昨今、医療従事者はインターネットの情報を活用するため、MRからの情報を必要としなくなってきています。
また、転勤が多いことや長期労働の過酷さに不満を抱いている方も多いようです。
そのため、MRから転職を検討している方が増えています。
当記事ではMRから転職する場合のポイントや、転職先と必要資格をわかりやすく解説します。
MR経験者のアピールポイント
転職活動のために、まずは現在MRとして働いている自分のアピールポイントを知ることが大切です。
MRとして働きどんなスキルを得てきたのか、どんなことが転職に役に立つのかを知ることで、自分の市場価値を確認することができます。
最新の薬学知識
MRは医師や薬剤師などの医療従事者に、より正確で新しい医療用医薬品情報を提供することが大切です。
そのため膨大な薬の情報を記憶し、常に最新の情報を伝えられるよう継続して勉強していかなければなりません。
また薬の知識だけでなく、その薬が患者にどのように作用するのかを知るために、疾患知識も必要とされます。
以上のことから、日々学習して得た薬学知識や疾患知識は、他の医療関係の職に転職する際の大きな強みになります。
信頼を得る人柄
知識がありそれを医療従事者へ伝えようと思っても、相手に聞いてもらえなければ意味がありません。
相手を気遣い話すタイミングを考えたり、顧客のニーズにあった情報を的確に伝えたりすることで、顧客との信頼関係が築けます。
顧客との信頼関係はどの職業でも大切です。
相手を思い信頼を得るMRのスキルは、他業種でも求められるのです。
コミュニケーション能力
MRの顧客は医師や薬剤師などの医療従事者で、多忙な顧客とのコミュニケーションをどう図るかが重要です。
必要な情報を要点ごとにまとめ、早く正確に伝える高いコミュニケーション能力が必要になります。
そうしたコミュニケーション能力は、どの職種でも重視されるのです。
転職活動中の面接ではもちろん、転職後のキャリアアップにも大きく関わるポイントでしょう。
MRが転職する際に注意すべきポイント
MRは医療分野の専門性が高い職業です。
しかし、同じ医療分野へ転職する場合でも、新たな資格が必要になる可能性があるため注意が必要です。
また、MRは営業職の中でも特殊な職業です。
そのため、他業種への転職の際は特に、転職先の業種や業界について理解することが大切です。
ここでは、医療分野と他業種に分けて転職する際に注意すべきポイントを解説していきます。
医療分野
MRは医療分野の専門性の高い職業です。
そのためMRで得た知識は、同じ医療分野へ転職する際に役に立ちます。
しかし医療分野では、薬剤師や理学療法士など国家資格を必要としている職業が多いのも事実です。
国家資格は、医学系の学校を卒業していないと受験できない場合があるので注意しましょう。
国家資格を必要としていない職業でも、医療分野への転職にはスキルや知識が必要です。
情報化認定コンサルタントや医療経営士など、取得しておくと転職の際有利になる資格もあります。
医療分野はやりがいが大きく比較的安定している業界なので、人気の高い職業です。
就職活動を成功させるためにも、資格を取得しスキルや知識を身につけると良いでしょう。
他業種
MRは学歴が一定水準以上であるため、他業種への転職でも書類選考の通過率は比較的高いようです。
他業種への転職は未経験としての採用となります。面接では、人柄や志望動機、可能性を問われるでしょう。
事前準備を怠り、上手くアピールできなければ面接で落とされてしまうかもしれません。
MRは営業職の中でも特殊なので、MR経験者ならではのアピールポイントを活かせれば内定率も上がるでしょう。
給料水準
MRの給料水準は、全業種の平均と比較して高い傾向にあります。
そのため他業種への転職で未経験採用となれば、年収が低くなる可能性があります。
全業種の平均年収は約440万円という調査結果がありますので、参考にしてみてください。
現在の生活水準を変える必要が出てくるため、十分注意しましょう。
参考サイト
令和元年分民間給与実態統計調査結果について(国税庁企画課)
20代のうちに転職
昨今はポテンシャル採用で、20代の人材を積極的に採用する企業が増えています。
特に他業種からの未経験採用は、ポテンシャル採用の傾向が高いようです。
ポテンシャル採用とは、スキルや経験ではなく人柄や可能性などの潜在能力を重視した採用方法です。
