ものづくり大国とも呼ばれる日本ですが、それを支えているのは技術系の資格を持った人々。
技術系の資格は多くあり、そのほとんどが法律で定められた国家資格です。
また、国家資格を持っていなければ就くことのできない仕事もあるため、需要も安定しているでしょう。
この記事では技術系の転職事情や、人気の国家資格を8つ紹介していきます。
技術系の転職事情は?
技術の国家資格を持っていることで転職にも大きく役立ちます。
ここでは、技術系の転職事情について解説していきます。
技術系は人材不足
技術系エンジニア業界では人材不足が叫ばれています。
平成30年4月、経済産業省は「理工系人材の需給状況」という調査アンケートを公表しました。この調査によって機械工学系エンジニアの深刻な人材不足が示されました。
働き手にとっては、需要のある業界と言えるでしょう。
また、技術系の資格には点数があります。
工場入札の際は資格保有者全体の点数によって入札の可否が決まることも。
そのため、持っているだけでも重宝される資格といえそうです。
電力の自由化により需要場増加
電力の小売自由化が始まったのは2003年。
その後も拡大していき、2016年には電力の小売全面自由化がなされました。
全面自由化されることで、家庭を含む全ての消費者が電力会社を自由に選択できることになりました。
ライフスタイルや価値観に合わせて選べるようになったということです。
それに伴って工程も増えるため、「電気工事士」や「電気主任技術者」の電力系資格保有者も不足しています。特に「第二種電気工事士」が人気の資格になっています。
技術系の転職には国家資格が有利
技術系の転職には、やはり国家資格が有利です。
取得すれば安定して需要が見込めるものが多いです。
転職の際も、国家資格を保有している方が重宝されます。
また、国家資格の中にもグレードや種類は多岐に渡りますので、キャリアに応じた転職をしたいのであれば、徐々にステップアップを目指していきましょう。
技術系の転職におすすめ国家資格8選
技術系の資格には、国家資格がおすすめです。
転職に有利であり、かつ現場でも重宝されます。
ここからは、おすすめの国家資格を8つ紹介していきます。
技術士
技術士とは、文部科学省認定の技術部門の業務を行うための資格です。
仕事内容は、21専門分野に分かれています。
中でも主に建設部門の資格に人気が集まっている他、科学技術分野の多くもカバーしています。
就職や転職先は官公庁や大学、ゼネコン、建設コンサルタントなどです。
国家資格の中でも最難関とされていることから、大きな注目を集めています。
電気工事士
電気工事士とは、電気工事を行うことのできる資格です。
工場や一般住宅、商用施設などの電気工事ができるのは、電気工事士の資格を持っている人に限られています。
試験には一種と二種があります。
1種では、最大電力500ワットまでの大規模な電気工作物の工事を行うことができます。
2種では、600ボルト以下で受電する一般家庭用設備の工事に限定されています。
電気工事士試験は筆記試験と技能試験に分かれています。
第2種・第1種どちらの場合でも、試験時間内に完成物を作成するという内容になります。
電気主任技術者
電気主任技術者とは、発電所や変電所、それに工場、ビルなどの受電設備や配線など、電気設備の保安監督という仕事に従事することができる資格です。
通称「電験」とも呼ばれています。
電気主任技術者の資格は、取り扱うことができる電圧によって、第1種から第3種まであります。
具体的に扱うことのできる工作物は以下の通りです。
- 第1種:すべての事業用電気工作物
- 第2種:電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物
- 第3種:電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物
消防設備士
消防設備士とは、消防用設備などの点検、また整備や工事を行うことができる専門の資格を持った人のことです。
デパートやホテルなどの建物に設置されている屋内消火栓設備やスプリンクラーなどの工事や整備を行うのに必要な資格です。
消防設備士には大きく分けて甲種と乙種の2つがあります。
就職・転職先は、消防設備の点検や整備などを行っている専門の会社や、防災関係の会社、設備全般の点検や整備を行っている電気設備系の会社に就職したり、不動産会社に消防設備士枠などが一般的です。
ボイラー技士
ボイラー技士とは、基本的にはボイラーが正常に稼働し、建物内の空気や温水の調整を管理できる状態を整える仕事です。
