よくあるのが、面接時に年収についての話が出てこなかった場合に、不採用となってしまうのかと考えますよね?
反対に希望年収について聞かれたらどう答えるのが良いのかわからない、といった人も多いでは。
そもそも年収の話になる理由や聞かれない理由を考えていけば、どういった答え方や質問の仕方が良いのかを紐解くことができるでしょう。
その理由や対策についてのポイントを解説します。
転職活動の面接で希望年収を聞かれない3つの理由
先に結論をお伝えしますと、たとえ聞かれなくても不採用ということはありません。
これには3つの理由があります。
希望年収を質問するタイミングは企業ごとに異なる。
希望年収をどのタイミングで聞くかは企業によって異なり、一次面接で聞く企業もあれば、最終面接で聞く企業もあります。
その為、一次、二次面接の段階で聞かれていないからといって「不採用決定」とはなりません。
「最終まで終了したが、一度も聞かれなかった。」
こんな方もいるでしょうが、それでも不採用決定ではありません。
年収は採用側の判断のみで決定されることもある。
応募者の経験やスキルから判断して、採用側が独自に決定することもあります。
つまり、希望年収額を問わないケースもあるということ。
求人情報で「経験やスキルを考慮して決定」という文言を見たことがあるかと思いますが、企業によっては「こちらで判断させてもらいます」という意味合いの場合が多いです。
このケースは、合格者であっても聞かれることはありません。
内定通知書と共に給料や年収が提示されるので、その額を見てどう判断するかはあなた次第です。
最初から最低額を提示する企業も存在する。
企業は採用リスクを軽減したいと考えているので、本当の実力が分からない段階で高い年収を支払うことを避ける傾向にあります。
これはどんな企業にも当てはまり、営利企業であれば最大経費となる人件費を抑えようとするのです。
また、基本的には、中途採用者は一律同額スタートを想定しています。
こうした考えの企業も存在するので、聞かれなかったからといって不採用とは限りません。特に、「社会人経験が浅く経験・実績が乏しい若年層」や「未経験職への応募」の場合は基本的に最低額スタートが多いです。
つまり、多くの企業は「給料は入社後の仕事で成果を示し、自分の力で勝ち取って下さい。」と考えています。
では実際に聞かれなかった時に、どうしても聞きたい場合はどんな方法で聞くのが良いのでしょうか。
転職の面接時に年収に関して上手に聞く方法とは?
印象が良く上手な聞き方はこれです。
「この後の選考ステップを教えていただけますか?」
「条件面のご提示はいつ頃と考えていればよろしいでしょうか?」
正直に「給与」や「年収」と言わずに「条件面」と述べ、「金額」ではなく「時期」を尋ねます。
これくらいオブラートに包んだ言い方なら、「年収や給与金額を知ろうとしている」ということを伝えつつ「聞きにくいことを大人のテクニックで聞いている」というアピールにもなり、人事担当者も答えやすいはずです。
例をとして3次面接まで行う企業があったとします。
1次面接はおもに、社会人としてのビジネススキルやマナー、企業との相性をチェックしています。
その段階で給与や条件の話を切り出すのは早いです。
2次面接は即戦力になれるかどうかが主なチェックポイントです。
面接管は管理職の人が多いですが、とはいえ現場の給与や年収を決めているわけではありません。
ですので、このタイミングで聞いても返答は見えています。
3次面接は最終的な入社への熱意や覚悟をチェックしています。
給与や年収の話を持ち出すのは完全にマイナス評価に繋がってしまいます。
以上のことから、伝えるタイミングとしては、二次面接の後、最終面接の日程調整をするあたりが1番良いでしょう。
先程の質問に対して「次回面接の際にご提示します」や「内定が出るまでは具体的な条件はお出しできません」などの回答があれば、そこまで待つしかありません。