ポテンシャル採用のターゲット層は20代に設定する場合が多いようです。
他業種への転職の意思が決まっているのであれば、20代のうちに転職するのが良いでしょう。
一時的に給料は減るかもしれませんが、長期的にみるとキャリアップが望める転職先を選択することで市場価値をあげられます。
業種の理解・業界研究
MRからの転職に関わらず他業種への転職は、その業種への理解を深めたり業界研究をしたりすることが大切です。
業種によって営業スタイルは異なりますが、特にMRは営業職の中でも特殊な営業スタイルです。
顧客のニーズに合わせて、商品やサービスを能動的に提案する営業スタイルであるプロダクト営業や、単に商品を売るだけではなく顧客が抱える課題の解決策や改善策を合わせて商品提案をするソリューション営業など、さまざまな営業スタイルがあるのです。
業種の理解をするとともに、営業スタイルそのものを見直す必要もでてくるでしょう。
また未経験で採用されたとしても、仕事は業界について理解がある前提で任されることになります。
転職後にキャリアップするためにも業界研究は十分に進めておきましょう。
主な転職先と必要資格
ではMRからの転職先にどういったところが選ばれているのか、また転職の際にどういった資格が必要となるのか、医療分野と他業種に分けてそれぞれご紹介します。
MRとしての知識やスキルを活かした転職、またはキャリアアップのための転職の参考にしてください。
医療分野
MRは豊富な薬学知識や、コミュニケーション能力が強みです。
医療分野での転職には、薬学知識が大いに活用できるでしょう。
ここでは医療分野での転職先例と、特に「薬剤師」「医療コンサルタント」について詳しく紹介します。
【主な転職先】
- 医療機器メーカー
- CRA(臨床開発モニター)
- 医療、ヘルスケアベンチャー
- CRC(治療コーディネーター)
- 薬剤師
- 医療コンサルタント
- 理学療法士
薬剤師
薬剤師は、医薬品の幅広い知識が必要な薬の専門家です。
調剤や服薬説明、医薬品の販売などが主な仕事です。
MRとして働く中で得た知識が必ず役に立つので、同じ医療関係での転職先としてオススメです。
病院、調剤薬局、ドラッグストアストアなど転職先も多く、地方に絞り転職活動を行うことができます。
【必要資格】
- 薬剤師資格
薬剤師国家試験を受け、合格しなければなりません。受験資格は、6年制の薬学部・学科の卒業生であることです。
医療コンサルタント
医療コンサルタントは、開業を予定している医師への開業支援や、病院や医療法人への業務改善などのコンサルティング業務が仕事です。
コンサルタント業務にも営業力やコミュニケーション能力が必要で、かつ医療コンサルタントには医療の専門知識が必要なため、MRで得たスキルと知識はとても重要です。
【取得推奨資格】
- 医業経営コンサルタント
公益社団法人日本経営コンサルタント協会が発行しており、講座の受講を1回、試験を2回合格することで取れる資格です。
資格認定を受けることで、公益社団法人日本経営コンサルタント協会のホームページに名前が記載されるため、転職活動に有利にはたらきます。
ただし、受講料が50,000円、1次試験に10,000円、2次試験に15,000円の費用がかかる他、合格後の登録料が80,000円かかるため、非常にコストのかかる資格でもあります。
- 情報化認定コンサルタント
上記の「医業経営コンサルタント」の資格を取ったのち、受験することができます。
試験は1次試験と2次試験があります。
医療機関の情報システム及び情報技術に関する資格で、医療機関へのシステム開発・導入・運用・更新までのプロセスを一貫して支援することができます。
- 医療経営士
「医業経営コンサルタント」と同様、医療機関の経営に必要な知識を有し、経営課題を解決するための支援ができる資格です。
一般社団法人日本医療経営実践協会が資格試験を実施しており、3級から1級まであります。
コスト面は「医業経営コンサルタント」と大きく異なり、級9,100円、2級16,000円、1級50,000円で合格証明書の手数料も2,600円です。
上記の資格がないと転職できないわけではありませんが、何もない状態で転職活動をするより内定率は上がるでしょう。
他業種
