近年、問題視されるようになってきているのが、部下から上司へのいじめや逆パワハラです。
被害のターゲットになり得る可能性が高いのが、仕事ができない中年社員です。
しかし万が一被害に遭ったとしても、パワハラのように問題を公にできず、泣き寝入りするケースが少なくありません。
では、実際にいじめや逆パワハラに遭ったとき、どのように対処すれば良いのでしょうか。
この記事では、逆パワハラに該当する行為や適切に対処する方法について解説していきます。
逆パワハラの実態
そもそも逆パワハラとはどのようなものを指すのか。
逆パワハラが起こる背景や被害に遭う人物像についてみていきましょう。
逆パワハラとは?
逆パワハラとは、上司に対して部下が行うパワーハラスメントのことです。
パワハラの立場が逆転した構図が逆パワハラになります。
労働施策総合推進法でのパワーハラスメントの定義は、
「職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、その雇用する労働者の就業環境が害されること」とあります。
さらに厚生労働省の指針には、「優越的な関係を背景とした言動」には部下の言動も含まれることが記されています。
パワハラは上司から部下への言動のみならず、部下から上司への言動も同様に問題とされるべき悪しき行為なのです。
部下の言動や行為が、次のようなことが起こると、会社にとっても損害を生じることにもなります。
- 業務を円滑に遂行することが難しくなる
- 部下による集団的な行為により、抵抗や拒絶が難しくなる
- 逆パワハラが損害賠償問題に発展する
なぜ逆パワハラは起こるのか?
逆パワハラが起こる理由はいくつかあります。
詳しく見ていきましょう。
- 上司のマネジメント不足
若い社員は、小さい頃から当たり前のようにスマホやインターネットの媒体に触れてきました。
そのため、中年社員よりもITスキルが高く、知識や経験が豊富な場合が少なくありません。
そんな時代背景が起因し、若い社員が仕事ができない中年社員をあからさまに馬鹿にしたり、指示に従わなかったりする事態が起こるのです。
- 逆パワハラの認識不足
また、上司から部下へのパワハラ問題は周知されていますが、逆パワハラはまだ周知されていません。
そのため、部下も逆パワハラだと認知していない可能性があります。
さらに権利を逆手にとって、会社や上司に対して強く権利を主張するようになります。
そうした中で、部下が上司に対して強い態度をとることが日常的になり、上司の立場や権限がないがしろにされる状況を作り出しているのです。
- 職場環境
しかも、パワハラ多くは1対1ですが、逆パワハラは上司1人に対して部下複数人で行われる傾向があります。
たとえ立場的に弱い部下であっても、集団化すれば上司に対して逆パワハラが容易に行える状況だと推測できます。
このような上司への部下による逆パワハラによって、精神的な病気になったり、休職や退職に追いやられたりするケースが増加しているのです。
逆パワハラに遭う人の特徴
逆パワハラに遭ってしまう原因は、上司の側にもあります。ここでは逆パワハラに遭いやすい人の特徴についてあげてみました。
- 管理能力がない
- パワハラである
- コミュニケーション能力が低い
- ミスが多い
- 自己中心的
- 仕事が遅い
- 非効率的
- タイムマネジメントが下手
- 意識が低い
- 受け身の姿勢
- 一般的なことしかできない
上司には部下を従えて、一貫した態度や部署を仕切る能力が必要だと言えます。
特徴に共通していることは、仕事ができない人の特徴と一致していることです。
またパワハラ上司と捉えられる人も、逆パワハラという部下の反撃に遭いやすいと言えます。
逆パワハラに該当する行為
逆パワハラにあたる行為は、知らず知らず黙認されていることも多いです。
具体的な逆パワハラの行為について見ていきましょう。
無視をする・指示に従わない
上司のことを無視したり、指示に従わなかったりすることで、会社全体の業務に支障が生じます。
これらは精神的な苦痛を与えることにもなる逆パワハラです。
縦社会を重視している上層部はこれを取り合わず、逆に上司の管理不足を問われることも多いのが実情でしょう。
誹謗中傷
TwitterやFacebookなどのSNSを使い、個人を誹謗中傷することは社会問題になっています。
仕事に関係ない上司の人柄やプライベートをインターネットで中傷することは、逆パワハラです。
ただし、知らないところで広まっていることが多く、発見しにくいケースと言えます。
暴言・暴力
部下から上司へ馬鹿にしたような言動や胸ぐらを掴む・頭をはたくといった行為は、逆パワハラになります。
上司から部下への同様の行為はパワハラで訴えられると周知されていますが、部下からの行為は許されると誤認識されていることも多いです。
パワハラと同等の行為であり、訴えるべきことだと言えます。
無能者扱い
部下が上司に対して、人前で「仕事ができない人」「何もできない人」だと罵倒することも逆パワハラになります。
上司としての面目がつぶれて、部署内での統率がとりにくくなり、精神的にも大きなダメージを受けることになるのです。
虚偽のハラスメントを訴える
パワハラが社会的に問題視されていることを利用して、部下があたかも上司にパワハラをされたと訴えるケースです。