また、1番安心できるタイミングとしては、内定をもらったタイミングでの交渉です。
一度出した内定を企業が取り消すことは出来ないので、内定が出てから受諾するかどうかを回答するまでの期間に交渉をするのもおすすめです。
よくある答え方として、相手から打診された年収に対して、たとえ希望より下だったとしても、反射的に「大丈夫です」と言ってしまう人が多いです。
コツとしては「一旦考えさせてください」と伝えて、冷静になって考えるのが鉄則。
一度、承諾したことを後から覆すのは難しいので気を付けましょう。
転職活動の面接で年収を聞かれる3つの理由
面接で希望年収を聞かれる理由として考えられるのは3つあります。
これらを事前に把握しておけば、気持ちに余裕を持って回答できるでしょう。
自己評価の確認
希望年収を聞く理由の1つは、応募者が自分の経験やスキルを客観的に評価できているのかを確認するためです。
採用担当者は、応募者が自社に貢献してくれる経験やスキルを持ち、自己評価を正当に出来ているかを見極めたいと考えています。
例えば、実績に見合わないような高い希望年収を提示する人は、自身の経験やスキルを客観的に評価できていないと考えられます。
そういった人物が入社すると、「与えられた仕事の割に給料が安い」など不満を口にして、トラブルのもとになる可能性が高いです。
自分が持っているスキルが応募先の企業でどのぐらい貢献できるのか、入社後に大きなギャップが出ないよう、自身の経験やスキルを客観的に把握しておくことが望ましいでしょう。
年収予算内でのミスマッチ回避
希望年収を聞く理由の2つめは、応募者を予算の範囲内で獲得できるのかを確認するためです。
応募者を採用するために、あらかじめ予算が決められており、それをもとに、合否判断を行うため、 希望年収のみで合否を決定することは多くありません。
いかに優秀な人材でも、提示された希望年収が予算を超過しているのであれば、予算を超えてでも採用すべきかの検討が必要になってきます。
予算以上の年収を提示した場合、提示した年収でそのまま採用されることもあれば、年収交渉となる場合もありますが、当然、交渉にも至らず不採用となるケースもあります。
募集要項以上の年収を提示する際は、リスクがあることを十分に考慮してから行うべきでしょう。
自身の市場価値を客観的に把握している人物かどうか
業界や業種、また職位によって求められる役割は異なるため、その役割をしっかり認識し、会社に貢献してくれる人を採用したいものです。
しかし中には自らの能力を過大評価し、それに見合った年収の提示を求める人もいます。
実際にその人は優秀かもしれませんが、それは前職でたまたまその能力を活かすことができただけ、ということも考えられます。
職場が違えば求められるスキルも違ってくるのは当然のこと。
こうした自身の市場価値を適切に把握できていない人が入社すると、希望年収額で意見の違いが生じる可能性が高まります。
その社員は自分の能力ならもっともらって当然と思っている一方で、会社側は会社内の原則に応じた適当な支給をしている、といったこともあります。
そこでこうした「いざこざ」を面接で事前に防いでおくために、自身の市場価値を適切に把握している人かを、予め確認しておきたいのです。
転職の面接で希望年収を交渉するコツとは?
転職活動の際、応募先の企業が提示した金額に対して給与及び年収の交渉は、基本的には可能です。
提示金額が、現職や前職と比較して低かったり、自分のキャリア・スキルと見合わないと感じ場合は、面接が進んで面接管より、条件提示された段階で聞いてみるのも良いでしょう。
それだけ自分のスキルと転職後の活躍に自信をもっている証拠だと好感を持って受け止められる可能性もあります。
ただし、キャリアやスキルの裏付けもなく給与交渉をしても、採用担当者の心を害するおそれがありますので注意が必要です。
交渉の切り出し方は?