一部の小規模なものを除いたほぼすべてのボイラーの取扱いでは「ボイラー技士免許」が必要となっています。
ボイラー技士の級は伝熱面積に応じて設定されており、2級ボイラー技士の場合、伝熱面積が25㎡未満のボイラーの取扱が可能です。
ボイラー技士の資格には3つの階級が存在し、それぞれで扱えるボイラーの規模が異なります。
- 特級ボイラー技士:伝熱面積が500㎡以上
- 一級ボイラー技士:ボイラーの伝熱面積は25㎡以上、500㎡未満
- 二級ボイラー技士:伝熱面積が25㎡未満
建築士
建築士は建物の設計・施工・管理を行うことが認められている国家資格です。
一級建築士、二級建築士、木造建築士の3つの種類があります。
一級建築士には、設計できる建物に制限がありません。
二級建築士には、一級建築士に比べて設計できる建物の規模と構造に制限があります。
たとえば戸建住宅などがが対象です。
木造建築士は、階数2階建て以下かつ延べ床面積300㎡以下の建物の設計、監理を行うことができる国家資格です。
危険物取扱者
危険物取扱者は消防法に定める危険物を取り扱うことができます。
危険物とは、ガソリンや石油・アルコールといった引火などの危険があるものをさします。
危険物取扱者資格には、甲種・乙種・丙種があります。
甲種が扱えるのは、消防法に定めるすべての危険物です。
乙種が取り扱えるのは、第1〜第6類の危険物の中で、資格を取得できたものだけです。
丙種が取り扱えるのは、第4類の中で、特定の危険物だけです。
甲種には受験資格が必要で、具体的には乙種の資格を取得した後、2年以上の実務経験があるか、または大学で化学を専攻し、卒業免状を持っていることなどです。
衛生管理者
衛生管理者とは作業環境や労働者の健康管理・労働衛生教育などを担う仕事です。
50人以上の労働者がいる職場では、衛生管理者を選任しなければならないと労働安全衛生法で定められています。
衛生管理者の主な仕事は、作業環境の管理、労働者の健康管理、労働衛生教育の実施、健康保持増進措置などです。
衛生管理者の資格には、第一種衛生管理者と第二種衛生管理者の2種類が存在します。
第一種免許を取得していれば、全ての業種に対応できます。
第二種衛生管理者は、有害業務とは関連の少ない業種に限り、衛生管理者の業務に就くことができる資格です。
その他の技術系国家資格
その他にも、技術系の国家資格は多数存在します。
ここからは、知っておくと良い注目の国家資格を3つ紹介します。
放射線取扱主任者
放射線障害防止法に基づく国家資格。
放射線を取り扱う事業者などで、人体に影響のある放射線障害の防止について管理・監督を行う。
扱える放射線のレベルによって、3種類に分けられます。
第1種:いかなる施設
第2種:放射性同位元素の数量が10TBq(テラベクレル)未満の密封された放射性同位元素又は同数量を装備した放射性同位元素装備機器を使用する施設
第3種:放射性同位元素の数量が、下限数量の1000倍以下の密封された放射性同位元素又は同数量を装備した放射性同位元素装備機器を使用する施設
航空整備士
航空整備士とは、は飛行機を格納庫に入れて念入りに点検する仕事です。
資格は、航空整備士と航空運航整備士に大別されます。
なかでも航空整備士の資格には2つの等級が存在し、それぞれで扱える飛行機の重量が異なります。
- 一等航空整備士:すべての飛行機
- 二等航空整備士:飛行機の最大離陸重量が5,700kg以下
一等航空整備士の資格は、4年以上の実務経験があると受験できます。
エネルギー管理士
エネルギー管理士は、工場などで使用するエネルギー量に応じて監視や改善を指揮することのできる国家資格です。
災害の頻発や国際情勢の変化もあり、ライフラインに関わるエネルギー管理士は注目を集めています。
エネルギー管理士の資格は、かつての「熱管理士」と「電気管理士」という2つの資格が移行してできたものです。
現在、資格試験には名残として「熱管理課目」「電気管理課目」の2種類の受験科目が選択できます。
各分野の傾向としては、熱分野の試験は流体力学や熱力学、燃焼計算の問題などが出題されます。
電気分野の試験では、電気数学や工場配電の力率改善に関する問題が出題されます。
その他の本当に役に立つ資格と役に立たない資格は下記の記事で解説しています。
ぜひご参考下さい。
まとめ
この記事では、各分野で注目されている技術系資格を8つ紹介してきました。
資格をとっておくことで得られるメリットがたくさんあります。
資格を1つ取得しているだけで業務範囲が広がります。
難易度が高い資格も多くあるので簡単にはいかないことも多くありますが、スキルアップのために資格を取得していきましょう。