正社員として入社したのに昇給がなしの企業ということに気づいて悩んでいませんか?
求人票で「昇給年1回」と記載があったのに実際に昇給がないという場合や今まで昇給があったのに見送れた場合、「ヤバい?」と心配になった時の対処方法を解説します。
入社前に昇給があるはずだと思っていたのに実際にはなかったということを防ぐためには、就職活動の際に、入社前に就業規則を確認しておく必要があります。
ただし、入社後にあるはずの昇給がないという事実を知る可能性もあります。
原因の可能性としては、景気の悪化などで企業の業績が悪化している場合や実績や評価が関わっている可能性などがあります。
今まであった昇給が「そういえば今年はない」「ここ数年ない」と気づいた場合は、会社自体の業績が悪化している可能性か、昇給システムが変更されている可能性が考えられます。
「昇給なし」はアリなのか?違法なのか?
「昇給がないのはおかしいのではないか?」と疑問や不満を抱く方も少なくありません。
企業の昇給がないことは違法なのかについて解説します。
そもそも昇給とは?
昇給には「定期昇給」と「ベースアップ」の2種類があります。
一般的は一年に一度昇給額が見直される定期昇給のことを指す場合が多いです。
定期昇給は、従業員の能力に関係なく、年齢や勤続年数によって給与額が上がるという特徴があります。
「ベースアップ」とは、労働組合と企業の話し合いによって社員の基本給が上がる制度で、その時期が決まっているわけではないという特徴があります。
また、「定期昇給」と「ベースアップ」のほかの昇給としては、業績の向上などで必要性を認めた場合に行われる「臨時昇給」があります。
昇給なしの企業はどれぐらいあるの?
昇給がある、ないで問われるのは、一般的には年に一度のタイミングで行われる定期昇給のことを指します。
定期昇給を行わない企業は、実際には存在します。
厚生労働省発表の令和2年中に定期昇給制度のない企業の割合は、一般職16.1%、管理職21.7%となっており、定期昇給制度があっても昇給を行わない企業は一般職で5.9%となっています。
(出典:「令和2年定期昇給制度・ベースアップ等の実施状況)より)
この数字からも、全ての企業が定期昇給を実施するわけではないことと、定期昇給の制度があったとしても行わない企業が少数派ですが存在することがわかります。
昇給なしは違法なのか?
「昇給なしというのは違法ではないだろうか?」という疑問についてですが、おかれた状況の立場によって判断は異なりますが、昇給がなくても違法にならないケースがほとんどです。
昇給については、就業規則と労働契約に書く必要はありますが、内容に関する規定がないため、昇給がなければ「昇給なし」と書いても違法になりません。
企業の業績悪化や個人の成績の不振、やむを得ない事情があるなど、就業規則によって定められている条件に該当があれば昇給を見送られることもあります。
ただし、産休や育休などを理由に昇給が見送られたなど、規則に定められている条件以外での見送りは違法になるケースもあります。
就業規則自体が不当ではないかと感じるようであれば、労働基準監督署などで相談してみましょう。
昇給がないとわかった時の対処方法
企業からの説明なしで毎年あった昇給がなくなったとわかった場合も戸惑うものです。
制度があるはずだったのに実施されないといった場合は、どういう可能性があるのか、またどのように対処したらいいのかについて解説します。
説明なしで昇給なしになってしまった場合
就業規則と労働契約に定期昇給についての規則があっても、昇給がない場合、景気や社会的背景での業績悪化によって昇給が見送られている可能性があります。
企業側から昇給がないことについての説明がきちんとあり、その理由が企業の業績の悪化が原因とわかっているのならば、しばらく様子を見るのも一つの選択肢です。
「ずっとこの会社で働きたい」という気持ちがあるのであれば、業績がアップする可能性も視野に入れつつ、我慢しながら様子をうかがってみましょう。
賃金については明示すべき労働条件の一つであっても、昇給については書面で通知しなければならないといった法的な義務はありません。
それでも、会社側からの通知や説明がないことに対して納得いかない場合は、個人の力では企業との対等な話し合いは一般的には難しいため、労働組合を通して交渉してみましょう。
また、会社の経営状態や業績が悪化しているかどうかは一般的にはWEB上で調べることもできます。有名企業ならば企業ホームページに掲載されている場合が多いです。
