転職のきっかけは人それぞれですが、引き抜きやヘッドハンティングでの転職は、通常の転職より好条件になるイメージが強いのではないでしょうか?
引き抜きでは転職活動が不要であったり、年収アップする可能性も高いですが、思わぬ落とし穴やリスクもあります。
今回は、実際の成功事例と失敗事例を紹介しながら、引き抜きによる転職について徹底的に解説します!
引き抜きとヘッドハンティングの違いは?
そもそも引き抜きとヘッドハンティングという二つの言葉、一見同じように聞こえますが、意味がそれぞれ異なります。
まず引き抜きとは、他企業からスカウトを受けて転職をすることです。
引き抜きが行われる際、役職などに囚われず、広く優秀な人材を引き抜かれることが多いです。
一方、ヘッドハンティングとは企業の取締役や役員など、会社の運営に大きく関わる人材を対象に引き抜かれることを言います。
引き抜きとヘッドハンティングには、役職だけでなく、自身に対する期待値にも違いがあるので、しっかりと理解しておく必要があります。
引き抜きで転職した場合のメリット
引き抜きで転職した場合のメリットは何があるでしょうか?
冒頭で引き抜きはリスクやデメリットも多いと説明しましたが、引き抜きによるメリットはいくつかあります。
条件次第で状況が好転する可能性も高いので、しっかりとメリットを理解して引き抜きで転職するのか慎重に検討していきましょう。
転職活動をしなくてよい
引き抜きによる転職では、転職活動をする必要がありません。
通常、転職を考える際は転職支援サービスなどを通じ、履歴書を作成して面接に挑みます。
引き抜きでは、エントリーや書類選考など一連のプロセスがなくなるので、よりスムーズに転職することが出来ます。
また、在学中に就職活動を行う学生と違い、引き抜きの場合は時間にゆとりの少ない在職中の社会人に多いです。
平日に面接が行われる事もないので、面接日次と仕事がバッティングすることなく転職活動を進めることが出来ます。
年収アップする可能性が高い
引き抜きの最大のメリットは、現職より年収アップする可能性が高いということです。
優秀な人材を他企業から引き抜くということは、現状より上の役職を用意されている場合もあります。
規模が大きく成長率の高い企業であったり、大きな仕事を任される管理職として転職した際には、年収アップする可能性も高くなるでしょう。
普通に転職するよりもより、高条件でキャリアアップ出来る可能性があります。
スキルや経験を活かせる
引き抜きは、今までの実績やスキルを評価されて行われます。
能力を評価されれば、転職した際に、即戦力として自身の持つスキルや経験を十分に発揮することが出来ます。
より自身の能力に合った企業であれば、キャリアアップ出来る事間違いないでしょう!
しかし、引き抜く側が、キャリアを引き合いに自社に転職するメリットばかり協調して引き抜こうとする場合もあるので要注意です。
つまり自身のスキルと経験が本当に活かせるかどうか慎重に判断して、会社選びを進めて行く必要があります。
引き抜きで転職した場合のリスクは?
