
- 確定申告書B
- 身分証明書類
- 支払調書(源泉徴収票)
- 控除書類
- 青色申告書
この5つを、確定申告時に提出すれば問題ありません。
確定申告は複雑なイメージがありますが、事前に準備をしておけば、そこまで難しいものではありません。
ぜひ、この記事を参考にして役立ててください。