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非営利事業の税金のシステムは?一般企業と税金は何が違うの?

非営利事業と聞いたらどんな仕事を思い浮かべるでしょうか?

NPO法人聞いた事はあるけれど分からないという方も多いでしょう。

また、非営利事業の税金システムについて知らない方も多いです。

今回は非営利事業の税金システムや一般企業との違いについて解説します。

営利事業と非営利事業の区別

「利益を分配しない」と言えば分かりやすいでしょうか。企業などは会社運営と成長の為に株主達に利益の還元、つまり株主配当利回りを投資した金額に応じて株主達に還元します。

【営利事業】

  • 株式会社
  • 有限会社
  • 合同会社

【非営利事業】

  • 公益社団・財団法人
  • 民間社団・財団法人
  • 学校法人
  • 社会福祉法人
  • 医療法人
  • 宗教法人

などです。

さらに細分化するともっと多くなります。

営利事業・株式・有限などの会社は毎年決算時期には税金や株主総会などです。

では非営利事業の税金はどうなるのでしょうか、見てみましょう。

非営利とは出資者や寄付者などに「配当金を出してはいけない」という事です。収益事業ををしてはいけない訳ではありません。34個の収益事業が認められています。

  • 法人所得税

非営利事業は法人税法上では非営利事業範囲内で有れば法人税・所得税の課税対象にはなりません。

  • 住民税

各都道府県、細かく言えば市町村で違います。減免制度があったりと各地で違うので確認が必要でしょう。

  • 消費税

介護保険法・社会福祉法は課税されません。これら以外のものに関しては消費税が発生します。

  • 寄付金

寄付金は無償の取り引きは非課税となります。

  • 給与・他

職員の給与・講演料・固定資産税・自動車税・不動産取得税・自動車取得税…などは課税対象となります。

  • 所得税課税

法人税法執行令に定められた34業種の収益事業に関しては所得税が課税対象となります。

34個の収益事業とは

 一般社団法人・一般財団法人になりますがまずはその内容を見てみましょう。

ただし非営利事業である事が条件です。届出or辞めた時の届出、そして届出以外の事業や認められないものは通告なしに一般企業扱いになります。

  1. 物品販売業
  2. 請負業
  3. 中立業
  4. 遊覧所業
  5. 医療保険業
  6. 問屋業
  7. 印刷業
  8. 不動産売買業
  9. 金銭貸付業
  10. 出版業
  11. 鉱業
  12. 技芸授業業
  13. 駐車場業
  14. 土石採取業
  15. 写真業
  16. 物品貸付業
  17. 不動産貸付業
  18. 席貸付業
  19. 浴場業
  20. 信用保証業
  21. 無体財産権の提供等を行う事業
  22. 労働者派遣業
  23. 理容業
  24. 美容業
  25. 興行業
  26. 遊技所業
  27. 旅館業
  28. 料理店業及びその他の飲食店業
  29. 周旋業
  30. 代理業
  31. 製造業
  32. 通信業
  33. 運送業
  34. 倉庫業

