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看護師のセカンドキャリアはどうする?転職で失敗しないためのポイントを解説!

看護師から他職種への転職を希望しているものの、他業界・他職種での勤務経験がないため、なかなか一歩を踏み出せないという人もいるでしょう。

看護師という特異な職場環境や仕事内容により、他職種で働くことをイメージしにくいことも理由です。

看護師の離職率や離職理由のデータを参考にしながら、他職種へのキャリア転換するメリット・デメリットや転職を後悔しないためのポイントについて解説します。

看護師の他職種転職は可能? データからわかる看護師からの転職事情

看護師の仕事は、有事はもちろん、普段からハードワークであることが知られています。

他の医療機関へ転職するケースもありますが、他職種へ転職する人も少なくありません。

ここでは、離職率や離職を考える理由などのデータをもとに、看護師における転職の実情について解説します。

看護師の離職率

日本看護師協会が2020年9月に発表した「病院看護実態調査」によると、有床診療所に勤務する正規雇用の看護職員の離職率は、10.8%です。

厚生労働省が公表する「平成 30 年雇用動向調査結果の概況」での産業別の離職率を見ると、宿泊業・飲食サービス業の離職率が26.9%でもっとも高く、次いで生活関連サービス業・娯楽業が23.9%となっています。

一般的な職業の離職率に比べると、看護師の離職率は低いと言えますが、およそ10人に1人が退職している状況です。

データで見る看護師から他職種へ転職する理由

看護師の資格は、看護学校や国家試験を経て初めて取得できます。

そのような簡単にはなれない看護師を辞めてまで他職種へ転職したいと思う理由はいろいろあります。

実際に看護師を辞める人はどのような理由を挙げているのか、日本看護協会の「2019年病院および有床診療所における看護実態調査」のデータを見て解説します。

以下は、看護職に就かなかった理由の上位5つをまとめた表です。

退職理由 件数
出産・育児 154件
結婚 67件
他業種・他職種への転職 33件
健康上の都合 24件
労働条件の不一致 20件

看護職に就かなかった理由でもっとも多い項目が、出産・育児です。

ライフステージの変化により、看護師という仕事に限界を感じやすい傾向が見て取れます。

注目すべきは、他職種への転職がトップ3にランクインしている点です。

出産・育児、結婚に比べると少数ではありますが、看護職以外の仕事に就くために看護師を辞める人もいることがわかります。

なぜ、看護師から他職種へ転職するのでしょうか。

その理由は、「病院看護実態調査」にある、「離職を考えている看護師に対して、現在の職場で働き続けるために実現してほしい項目」の結果にヒントがあります。

看護師の仕事を辞めたいと思っている人は、以下3つのネガティブな理由を抱えています。

  • 仕事に見合った賃金額である
  • 時間外労働(残業)が少ない
  • 年次有給休暇が取得しやすい

言い換えると、「報酬が仕事内容に見合っていない」「残業が多い」「休みが取りづらい」ということです。

看護師の仕事は交代制勤務が一般的であり、日勤から夜勤までの時間も短く、緊急な対応により残業が増えると、十分な休息を取れないこともあります。

そのため、仕事内容に対する報酬や働く環境面において不満を抱きやすく、ワークライフバランスを考え、他職種への転職に踏み切っている可能性があります。

看護師から他職種への転職に向いている職業

看護師の仕事とかけ離れた他職種への転職は、未経験でも挑戦しやすい職業がおすすめです。

特に、一般事務職やサービス業は、看護職からの転職に向いています。その理由について、以下で詳しく見ていきましょう。

一般事務職

一般事務職は、特別な資格や免許を必要としないため、未経験でも挑戦しやすい職種です。

事務職は日勤が基本で、カレンダー通り土日祝日が休みとなっていることがほとんどであるため、特に仕事とプライベートを両立したい人に向いています。

電話応対や来客対応、社員や取引業者など、人と接する機会が多く、看護師として患者と接してきた経験を活かすことで、コミュニケーションもスムーズに図れるでしょう。

ただし、デスクワークがメインとなるため、基本的なパソコン操作は必須です。

サービス業

飲食店やアパレル販売員といった、サービス業も看護師からの転職先としておすすめです。

仕事内容によっては、夜遅くなるケースや休日出勤となることもありますが、休みの調整をしやすいシフト制が主流であるため、自分のペースで働きやすい環境です。

転職しても看護師の経験や資格を活かせる他職種

看護師を辞めたいものの、全く新しい仕事を始めることに抵抗を感じる人は、看護師資格を活かせる職業を選んでいます。

主な職業としては、「一般企業の医療職」「教育機関のカウンセラー」「介護士・ケアマネージャー」があります。

以下で詳しく説明します。

一般企業等の医療職

医療系専門職や医療関連の一般企業への転職は、看護師の仕事で培った医療知識や現場での経験を活かせるため、未経験でも挑戦しやすいでしょう。

一般企業における医療職は多岐にわたります。

具体的な職種としては、以下のとおりです。

  • 医療事務
  • 健康相談員
  • 医療機器メーカーの営業・カスタマーセンター
  • 治験コーディネーター
  • クリニカルアドバイザー
  • 衛生管理者
  • 美容クリニックの看護師
  • 産業看護師
  • 検診、健診センター、献血ルームのスタッフ