MRとして働くなかで得たコミュニケーション能力などは、他業種への転職でも重視されます。
キャリアアップのために他業種へ転職し、そこで得た知識と経験を活かしやがてまた医療分野への復職を考えてもよいでしょう。
ここでは他業種での転職先と、特に「営業職」「マーケティング会社」について転職の際に有利になる資格をご紹介します。
【主な転職先】
- 広告代理店
- 転職エージェント
- 金融機関
- 人材紹介会社
- 営業職
- マーケティング会社
営業職
どの営業職でも、自社の商品やサービスを説明するためのマーケティング力やコミュニケーション能力が必要です。
MRとして働く中で培った商品紹介のノウハウやコミュニケーション能力は、必ず役に立つでしょう。
またMRは営業職の中でも特殊な職業です。同じ営業職への転職でも営業スタイルを見直す必要があります。
【取得推奨資格】
- 営業士
営業士はマーケティングやセールスのスペシャリストといわれ、高い専門知識を有している証明になります。
営業士は日本営業士会が発行する資格で、初級、上級、マスターの3段階にわかれています。
資格試験は全てオンライン受験で行われ、初級8,800円、上級13,200円、マスター13,200円の受験料がかかります。
- TOEIC
TOEICは英語によるコミュニケーション能力と、ビジネス能力をはかる検定です。
受験後の点数を認定する試験で、資格や免許ではありませんが、公式認定証が発行されるので英語力をアピールするのに有効です。
- FP
FP(ファイナンシャルプランナー)とは、個人の収支、負債、資産の状況を確認し、そこから将来の資金計画やライフプランの提案、アドバイスを行うための国家資格です。
国家試験としてのFPは、1級から3級ファイナンシャルプランニング技能士があり、他に非技能検定として、CFP認定者とAFP認定者があります。
営業職といっても、法人を顧客とする商業系や工業系、個人も顧客とする金融系などで必要資格は異なります。
ここで紹介した資格はどの営業職でも所持していて損はない資格なので、取得をオススメします。
マーケティング会社
マーケティング会社は、製薬会社と密接な関係にあり、MRからの転職先としてオススメです。
またキャリアアップのためにマーケティング会社へ転職し、その後製薬会社へもどるというキャリアプランもいいかもしれません。
【取得推奨資格】
- マーケティング・ビジネス実務検定
特定の業種や職種にとらわれず、幅広いマーケティング知識をはかるための検定で、A級からC級まであります。
受験料はC級6,270円、B級7,480円、A級12,760円です。
マーケティングの基礎から学びたい人にオススメの検定です。
幅広い知識が必要になるため、マーケティング会社への転職を考える方は是非取得しておきましょう。
- ネットマーケティング検定
インターネットを活用した、マーケティング知識をはかる検定です。
ネットを利用した集客や、市場調査やマーケティングリサーチ能力などが試されます。
インターネット社会においてWebを活用したスキルは重要なため、取得をオススメします。
- Webライティング能力検定
基本的な国語力や読みやすいWeb文章の作成、集客のためのSEOスキルなどの能力をはかる検定で、1級から3級まであります。
全て階級で同じ試験を受け、受験後の点数で階級がきまります。
MRではあまり触れることのない分野の勉強なので、マーケティング会社への転職を考える際に取得しておくとよいでしょう。
まとめ
MRから転職する場合のポイントや、転職先と必要資格を解説しました。
MRは高い医療分野の知識や一定水準以上の学歴が必要な職業です。
そのため自分の市場価値を確認することで、転職活動を有利にすすめることができるでしょう。
医療分野への転職では、必須資格とそうでない資格があるため、どの職業に転職したいかをよく考えてから確認してください。
また他業種であっても、必須でないにせよ知識と資格取得が転職を有利にするため、転職先を考えてから取得する資格を検討するとよいでしょう。
自分ではどの職業への転職が向いているのかわからない、キャリアアップを考えているけどどうしたらいいかわからないという方は、転職エージェントに相談することをおすすめします。
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