これら収益事業をを始めて際に行政庁に公益認定を受ける為の法律で定められた書類を各種完備して納税署管轄に持っていかないといけないのです。

これが通らなければ一般企業と同じその年得た所得全部が所得対象になります。

もし書類が通って非営利事業に該当すれば一般企業とは違い、全所得から所得課税対象外が生じる事になります。

この差はかなり大きいので申告書類不備の内容にしましょう。

新型コロナウイルス・変異種の非営利事業の税金への対策

2020年初めから新型コロナウイルスが蔓延して来たと思いましたら、今度は変異種(変異株)がイギリス・フランス・ドイツなど多く広がりロックダウンの繰り返しです。

我が日本もかなり厳しい状況にあると言えるでしょう。新型コロナウイルスがやっと治まって来たと思いましたら今度は日本でも変異株が猛威を振るい出しています。

世界各政府は経済を最優先にするか、経済を止めて人命優先にするのか難しい選択を迫られています。

我が国の非営利事業団体も大きなイベントが中止、未だいつ始められるのかさえ分からない。

消費税、所得税、社会保険など税金が多くのしかかる事が今は多いと思います。

つまり一般企業だけではなく非営利事業者も負い詰められている可能性があります。それは、日本だけの問題では無くなってきています。

国税庁では非常事態と見て税金の全種類を申し出て相談すれば最大1年延長出来るようにネット・YouTubeで宣伝しています。

管轄の税務署に行き納税の意思がある誠意ある態度が必要です。

ただし条件がありますがこの条件をクリア出来た企業や事業者、非営利事業団体か1年の猶予を貰えます。

《税金猶予ケース1》

  • 国税局に一時的に納付して事業の継続が困難や暮らしや生活維持が困難になる可能性がある場合
  • 他の国税局の税金の滞納がない事
  • 納付すべき本来の納付申告書が6ヶ月以内に申告されている事
  • 担保必要(場合によっては必要がない時もある)

《例外》新型コロナウイルス+変異株の猛威

例外として新型コロナウイルスと変異株がより猛威を奮っている状況下の場合は、さらに1年の猶予が設けられる。

そして延滞税の免除、担保の差し押さえの猶予が設けられます。

《猶予ケース2》

  • 新型コロナウイルス+変異株が猛威を奮っている時に天災が来て都市や町全体の被害が甚大な時。
  • 病気になってしまった時、本人もしくは家族が病気になった時、もしくは新型コロナウイルス+変異株に感染した時の医療費が多額に必要な場合。
  • 新型コロナウイルス+変異株の影響で休業・廃業に追い込まれて赤字や借金多額な場合
  • 新型コロナウイルス+変異株で利益が著しく減少して納税出来ない場合

《猶予ケース3》

その他の税金

  • 社会保険
  • 消費税
  • 固定資産税
  • 法人税
  • 健康保険料

も対象となる場合もあり得ますので、1番いけないのは放置です。相談すれば色々対処は可能なはずですのでまずは資料等用意をして相談しましょう。

日本と外国との非営利事業の税金の違い

日本と海外の非営利事業の税金の違いを比べてみます。ここではアメリカを例に出してみようと思います。

アメリカは慈善団体の国でもあり、何か悪い事をした人がボランティア例えば3週間など人の為に役に立つ事が優れています。

そこでちょっと古いのですが2010年のデーターがありましたので調べてみました。

もともとの始まりはアメリカの場合は宗教の慈善行為から始まったそうで、アメリカの場合は1960年から非営利事業からはじまってアメリカ政府も資金を提供してくれていたそうです。

ただし1980年レーガン政権が発足して以降政府の資金提供も激減しました。NPO法人資金難になって困り新たに作り出したのが「事業型NPO」です、これらが発足拡大していくのです。

アメリカの非営利事業の全事業の収入の割合が全体の75%にあたります。

ここで日米の寄付金額のおおよその金額を見てみましょう。

日本(2010年)
非営利団体数42,386団体
寄付金額1兆1,829億円
アメリカ(2010年)日本円に換算
非営利団体数1,280,739団体
寄付金額22兆7,060億円

※ジョンズ・ホプキンス大学小林立明氏「NGO 海外スタディ・プログラム最終報告書

かなりの差があるのですが、その理由として1番の違いは国民性でしょう。日本の寄付金先が一番多かったのは文化・レクリエーションでした。

対してアメリカが1番多い寄付金先は宗教団体でした。

日本の非営利団体の財政の違いは上記に述べた通りです。

では海外の税制とはどう違うのでしょうか?