美容クリニックにおける勤務や産業看護師は、病院と違って日勤のみというところが多いため、ワークライフバランスを取りやすい職種です。

病院における看護師の給料と比べると収入はやや落ちますが、他の職種に比べると高い傾向があるため、看護師からの転職先としても人気があります。

教育機関の看護師

子どもの体調の急変やケガなどの応急処置要員として、保育園看護師や保健室看護師を設ける教育機関があります。

保育士免許がなくても看護師資格を所有していれば働けるところも多く、セカンドキャリアとしてもおすすめです。

また、教育機関も日勤がメインであるため、ワークライフバランスを重視している人の転職先に向いています。

介護職

看護は好きだけれど病院での勤務が合わないと感じているのであれば、介護士やケアマネージャーなどの介護職へ転身するのもおすすめです。

介護職の主な勤務先は、特別養護老人ホームや民間の有料老人ホーム、介護老人保健施設などです。

介護士は、資格がなくてもなれる職種ですが、施設利用者の食事や着替え、入浴など、生活にかかる介助やサポート業務が求められます。

有床診療所での勤務経験がある人は、入院患者に対する看護やケアの経験を介護施設でも応用できるため、就職・転職の際に有利となる可能性があります。

また、働く環境においても訪問介護やデイサービスを行う施設へ転職すれば、日勤のみも可能です。

看護師から他職種へ転職する4つのメリット

ここでは、看護師から他職種へ転職するメリットについて、具体的に解説します。大きなメリットは、次の4つです。

  • 休みやプライベートが充実しやすい
  • 規則正しい生活・健康的な生活を送れる
  • 視野が広がる
  • 辛い人間関係をリセットできる

休みやプライベートが充実しやすい

職種や転職先の勤務形態にもよりますが、他職種の中には土日祝日が休みで、暦通り休める企業がほとんどです。

夜勤を求められる職種も限られており、看護師の仕事と比べると休みが取りやすく、プライベートが充実しやすいでしょう。

規則正しい生活・健康的な生活を送れる

看護師は、夜勤などもあるため、生活が不規則になりがちです。

日勤後に夜勤となると、しっかりとした休息も取れないまま仕事を行うことになるため、体調不良に悩まされやすい傾向があります。

しかし、転職により土日祝日が休みで日勤がメインの仕事に就くことで、規則正しい生活ができるようになり、体調不良の悩み解消が期待できます。

生活にゆとりができることで気持ちにも余裕が生まれれば、精神的なストレスも抱えにくくなり、心身ともに健康的な生活が送れるようになります。

視野・キャリアが広がる

看護師以外の仕事へ目を向け、転職することで視野を広げることが可能です。

さまざまなビジネスを体験することで、看護師+αのキャリアも積むことができ、社会における活躍の場も広がります。

辛い人間関係をリセットできる

看護師の業務は、より良い医療やケアを行うためにも円滑なコミュニケーションが求められます。

しかし、職場における人間関係に悩んでいる看護師は多く、命を扱うことの責任のプレッシャーとも重なり、精神的なストレスを抱えるケースが少なくありません。

そのため、人間関係に悩んでいる看護師は、転職をして特異な環境から離れ、辛い人間関係をリセットすることは大きなメリットと言えるでしょう。

看護師から他職種へ転職する3つのデメリット

看護師から他職種への転職は、メリットだけでありません。

デメリットもともなうことについても理解しておく必要があります。

看護師から他職種への転職によるデメリットとしては、次の3つが挙げられます。

  • 収入が少なくなる可能性がある
  • 未経験からのスタートになる
  • 想像していた仕事内容ではなかった

収入が少なくなる可能性がある

看護師は、夜勤や残業が比較的多い職種です。

その分が手当として給与にも反映されるため、一般的な企業と比較しても収入は多いほうだと言えます。

そのため、看護師から他職種へ転職し、働き方が変わることで収入が少なくなる可能性が高いということは頭の片隅に置いておくべきです。

未経験からのスタートになる