年収交渉の切り出し方としては、初めに「給与体系につきまして、求人情報では拝見しましたが、確認のためあらためて教えていただけないでしょうか」など給与体系全般に関する質問を行ってから、具体的な交渉に進むのがおすすめです。
また、現職または前職の会社の給与を聞かれたときに備え、「基本給が◯万円、残業代が◯万円、ボーナスが○万円、合計年収は◯万円」と詳細に述べられるように準備しておくことが大切です。
一方、給与の希望金額については、現職・前職の給与、キャリアやスキル、実績、取引先との良好な関係状態などの根拠とともに「何%アップの○万円を希望いたします」「〇万円アップの○万円を希望いたします」などと具体的に伝えましょう。
応募先企業に住宅補助などの各種手当がある場合は、給与交渉の際に手当の種類と金額を確認しておくことも大切です。
年収交渉の成功率アップのカギは「本命以外も受けること」
本命の1社に絞って選考を進めようとする方が非常に多いですが、本命の企業以外の他、複数企業の選考を進めることも重要です。
転職活動に時間をかけたくない人は多いですが、労力をかけなければ年収アップはなかなかできません。
最終的に得るものを大きくするために、本命の企業以外も受けると良いでしょう。
複数社との面接の中で「だいたいどのくらいの年収がもらえそうか」が分かるので、それが年収を交渉する材料にもなります。
例えば、A社から450万円を提示された時に「B社からは500万円提示されているので上げてほしい」という交渉ができます。
複数社から内定を得ていれば、「たくさん内定がある=各社が欲しい優秀な人」という評価になりますし、1社だけで選考を進めるより交渉はしやすくなります。
それに、内定が出ると自信にも繋がり、特に今より高い年収を提示されたら本当に年収は上げられるという実感が持てるはずです。
本命の会社があるならなおさら、他社の内定を持って自信を付ければ、交渉を有利に進められるでしょう。
交渉材料で迷った時の対策とは?
結論は、普段やっている仕事を「明確な実績」に変えていきましょう。
これまでの仕事の経験やスキルを元に「何ができるか」を示すということです。
それは「仕事の実績」。
ただし、「実績=特別な成果」ではありません。
飛び抜けた業績や分かりやすい成果はなくても、しっかり仕事に取り組んでいれば実績は必ずあります。
具体的には「自分の仕事を業務委託に出したらいくらになるか」を計算してみましょう。「自分の業務の価格帯」が分かると思います。
そうすれば「今は〇万円もらっているが、本来は〇万円の価値がある仕事なので、〇万円くらいを希望します」といった交渉ができます。
今は事務作業を外注する企業も増えていますから、実績が見えにくい事務職でもこれなら自分の実績を可視化できますね。
交渉成功率を100%に近づける得策は?
それでも年収や給与交渉に自信がない人や、転職活動が初めての人は「給与交渉なんてしていいのだろうか」「印象が悪くなって合否に影響が出るのではないか」と考えてしまいがちです。
そんな人は、転職エージェントを活用してみましょう。
転職エージェントから求人応募をすると、転職希望者に代わって年収や給与交渉を行ってくれます。
転職エージェントは転職サポートのプロですから、交渉に慣れていますし、採用担当者にネガティブな印象をもたれるリスクも減らせます。
転職エージェントに交渉を依頼する際は、「最低いくら」「可能であればいくら」など希望金額をはっきりキャリアアドバイザーに伝えることが大切です。
転職エージェントに依頼するメリットのひとつは、応募先の企業や業界の年収や給与水準がわからなくても、専任のキャリアアドバイザーが年収ラインを提示してくれることです。
転職エージェント経由で面接に進めば、エージェントが企業と直接年収交渉をしてくれますが、もちろん転職エージェントに相談したからといって確実に年収がアップするとは言えません。
しかし何百人、何千人と転職をサポートしてきたプロに任せたほうが、自分で年収交渉をするよりも成功の確率はアップします。
転職エージェントは無料で登録できるところがほとんどなので、まずは利用を検討してみることをおすすめします。
まとめ
希望年収に対する質問や答え方を好印象で上手に乗り切るには、基本的に「御社の規定に従う」という謙虚な姿勢で臨むことが効果的です。
年収アップの交渉をする場合の多くは、その会社に貢献できる能力や実績を具体的に提示し、「年収に見合う人材だ」と納得してもらう必要があります。
とはいえ、年収に関するやりとりは一歩間違えれば「転職の目的」「人柄」にまで疑念を持たれてしまい、それまでアピールした内容が台無しになりかねません。
面接の場では、慌てないように事前に答えを用意し、交渉するならタイミングや質問の仕方に十分注意して行いましょう。