アメリカを例えるなら、慈善目的の団体には免税される。

慈善目的の団体の構成員の親睦、相互扶助を目的とした共益団体も免税となります。その為色んな性格の団体が集まって来ます。

免税団体の所得は原則非課税となります。しかし、届け出ている本来の事業とは関係のない非関連事業所得には法人税が課される仕組みになっております。

寄付金に関しては日本と同じく個人もしくは企業からの寄付金の税優遇処置があります。

それは2種類の税のアメリカ優遇措置は…

  • 個人寄付金

 個人の寄付金は寄付金額の30%まで所得控除が得る事が出来ます。

  • 企業寄付金

 企業の寄付金は寄付金額の50%まで所得控除がえられます。

アメリカはどの非営利団体もアメリカ全土全て統一された財務諸表を作成する事を義務つけられています。これに付いては日本にはないシステムとなっています。

非営利事業の不透明な課税問題

前章では海外・アメリカの非営利事業の税金のシステム及び日本にはない財務諸表作成義務がある事を発明しました。

日本は1988年に営利を目的としない組織、公益法人・社団法人・財団法人が初の旅館業非営利事業でした。

しかしその当時は政府の縦割りで自由もなく政府の監視の元での活動でした。この状況が変わったのが阪神淡路大震災です。

1990年から自民主体の法律を作ろうという動きがあり1995年の阪神淡路大震災後に出来ました。そして1998年非営利団体が成立しました。

時が流れて2011年の6月東日本大震災後に非営利事業の法律が大きく変わる事になります。これまでみたく国や政府ではなく、各都道府県になりました。

これで政令都市や市町村で認可、監督が出来るようになります。これまで日本は世界に比べてかなり遅れて来ました。

アメリカは先に話した通り、フランスなどは戦後すぐに非営利事業を始めています。ですので、まだ年も浅い日本には非営利団体を運営者にしか分からない問題も起きています。

それは非営利事業活動の税金の事です。税金の事に関して以前から不透明な部分が多過ぎて、現場で活動する人が困っているという問題です。

これは課税されるのか?されないのか?が曖昧になってしまっているケースが多いです。

税理士の先生も分からない、所轄の税務署職員の方でも分からず、曖昧不透明感な事が1つ2つどころではなく多いというのです。

結局は各都道府県・市町村の税務管轄担当者の匙加減になってしまいます。

ある地区では課税・違う地区では非課税となると都道府県で監督しているといえども、非営利事業・税理士・税務署共に非営利団体の事を良く知るべきだと思います。

中には非営利事業だから非課税で何も払わなくても大丈夫だと勘違いしている人もいます。

非課税でも払わなくてはならない税金の代表的な税は消費税です。

事業収入が1,000万円に満たない小さな非営利団体とは違いほとんどの大規模な非営利団体は税金を払わないといけない事になります。

国税庁もただ徴収するだけではなく現場の声も聞く時代が近付いて来ています。

非営利事業の税制問題と課題

 今回は税金の事でしたが日本は少子高齢化社会、国のランクも下げられて、GDPもいずれは新興国に抜かれるでしょう。

そうした時、日本のNPO団体はどのように国際社会・少子高齢化社会と共存していくのでしょうか?

大きな課題を未来の子供達に残さず、今の時代の国民で考える時が来ています。

子供・青年より老人が増えていく中、誰が老人の面倒をみるのでしょう?子供達や若者は大都市や海外に行って、老人は地方郊外に住むパターンがそう遠い未来の話ではないと思います。

非営利事業の法改正は何度かありましたが、前章で話した通り不透明さがあります。2003年公益法人制度の抜本的な改革が行われました。

つまり公益活動をしている法人には税制優遇措置を認める事となりました。これはつまり簡単にいいますと…

公益活動をしてないとみなされた非営利事業は事業で得た所得全てに課税する法律が出来ました。

勿論非営利団体からは批判や反対が起こりました。しかしこれもいつまでもつか分かりません。

少子高齢化社会がよります深刻になれば公益活動をしていても税金課税を余儀されるのも時間の問題かと私は思います。

しかしこの考えが違う場合、法律は誰が決めるのかという問題です。私達が学校で習ったのは上部だけの話だけかも知れません。

公益法人・財団だけ何故、税制優遇措置なのでしょうか?利権が働いてなければ問題ないのですが…

最近はあまり耳にしなくなりましなけど官僚・役人の天下りなどの利権が関係が裏で行われるとしたらと一瞬頭をよぎったのは私だけでしょうか。

おわりに

非営利事業の本当の姿とは、明るい未来・地域創り・子供達の教育・成長の良い環境つくり、老人が過ごしやすい地域を作る事です。

不透明感が有る、公益法人だけが税制優遇措置を受けられるのか、現場で働く人の声を聞く事が大切です。

そうしなければ、非営利事業が減ってしまい、次の世代へと影響を及ぼすでしょう。

また、下記の記事では団体職員と公務員の違いを解説しています。

興味ある方はぜひご覧ください。