引き抜きで転職することはメリットだけでなく、リスクもあります。
引き抜きを打診されると、自身の実績やスキルが評価され、前向きな気持ちになり、メリットばかりが注目されがちです。
引き抜きで転職を考える際は、転職後に後悔しないよう、引き抜きによるリスクもしっかりと理解しておきましょう。
前の会社とトラブルになることもある
引き抜きでの転職は、前の会社とトラブルになる事も少なくありません。
日本では職業選択の自由が法律で定められているため、引き抜き転職は違法ではありません。
しかし、同業他社へ引き抜きで転職することは、技術や顧客情報の流出を懸念される為、前の会社からはいい顔をされないでしょう。
転職後に機密情報などを流出すると、前の会社から訴えられる可能性もあります。
退職を申し出る際は、どんな影響やトラブルがあるか考えて慎重に行いましょう。
高い能力を求められる
わざわざ他企業から引き抜きをするということは、スキルや経験を引き抜き先の企業で発揮してもらおうと期待されている場合が多いです。
転職後に期待にそえないと、社内の風当りが強くなり、居心地が悪くなるでしょう。
転職する前に自身の能力や経験が、転職先の企業で発揮出来るか、客観的に判断することが大事です。
精神的な負担が大きい事も覚悟して、あまりにも企業側の期待値が高すぎる場合には、お断りをすることも考えましょう。
提示条件と入社後の条件が違うことも
引き抜き時にで打診された時の提示条件と入社後の条件が違うこともあります。
現状より高い給料を打診されたと思ったら、実は残業代を含んだ金額で提示されていたというケースもあります。
そのため、契約前に正式な書面を発行してもらい、細部まで確認することが大切です。
労働安定法65条9号より、虚偽の条件を提示することは法律で禁止されていますが、虚偽を立証することは非常に困難とされています。
事前に確認できることは全て確認しておきましょう。
人間関係でトラブルが起きることも
引き抜かれて入社したことが、引き抜かれた企業に知れ渡っている場合、人間関係でトラブルを起こすことも少なくありません。
『仕事が出来て当たり前の人材』と思われているため、少しでも仕事がこなせないと、嫌な顔をされたり、落胆させる可能性もあるでしょう。
入社後は誰よりも謙虚に仕事をこなし、自ら積極的にコミュニケーションをとることが大切です。
引き抜きで転職するということは、周りの見る目も違う、ということを知っておきましょう。
引き抜き転職の成功事例
実際の引き抜き転職による成功事例には下記のようなものがあります。
- 収入が1.5倍から2倍になり、前社よりやりがいのある仕事を任されるようになった
- 残業時間が減り、休日も増えるなど、労働環境が改善され、以前よりプライベートな時間を確保できるようになった
- 即戦力として、前社での経験やスキルが発揮でき、順調に出世することが出来た
引き抜き転職の失敗事例
リスクやデメリットも多い引き抜き転職には、失敗事例も数多くあります。
実際にあった引き抜き転職の失敗事例には下記のようなものがあります。
- 期待されていた程の仕事が出来ず、人間関係で苦労した
- 提示されていた条件と入社後の条件が違い、結果的に収入が減少した
- 収入は上がったが、労働環境がきつく2年で辞めることになった
成功と失敗、どちらにも転じる可能性があるのが、引き抜き転職の現実です。
引き抜きによる転職を断る場合は?
メリットやリスク、現状など様々な観点から考慮した結果、引き抜きによる転職を断る場合もあるでしょう。
辞退する際は、引き抜き先の企業にメールか電話で丁重に申し出ましょう。
辞退の意思を伝える際、今後引き抜き先の企業へ転職する可能性があるかどうかで伝え方が変わってきます。
◎いずれ転職する可能性がある場合
『高い評価を頂き光栄ではありますが、条件などを考慮いたしました結果、今回は見送りとさせていただければと存じます』
将来的な転職も視野に入れ、引き抜き先の企業と良好な関係を築くようにしましょう。
◎転職する意思が全くない場合
『高い評価を頂き光栄ではありますが、転職する意思はございませんのでこの度のお話はお断りさせていただきます』
引き抜き先企業への敬意は払いつつも、含みをもたせずきっぱりとお断りしましょう。
引き抜き転職の打診をお断りすることは失礼にはなりません。
しかし、打診されてから返事を先延ばしにしずぎるのは失礼にあたります。
返答に期日がある場合は期限内に、期日が無い場合でも1週間以内には返答をして、ビジネスマンとして最低限のマナーを心がけるようにしましょう。
まとめ
引き抜き転職には、収入アップや出世など魅力的なメリットがある反面、多くのリスクやデメリットが潜んでいます。
引き抜きを打診された際は、石橋を叩いて渡るつもりで、条件や環境を精査しましょう。
引き抜かれるということは、他企業から見ても優秀な能力、スキルがあるということです。
転職を考えているなら、この機会に別の企業への転職も視野に入れて、調べてみるのも一つです。
転職後に後悔が残らないよう、迷いのない決断で次のステージに進みましょう。