看護師として働いている方の中には、転職を考えているかたもいらっしゃるのではないでしょうか?
年齢を重ねると、経験や知識はスキルアップしていきますが体力的な面やライフスタイルの変化など気になることも多く出てくると思います。
この記事では、それぞれの年代ごとの看護師の転職事情について解説していきます。
まずは、看護師の転職と年齢の関係について見ていきましょう。
看護師の転職に年齢は関係ある?
看護師の募集は、全国どこでもたくさん見かけますね。
最近では、コロナ禍で看護師不足が注目されたのは記憶に新しいと思います。
様々な職場からの求人が絶えないので、年齢を気にしなくても転職しやすそうに感じるのではないでしょうか。
実際に働いてみると夜勤やシフト制の勤務による不規則な生活に体力の限界を感じ、ワークライフバランスを考えたいと思うかたもいると思います。
では、今より良い環境で働きたい場合、年齢的にいつまで転職はできるのでしょうか。
さっそく看護師の転職と年齢の関係について見ていきましょう。
看護師の転職に年齢制限はあるのか?
看護師の転職に年齢制限はありません。
これは雇用対策法の改正により看護師だけでなく、すべての求人に年齢制限を設けることができなくなったのです。
年齢制限がないといっても、年齢を考慮したほうがよい職場はあります。
それは、体力のいる急性期病院や3次救急病院とクリニックです。
それぞれの特徴をみていきましょう。
・急性期病院や3次救急病院
この2つの病院は、患者さんの重症度が高く業務量も多い傾向があります。
そのため、比較的に体力や物事に対する柔軟性がある若手の看護師が多く勤務しています。
採用する側も、長期的に働いてくれる人材を探しているので体力面に不安が出てくる40代以降の看護師の採用にはあまり積極的ではないようです。
・クリニック
診療科目や院長先生の方針で、年齢制限が設けられていることがあります。
内視鏡など専門性が高い診療科では、仕事を覚えるスピードを求められるため年齢を考慮しなければならない可能性があります。
また、美容クリニックでは容姿の問題で年齢制限があると思われることもありますが、施術の介助など覚えることがたくさんあります。
そのため、なるべくはやく即戦力になることができるような人材を募集していることが多いです。
急性期病院や3次救急病院、クリニックでは年齢によって採用が難しくなる可能性があります。
しかし、年齢を重ねているということは経験を積んでいるということでもあります。
同僚や後輩から頼りになる存在として一目置かれる看護師として働いているかたは多くいます。
実際の採用面接の際に仕事への意欲や即戦力になることができるような経歴を上手に伝えることができれば採用の可能性は十分にあるでしょう。
急性期病院やクリニックでは、年齢をある程度は考慮したほうが良いということがわかりましたね。
では反対に、年齢をあまり考慮しなくても大丈夫な職場はどこなのでしょうか。
年齢が高くても年齢を気にせずに転職できるところはある?
看護師の転職に年齢制限はないといっても、やはり年齢の壁がある職場があることがわかりましたね。
しかし、年齢が高くなれば経験や知識が豊富になってくるので、そのような人材が求められている職場も多くあります。
以下のような職場は、年齢の高い看護師でも採用されやすいです。
なぜなのか詳しく見ていきましょう。
・慢性期病院
病態が安定しており、高度な医療処置はあまりしていません。
そのかわり、長いあいだ病気と付き合っている患者さんの日々の変化に気づくことのできるアセスメント力や寄り添う気持ちが必要です。
病床数も多く、日常生活の援助がメインになるので高いケア技術も求められるでしょう。
急性期病院などとは異なり、教育病院ではないので自立して業務を行えることも大切であるため経験豊富な看護師は採用されやすいでしょう。
・訪問看護
訪問看護師は、ある程度の経験を積んだ看護師が転職する傾向があります。
経験が必要とされる理由としては、訪問先では看護師が1人で判断しなければならないからです。
もちろん医師などのバックアップ体制は整っていますが、異常を発見し適切な報告と処置を行うことができるかは看護師にかかっています。
また、ケアマネージャーやその他のサービスを提供している他職種との連携も求められるので経験や知識が豊富なほうが良いでしょう。
・介護施設や老人ホーム
介護施設や老人ホームでは、施設の規模にもよりますが少ない看護師で多くの利用者の服薬管理や体調管理をしていることがほとんどです。
医師の往診や日々の処置に変更があったり、緊急入院になってしまったりなど業務は多岐にわたります。
日常生活の介助をすることもあり、教育体制があるところは少ないので経験を積んだ看護師が転職するのに向いているといえるでしょう。
・公務員看護師
公務員は試験があるので年齢制限があるイメージがありますね。
しかし、公立病院に就職するためには公務員試験を受ける必要はありません。
採用試験では、豊かな人間性や看護観を問われることが多いため、これまでの経験で培ってきた自分なりの考えを伝えることできると良いでしょう。
このように豊富な経験や知識を生かし活躍できる場所はたくさんあります。
年齢が気になって転職に踏み切れていない方は、ぜひ自分のスキルに自信をもって挑戦してみましょう。
では次に、年代ごとの転職事情を詳しく解説していきたいと思います。
ぜひ参考にしてくださいね。
年齢別の転職の理由とは?