これも逆パワハラになります。
何事にもパワハラだと訴える部下に上司が頭を悩ませるといった場合も少なくありません。
逆パワハラの対処法
逆パワハラに遭った場合は、落ち着いて対処することがポイントになります。
まずは現状確認と状況証拠を集めることが先決です。
場合によっては、第三者機関も利用しましょう。
逆パワハラの基準を確認する
置かれている状況を逆パワハラの基準と照らし合わせてみましょう。
正確に現状を把握することが大切です。
誰にどのようなことをされ、どのような状況なのか。
事実確認を明確にし、逆パワハラにあたるかどうか精査しましょう。
- 部下が優位性を示いている
- 精神的な苦痛を与えている
- それに伴い業務に支障が出ている
といったことも判断基準となります。
上司である権限を正しく使う
上司の指示に従わないということは、会社の業務を妨害する行為であり、服務規程違反に準じます。
たとえ上司よりも有能な部下であったとしても、上司に従うのが組織内では当然のことです。
もちろん上司である自分自身も、最先端のスキルや知識を身に付けることは必要になります。
基本的に上司として、毅然とした態度で部下を指導するよう努めましょう。
その際、権限を振りかざすのではなく、的確な指示を出して問題の解決にあたりましょう。
逆パワハラに対する情報収集をする
逆パワハラに遭っている場合は、その事実を第三者に証明する必要があります。
証拠がないとうやむやにされるケースも考えられるからです。
また第三者の視点でも認識できるよう、逆パワハラに遭っている状況をできる限り集めましょう。
その際、メールの履歴や音声の録音などは有効です。
逆パワハラが立証されることで、会社の上層部が解決の方向へと動いてくれる可能性もあります。
しっかり証拠集めをしておくことが大切です。
いざというときに訴えが受け入れられるように備えておきましょう。
第三者機関へ相談する
会社の上層部や人事部に相談しても、取り合ってもらえない、解決できそうにない場合もあるでしょう。
その場合は、第三者機関を利用することをおススメします。
会社の逆パワハラ問題を相談するなら、以下の3つの機関が良いでしょう。
- 労働基準監督署
- 労働組合
- 弁護士
自分の所属する会社の労働組合や労働基準監督署に状況を話してみてください。
会社の上層部や上司に働きかけてくれる可能性があります。
また、仕事や会社関係の問題に詳しい弁護士に相談してみるのもよいでしょう。
退社を望むなら退職代行へ依頼しよう
逆パワハラの渦中にいると退社を望んでいても、「直接伝えにくい」、「上手く切り出せない」など不安や心配が先立つでしょう。
悩んでなかなか動けないときには、退職代行に依頼してみてください。
すぐに解決に向けて動いてくれるでしょう。
退職代行とは?依頼するメリット
退職代行とは、会社を退職するまでの手続きを自分に代わって行ってくれるというものです。
社内で問題が生じている場合でも、スムーズに対応してくれます。
退職代行を依頼するメリットは大きく3つあります。
会社との交渉を代わって行ってくれる
いざ会社を退職するとなると、顔を合わせて話をしたくなかったり、話が進まなかったりする場合があるかもしれません。
そんなときには退職代行に退職に関する事務的なことを一任できるので、安心です。
退職代行に依頼すれば私情を一切挟み挟ません。
退職時にかかるストレスも半減し、滞りなく退職まで進めてくれるでしょう。
退職できなかった場合も保証がある
退職代行には、万が一会社を退職できなかった場合の保証制度があります。
そのため、依頼しても「費用だけかかって退職できなかった」ということがありません。
保証があるといっても、依頼時に退職代行の流れや内容についてしっかり理解しておくことが必要です。
併せて保証制度についても事前に確認しておくようにしましょう。
無料の転職サポート付き
退職代行サービスには、退職後のサポートもあります。
次の転職に向けて、必要なサポートが無料で受けられるというものです。
通常退職には時間と労力が費やされ、なかなか転職までの力が残っていない場合もあります。
ですが、退職代行はそれらを一括して行ってくれるため、転職への余力を残すことができるでしょう。
退職すると決めたら、気持ちを切り替えて次のステップに進みたいとこです。
積極的に利用してみると、良いでしょう。
下記の記事では退職代行「NEXT」について詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
まとめ
パワハラのようにあまり認知されていませんが、逆パワハラも問題にすべき事例です。
逆パワハラ問題をうやむやにすることなく、しっかり向き合い、落ち着いて対処しましょう。
逆パワハラを生じる要因は必ずあります。
自分が部下よりも仕事ができない側面があったとしても、知識や経験、交渉術には若い社員も勝てないはずです。
これまで培ってきた自信や誇りを失わず、毅然とした態度で応じ、解決していきましょう。
また、退職を検討している場合、次の職場が決まっているとスムーズに退職することができます。
下記の記事では年代別の転職成功のポイントを解説しているので、ぜひご覧ください。