中小企業の経営状態は、WEBで帝国データバンクや商工リサーチのサービスなどを利用して、有料ですが調べる方法もあります。
会社情報からは、売上高や取引先に注目することがポイントです。
昇給なしでもモチベーションを上げる方法
昇給のない会社だからとすぐに退職を考えがちですが、すぐに退職に踏み切ることはそれなりにリスクを負います。
例えば、転職活動が長引く可能性もありますし、転職となればまた一から仕事を覚えなければならない状況も考えられます。
悩んだ結果、様子を見てしばらく続けてみようと思っていても、「どんなに頑張っても収入はないのだから」と、仕事に対するモチベーションが保てないという悩みを抱える場合もあります。お悩みの気持が少し楽になるための、収入面と精神面の二つの側面からモチベーションを保つ方法を紹介します。
収入面では、昇給がない代わりに、各種手当を利用する方法があります。
資格手当や皆勤手当、職能手当など、自分の努力次第で収入を少しでも増やす方法がないか就業規則を確認してみましょう。
収入アップという面では副業を始める方法もありますが、会社の就業規則に反する場合もあるので、就業規則を確認してからはじめましょう。
精神的な面でのモチベーションについては、昇給がないと仕事に対してやる気が出ないと悩んでしまうものです。
そのような時には、モチベーションを保つための気持ちをいったん組織の中の自分から切り離し、人生の中で成し遂げたい目標に向けてみたり、取りたかった資格の取得を探してみましょう。
例えば英会話のスキルアップや、ITのスキルアップのために資格取得にチャレンジすることで、自分自身の成長を実感し、精神的な充実感を感じられるようになります。
取得した資格は、いつか転職や次の職場で役立つ可能性もあります。
転職に役立つ資格に注目してみよう
定期昇給がないとわかり、退職の決心もつかず、とどまるかについても心に迷いがある場合、転職に役立つ資格に注目してみることをおすすめします。
長い人生の中で、どの企業でも通用するような資格を取っておくことをおすすめします。
得意な分野の取得が取り掛かりやすいですが、一般的にどの分野の仕事でも役に立つ可能性があるのが、語学の資格とITの資格です。
英語のスキルの資格であるTOEICならば600点~800点以上、TOFELならば213点以上で転職の武器になります。
IT系で役立つ資格の例は、ITの人材として基礎的な技能を身に着けている者とみなされる「基本情報技術者」があります。
資格を取得することで、ITエンジニアとしての基礎知識を習得できるため、さらにシステムエンジニアやプログラマーの仕事を目指したい方は役に立ちます。
サイバーセキュリティーについての専門的な知識と異能を活用できるとみなされる「情報処理安全確保支援士」もおすすめです。
サイバーテロの攻撃脅威が増えている中で、セキュリティーの専門的な知識のある人材の需要は増えています。
取得することでセキュリティーエンジニアやセキュリティーコンサルタントとして活動できる可能性が広がります。
その他、役に立つ資格と立たない資格は下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてください。
転職を検討する
定期昇給がないとわかり、会社に説明を求めても回答がなく、業績が悪化していることがわった場合、「このまま働き続けていいのだろうか」と不安になるものです。
今の職場をやめて昇給のある会社への転職を検討するというのも一つの方法です。
もし、昇給がなくても仕事内容にやりがいを感じている場合や、社風や人間関係が気に入っている場合は、自分の気持ちと向きあい検討してみましょう。
そして、業績悪化はしていなくても利益を社員に還元しない社風や、時間外労働がとても多いなど「ヤバい企業なのではないか?」と感じたら、転職を検討するのも一つの方法です。
昇給なしの企業を上手に辞める方法と転職成功のポイント
転職したいと決めたならば、きちんとした手続きをとり退職しなければなりませんし、転職先の企業を探す必要があります。
転職先の企業の情報は、昇給制度や将来性などをしっかり確認しましょう。
転職の準備については転職エージェントに相談しながら進めると、スムースに進めることができる可能性が高いです。
ここでは、現在の職場の退職方法と転職の成功へのポイントについて解説します。
円満に会社を辞める手順と方法