ライフイベントや価値観の変化など、転職を考えるタイミングがそれぞれあることでしょう。
ここからは、年代別の転職事情について紹介していきたいと思います。
20代看護師の転職事情
厚生労働省職業安定局の「職業安定業務統計」によると20代の看護師の9割以上が病院に勤務しているそうです。
20代は体力もまだあり、新しい仕事にも慣れるのがはやいのが強みですね。
どのような理由で転職を希望しているかたが多いのでしょうか。
主な理由としては
- キャリアアップを目指したい
- 今までとはちがう診療科を経験したい
- 人間関係のよい職場にいきたい
- 今より待遇のよい職場を探したい
などがあります。
20代は、看護大学を卒業して最初に就職した職場からの転職を考えるかたが多いです。
実際に働いてみて、臨床経験を積んでいくと自分が理想とする看護師像が見えてきて、実現するために転職を考える人もいます。
また、病棟で患者さんの入院生活の支援をしてきたけど、退院後の生活の援助もしてみたいと思い、訪問看護師を目指すなど診療科を変える人もいます。
また、昇給がなかなかできなかったり、先輩看護師との関係や後輩との板挟みに悩んでいたりする場合もあります。
キャリアアップやこれまでと異なる分野での活躍を希望して転職先を探す場合、つぎのような点がポイントとなってくるでしょう。
- 多忙な現場についていくことのできる体力
- 学習意欲
- 新しい環境に柔軟に対応できる適応能力
規模の大きい病院では、急変や病状の重い患者さんが多くいます。
必然的に業務量も多くなるので、体力があることは強みになります。
また、若い看護師には長期的に勤務してもらいたいと採用側は思っています。
なぜなら将来的には病院を支える存在になってもらうことを期待しているからです。
よって学習意欲や環境に適応していける柔軟性も求められているといえるでしょう。
また、人間関係や待遇の改善を求めて転職する場合は、前述のポイントにくわえて
- 人間関係を円滑にするためにしていること
- 日々の業務や自己学習で頑張っていること
このような日頃の努力をアピールできることがポイントですね。
20代の看護師は、ほかの年代に比べて経験は少ないですが体力や思考の柔軟性などが強みになるといえるでしょう。
30代看護師の転職事情
つぎに30代の看護師の転職事情について紹介していきます。
30代は、経験を積んでいるので即戦力として期待されている年代ですが、どのような理由で転職を希望しているのでしょうか。
主な理由としては
- 結婚や出産によるライフスタイルの変化
- 大学院へ進学して専門分野を極めたい
などがあります。
年齢的に結婚や出産などのライフイベントが多い年代です。
家庭との両立を考えて、夜勤のない職場や時短勤務が可能な部署への転職を考えることもあるでしょう。
また、認定看護師や専門看護師の資格をとるには臨床経験の年数が定められているため30代くらいから専門分野を意識して転職する人が増えてきます。
このように生活スタイルの変化を理由に転職を考える人と、さらなるキャリアアップを目指して転職を考える人がいます。
30代の看護師の転職のポイントは、「自分のライフプランに合った働き方ができるか」といえます。
〈結婚や出産を機に転職を考える場合のポイント〉
- 時短勤務や夜勤免除の制度があるか
- 託児所などの子どもを預けることのできる場所があるか
〈キャリアアップを重視して転職を考える場合のポイント〉
- 極めたい分野に特化した診療科目があるか
- 進学に対するバックアップ体制があるか
など自分の状況にあった条件を明確にしておくと良いでしょう。
