転職した結果、良かった悪かったはどの職種にも付き物です。
一般的になり手が足りてないとされている薬剤師職も例外ではありません。
ここでは薬剤師だからこそ陥る事例や原因とその対策をお伝えします。
薬剤師の転職後の不満
転職で後悔した経験がある薬剤師は約53%。実に半分以上の方は後悔していることになります。
後悔する理由は大きく以下の2つです。
理由その1 人間関係
転職をして後悔してしまった、不満を感じている理由のトップは「人間関係」、その職種でも必ず上位に上がる不動のセンターです。
以下事例でもわかるようにハラスメントに関連することが多く占めています。
上司/経営者等との人間関係
・経営陣の考えが基本売上至上主義。採用面接時に語っていた「患者様のため」「地域の皆様のため」等の熱い思いに騙された。
・入社後に上司(管理薬剤師)が辞めてしまい、代わりの管理薬剤師が来た途端、それまでよかった社内の雰囲気が突然悪化。業務は普通にこなすので上からの評価は悪くないようだが、社会常識がなく、横暴さが目に余る状況に加えてモラハラもある。
同僚との人間関係
・勤務態度が悪く、遅刻欠勤をしても周囲に謝りもしない。
・自分も含めて業務があふれかえっているにも関わらず、自分の担当の処方が終わるとバックヤードでネットショッピングをしていた。さすがに注意したらパワハラを受けたと上司に訴え、こっちが厳重注意となった。
理由その2 就業条件が違っていた
就業条件の誤差は採用側、採用される側、どちらにも当てはまることです。
採用側としては監督官庁の建前で記載しなければならない部分があり、「…とは言っても現状は…」といったことは多く見られます。
報酬額に関しては報酬額そのものより、入社後の昇給率があまりにも低いのが現状の様です。
採用時の額にばかり気が向いてしまい、その後の昇給(または昇格)のステップには目がいかない。
転職市場全般に言えることで、市場の盲点とされています。薬剤師業界も例外ではありません。実際以下の様な事例があります。
昇給率が低い(昇給がない)
・採用条件で昇給は年1回とされており、面接でも年1回保証されているとのことだったが、経営状態がよろしくないとのことで入社以来ずっと見送られている。
・上司が好き嫌いで評価するため、なかなか給与が上がらない。
業務ボリュームが多い
・17:30までの基本終業時間ではあったが、実際終業してみると19:00以降まで時間外をするのが当たり前となっており、プライベート時間がほとんど取れていない。
・薬剤師の人数が少ないわりに1日の処方箋の枚数が驚くほど多く、休憩、休日もとりずらい状況です。
後悔してしまう原因
薬剤師の転職においてよくありがちな失敗原因をお伝えします。
失敗防止のためにも是非参考にしてみてください。
原因その1 自分の芯がぶれている
原因のトップはやはり、「なんとなく転職」が多いこと。現状の日本は空前の転職ブームです。
世の風潮もエージェントも転職を煽っていることは明らかで、転職市場は必然的に賑わいますがいたずらに職を替えるのはその人にも企業にとっても良いことはありません。
原因その2 目先の条件だけで決めてしまう
メディアには思わず「おっ!」と目を引く募集内容が多くあります。
薬剤師に限ったことではありませんが、それにつられて安易に決めてしまうと後悔する確率は上がります。
報酬にしてみても、金額が高いということは「目立つ高さでないと応募が来ない」という状況の裏返しです。
内部の人が少なすぎて激務なのか、取り扱い注意な社員がいるのか、ロケーション的に田舎すぎて人材がいないのか、額面が高いことには高いなりの理由があります。
原因その3 就業条件、ふわっと確認
現状就業条件は求人票で確認するのが一般的です。
大変失礼ながら巷の求人票には嘘が多い。
「そういう条件が過去に実績としてあった」とか「就業規則上はそうだから」とか、間違いではないが、実際はそうはなっていない、そうできない企業は多く存在し、お役所からの指示もあって、現実の記入ができないのが現実です。
そんな求人票を鵜呑みにしてしまうことは見ていないに匹敵します。
原因その4 家が近所
薬剤師の世界では意外と多いようです。
一見好条件に見えますが、近所だからあるデメリットも想定しましょう。
例えば、地域に根差すマチの調剤薬局などは近隣との付き合いが濃い場合が多く、こじれたり、悪い噂が広まろうものなら企業としての信用問題にも発展しかねません。
地方であれば尚更確率は高くなります。
原因その5 知り合いや友達がいる
家が近所と同様、関係性が密であればあるほどこじれると最悪です。
その知り合いや友達からの紹介で転職した場合などは特に気を遣います。いざ、そこに馴染めないとなった場合、居づらい空気にもなります。
原因その6 過信
特に同業間転職の場合に現れるリスクです。
同じ薬剤師だから場所が変わっても大きな変化はないと考えて転職してしまうケースは度々見られます。
薬剤の職場は門前の病院の診療科目や扱う処方箋によって求められる知識やスキルが違ってきます。
総合病院の院内薬局で扱う処方箋と精神科専門病院で扱う処方箋は全くといっていいほど違います。
情報なしで転職した場合、即戦力ではなくなるだけでなく、業務についていけなくなる可能性もあります。
原因その7 現場を見ない
面接等の採用フロー上は人事担当者や経営層とのやり取りが多く、やり取りする場所も本社等の場合が多いかと思います。
しかし、実際の職場は本社ではない場合がほとんどです。
本来やり取りすべきは勤務先予定の現場であり、本社ではありません。
リスクに対応するには
上記の様に原因とされることは様々ありますが、転職において必要なことは以下の3つに絞られます。
転職において必要なことその1
「その転職は本当に必要なのか?」「今なぜ現職を変えなければならないか?」「現職にいながら改善はできないのか?」等々、自分の現状を振り返ってみることが非常に重要です。
転職において必要なことその2
なんとなく一般的なことが記載されているから大丈夫と思わず、「転職後の自分の希望に沿っているのか」「求人票の上と下で記載が違う」等々、確認してみることで自己防衛を心がけてください。
転職において必要なことその3
実際の職場(店舗等)で将来の上司となるであろう管理薬剤師の方とお話しする、または話はしないまでも行って雰囲気を見てみるだけでも判断材料になります。
企業によっては現場をオープンにするところもありますので活用することをお勧めします。
また、下記の記事では薬剤師として転職を成功させるポイントを解説しています。
ぜひご覧ください。
あえて失敗するのもあり?
転職を支援する立場で申し上げる言葉としては不適切かもしれませんが、私自身も何度か転職をして結果失敗した経験をしています。
自分の理想とする仕事はそうそう簡単にめぐり合うものではありません。
失敗を怖がっていると理想には一向に近づかないのが仕事です。
年を重ねるごとに企業の状況は変化しますが、同時にご自身の状況も変わってくる可能性もあります。
そこをすり合わせていけるのが良い仕事ではないでしょうか。
下記の記事では選ばれる薬剤師になる方法を詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。