いざ退職しようと決心しても、上司に引き留められてしまい退職届けを受理してもらえない場合もあります。
会社を辞める時には喧嘩をして辞めるのではなく、できるだけ穏便に、円満に退職をするようにしましょう。
なぜならば、転職しようとしている会社から在籍していた会社へ問い合わせが入ることがあるためです。
悪い印象を与えてしまうとそのまま報告されてしまう可能性があるので、できる限り円満退職を心がけましょう。
円満退職をするためのポイントは、上司に退職の意思を告げるタイミングと正当な退職理由を伝えることです。
退職は引継ぎの期間も含めて1.5~3カ月ぐらい前に伝えるべきです。
就業規則に書いてある場合もありますので確認しましょう。
そして、上司に告げる時には、忙しい時に仕事の合間に言うのではなく、二人だけになれる面談室などで時間を作ってもらった上で伝えましょう。
退職理由は会社への不満を言うのではなく、引き留められないような「新しい分野に挑戦したい」など、向上心のある退職理由を告げることがポイントです。
「給与に不満がある」と告げると、「入社時に確認していないのか」と納得してもらえないか、「改善できるようにするから」と引き留められる可能性があります。
向上心のあるポジティブな理由であれば、上司の方も無理に止めずに応援をしてくれる可能性が高いです。
昇給制度のある転職先を探そう
昇給制度のある会社を探すための方法として、求人に掲載されている給与額と平均年収との差で予測する方法があります。
しかし、より詳しい情報を収集したい場合は、転職エージェントを利用することをおすすめします。
転職のための専任アドバイザーに、転職したい条件を相談してサポートしてもらうことは、一人で孤独に転職活動をするよりも効率的です。
転職エージェントを利用することのメリットは、他にもあります。
- 無料で利用できること
- 自分の求めている条件や要望に合った企業を紹介してくれる
- 他の求人サイトに公開していない求人を紹介してもらえる
- 面接のアドバイスなどをしてくれる
- 相手企業と給与条件について交渉してくれる
このようなメリットを利用することで、転職活動の大変さやストレスが軽減でき、スムースに転職活動を進めることができます。
退職理由に昇給なしを伝えるべきか
転職の面接の際には、必ず退職理由を聞かれます。
本当の理由が昇給なしで待遇に不満があるということだったとしても、「昇給がなかった為です」と答えてはいけません。
面接では、ポジティブな理由を述べることが成功のポイントです。
例えば「この仕事をしたかった」「自分の能力が生かせる仕事だと思う」など、自分の意欲が伝わるような前向きな理由を述べましょう。
伝えてはいけないネガティブな退職理由の例としては、「待遇面に不満があった」「会社から正当な評価をされなかった」「人間関係がよくなかった」などです。
採用担当者は、退職理由を聞くことで、会社にとって必要な人材かどうかを見抜きます。
ネガティブな退職理由を述べる人は、「会社が変わっても会社に対して不満を持ち、すぐにやめてしまう可能性があり、会社にとっては不要な人物である」とみなされてしまいます。
履歴書に書く場合も同じことがいえますので、退職理由に「昇給がなかった為」とは書かないように注意しましょう。
年齢や職種別のおすすめ転職サイトは下記の記事で詳しく解説しています。
まとめ
昇給なしの企業とわかった時には、慌てずに就業規則と労働契約を確認しましょう。
業績悪化など就業規則に定められている条件に該当すれば昇給を見送られることもあり、昇給がないということは違法でないケースがほとんどです。
しかし、あるはずの昇給制度がないなど、企業側からなんの説明もなく、「業績が悪化しているヤバい企業なのではないか?」と疑わざるを得ない場合には、転職の検討は一つの方法です。
また、昇給制度が書き換えられて、定期昇給が成果主義の昇給システムに変わっていないかも確認してみましょう。
昇給のある企業へ転職したいと思ったならば、転職を成功させるポイントは、ネガティブな退職理由は控えて、意欲的なポジティブな理由を掲げて面接に臨むことです。
転職エージェントを利用すると、専任アドバイザーへ相談できるなどのサポートを受けられるため、転職活動を円滑に進めることができます。
転職エージェントを利用して転職成功する方法は下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひ本記事と合わせてぜひご覧ください。