このほかにも、看護師として中堅からベテランと呼ばれる年齢なので後輩の指導やスタッフ同士の調整役など求められることも多くなってくるでしょう。
自分の条件をよく考えつつ、職場に求められていることや今までの経験をアピールできるといいですね。
40代看護師の転職事情
一般的には転職が難しくなってくる40代ですが、看護師なら今までの経験を生かすことができる職場がたくさんあります。
看護師の年齢分布でも40代の看護師がもっとも多いという調査結果になっており、活躍している看護師がたくさんいることがわかっています。
一体、どのような理由で転職を考えるのでしょうか。
主な転職理由としては
- 管理職としてちがう職場で活躍したい
- 育児がひと段落したのでたくさん働きたい
- 体力的に夜勤がきつい
などがあるようです。
40代以上になると豊富な経験と知識を生かして、管理職としてキャリアアップできるチャンスがある年齢になってきます。
また、結婚や出産などのライフイベントが落ち着き、仕事に時間をかけることができるようになってくるとパートから常勤への転職を考えることもできるでしょう。
その反面、だんだんと体力面ではきびしくなってくる方が多いようです。
年齢を重ねても夜勤や不規則なシフトの中で、勤務されているかたはいらっしゃいますが夜勤のない職場への転職を希望するかたも増えてきます。
40代以上の看護師の転職のポイントは
- ライフスタイルに合わせた職場を選ぶ
- 自分の経験を十分に発揮できる職場を選ぶ
などが挙げられます。
年齢的に体力の問題は出てきますが、やはり今まで積み重ねてきた経験と知識にはそれ以上の価値があります。
自分の魅力をアピールすることができれば、体力面でも無理なくキャリアアップも目指すことができるでしょう。
50代以上の看護師の転職事情
年齢的に転職のイメージがあまりない50代以上ですが、看護師の転職者は50代と60代が約3割を占めています。
50代以上の看護師は何を求めて転職するのでしょうか。
さっそく見ていきましょう。
主な転職の理由として挙げられるのは
- 管理職ではなく、患者さんと接する現場で働きたい
- 体力面で無理なく働きたい
- 残りの看護人生を大切にして働きたい
などがあります。
管理職として活躍されている人が多い年代ですが、「やっぱり患者さんと触れ合いたい」という自分の価値観に気づき管理職からスタッフへの転職をする方もいます。
また、50代以上は体力で若い看護師に勝つことは難しいですが、ベテラン看護師として質の高い看護技術や経験に期待されることがたくさんあります。
業務をこなすだけでなく、周囲のスタッフをまとめる役割も期待されていることでしょう。
転職のポイントしては
- 自分の価値観をしっかり考えて転職を決める
- 看護師として今までの経験をどのように生かせるのかよく考える
など挙げられます。
ベテラン看護師として自分の看護技術と価値観を十分に発揮して、看護人生の集大成をできるといいですね。
まとめ
この記事では、看護師の転職と年齢の関係について紹介してきました。
看護業界は、年齢ごとに適した職場が変化していきます。
選択肢が多くて迷ってしまうこともあると思いますが、そんな時は転職エージェントを利用しみるのもおすすめです。
転職エージェントに登録すると、希望に合った仕事を紹介してくれるので仕事を探す時間の節約にもなるので忙しい看護師にはありがたいですね。
エージェントによっては、面接への同行など手厚いサポートをしてくれる場合もあるので転職もスムーズに進められるでしょう。
ぜひ、ご自分の看護師としての魅力を存分に生かして転職を成功させてくださいね。