他職種への転職は、新しい世界へのチャレンジとなるため、未経験からのスタートとなります。

しかし、看護師資格を活かした仕事の場合、未経験であってもこれまで培った経験は最大の強みとなり、活躍できる可能性は十分にあります。

想像していた仕事内容ではなかった

看護師から他職種へのあこがれだけで転職をすると、実際の仕事内容とのギャップを感じてしまうことがあります。

1からのスタートの場合は覚えることも多く、転職先で必要となる仕事のスキルがない場合、なれるまでに苦労する可能性があるでしょう。

看護師の他職種転職は可能!失敗しないためにも知っておきたい3つのポイント

看護師資格を持ちながら、他職種で働く人は多くることから、看護師から他職種への転職も難しくないと言えます。

厚生労働省の「平成30年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、看護師の勤務先は、病院勤務が70.9%、診療所が12.8%という結果です。

83.7%が看護職という状況ですが、残りの約16.3%は、介護保険施設や社会福祉施設、それらに属さない病院以外の場所で働いているという状況です。

そのため、看護師から他職種へ転職をしても活躍できる可能性があります。

ただし、下調べや事前準備を怠ると、看護師から他職種へ転職したことを後悔することになるかもしれません。

ここでは、看護師から他職種への転職を失敗しないためにも知っておきたい、次の3つのポイントについて解説します。

  • 転職理由・目的を明確にする
  • 希望職種に必要なスキルを身につける
  • 転職のプロに相談する

転職理由・目的を明確にする

看護師の仕事への不満や人間関係など、ネガティブな理由だけで転職活動を始めると、上辺だけの情報につられてしましやすく、後々後悔するというケースが少なくありません。

  • どのような仕事をしたいか
  • どのくらいの収入を希望しているか
  • 残業が少なく、休暇が取りやすいか
  • 通いやすい場所にあるか

転職の目的や転職した後の生活、仕事を続けるための重要なポイントなどを明確にしておきましょう。

希望職種に必要なスキルを身につける

未経験OKの職種であっても、最低限のスキルが求められます。

例えば、一般事務の場合は、基本的なパソコンのスキルを必要とするケースがほとんどです。

転職先の仕事内容について下調べを行い、転職までに必要なスキルを身につけておきましょう。

転職のプロに相談する

看護師の仕事を続けながら他職種への転職する準備を行う場合、求人情報の検索、情報収集、履歴書・職務経歴書の作成などをすべて1人で行うことになります。

特に、看護師から異業種へ転職する場合は、業界のことも理解しておく必要があるため、1人ですべてを行うと時間がかかります。

やるべきことが多く、何から手をつけるべきかわからず不安にあることもあるでしょう。

そのような場合には、転職エージェントを利用し、頼れる部分は転職のプロに任せてみてはいかがでしょうか。

転職エージェントの役割は、転職希望者の条件や希望に合う求人紹介し、スムーズな転職をサポートすることです。

そのため、転職エージェントでは、履歴書や職務経歴書の添削、面接のスケジュール調整やアドバイス、給与の交渉など、転職に関わる、さまざまなサポートを行っています。

転職サイトなどでは公開されていない求人を紹介してもらえることもあり、より良い条件で転職できる可能性もあります。

医療業界しかわからない看護師にとって、手厚いサポートで転職をバックアップしてくれるため、不安がある人は、転職エージェントを利用しましょう。

まとめ

看護師から他職種へ転職する人は少数です。

しかし、ワークライフバランスを重視した看護師経験を活かせる仕事は多くあり、看護師から他職種への転職は難しくありません。

特に、患者と接してきたコミュニケーションスキルは、さまざまな他職種でも求められるスキルであるため、就職や転職においても有利となります。

ただし、看護師から他職種への転職活動を1人で行うとなると、時間も労力もかかるため、効率的かつより良い条件で転職したい人は、転職エージェントを活用しましょう。