2023年卒は、これから就活が本格的になってくるでしょう。
就活をすごく頑張ったのに、入社してみるとブラック企業で、心も体も壊してしまったらとても困りますよね。
できれば、「事前にブラック企業を見分けたい」と思いませんか?
この記事では、
- ブラック企業とはどんな企業か
- ブラック企業とホワイト企業の見分け方
- ホワイト企業だから必ず幸せになるとは限らない
を解説します。
この記事に目を通して、ブラック企業の見分け方を確認しておきましょう。
改めて確認!ブラック企業とは?
「先輩の入社した会社、実はブラックだったんだって」
「いくら残業しても、残業代がつかないのってブラック企業じゃないの?」
などと、私たちはよく「ブラック企業」という言葉を使いますが、実際はどういう企業のことをそのように言うのでしょうか。
ブラック企業に明確な定義はない
法律などで「〇〇だとブラック企業」、もしくは「〇〇が守られていないとブラック企業」という明確な定義はありません。
しかし、長時間労働や、過酷なノルマ、セクハラ・パワハラ、いじめ、低賃金などが横行している企業はブラック企業と言えるでしょう。
厚生労働省でもブラック企業については定義していません。
しかし、一般的な特徴を3つあげており、それが以下のとおりです。
- 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
明確な定義はないものの、ブラック企業という言葉はすでに社会に浸透しています。
ブラック企業と聞くと、毎日深夜まで残業しているのにその残業代が支払われなかったり、ノルマを達成できなければ上司から罵られたり、低賃金で働かされたりというイメージがありますね。
ブラック企業でありがちなこと
ブラック企業でありがちなことを、残業時間、労働条件、人事権、ハラスメントについての4つの観点から見ていきましょう。
会社が命じられる残業の上限は月に45時間です。月に45時間というと、週に約11時間です。
週休2日制の企業の場合、1日2時間以上の残業で月の上限の45時間はすぐに超えてしまいます。
月に45時間以上の残業が当たり前の企業は、ブラック企業かもしれません。
労働条件から見ると、例えば賃金が最低賃金を下回っている、有給休暇が使えないなどはブラック企業ではありがちです。
また、1日8時間で週に5日働いている人の1年間の休日が105日を下回れば、その企業はブラック企業の可能性があります。
ブラック企業だと「仕事を辞めたくても辞めさせてもらえない」、もしくは逆に、「合理的な理由もなく解雇された」など、人事についておかしなことがあるかもしれません。
また、ハラスメントを受けて相談したら、不利益な扱いを受けるような企業もブラック企業と言えます。
ブラック企業になってしまう理由
なぜ企業が労働者に対して長時間の労働や、過酷なノルマを課すのでしょうか。
それは、経営者が企業の利益を生み出さなければいけないからという理由が大きいでしょう。
企業が利益を出さなければ、その企業は倒産してしまい、倒産したからといって政府が助けてくれるわけではありません。
そのために手っ取り早いのが、労働者の賃金を低く設定したり、残業代を払わずに働かせることです。
また、正社員で雇うよりもパート・派遣・契約社員で雇うほうが企業側としては人件費が安くすみます。
労働者派遣法の拡大などにより派遣社員などの不安定な雇用が広がり、そのこともブラック企業がさらにブラックになる原因となっています。
経済のグローバル化が進んでいることも理由の一つです。
海外の企業が日本に進出してきて競争に負けると、その企業の経営が悪化し、しわ寄せが労働者にいくでしょう。
労働者側も、「会社を辞めると路頭に迷ってしまう」などと考えると、どんなにきつい条件でも従ってしまうために、なかなかブラック企業はなくなりません。
ブラック企業の見分け方
就活の際に、ブラック企業を見抜く目を持ち、ブラック企業だと思われるようなところにはエントリーをしないようにしましょう。
どのようにブラック企業を見分けるのか、その見分け方のポイントを解説します。
ぜひ、参考にしてください。
給与が高すぎるあるいは幅が広すぎる
求人票を見たときに、同業他社と比べて給与が高すぎる場合、あるいは給与に幅がありすぎる場合は注意しましょう。
給与を高く設定している代わりに、労働条件がかなり厳しいこともあります。
また、給与に幅がある場合は、業績によって給与が変わり、ノルマが達成できなければ低い給与のままという可能性もあるでしょう。
給与が良いからという条件だけでエントリーする会社を決めずに、同業他社との給与の比較などをし、その他の条件を調べてみてください。
給与の表記がみなし残業や年棒制
みなし残業というのは、給与の中にあらかじめ残業代も含まれている制度です。
残業代計算の手間が省けたり、残業をしていない月でも残業代を受け取れたりのメリットがあります。
しかしブラック企業では、みなし残業分以上の残業をしてもそれ以上残業代をもらえません。
また、年俸制は1年間の給与が決まっています。
残業をすればその分の残業代も出さなければいけませんが、年俸制だからということでごまかして社員に残業代を払わないブラック企業もあります。
熱意重視の求人
「やりがいのある仕事」「活躍できる」「夢を実現できる」などの言葉が並んでいると、少し用心したほうがよさそうです。
具体的な業務内容が書けないため、このように人をひきつけやすい言葉を並べてごまかしている場合があるからです。
またブラック企業では、人材がすぐに辞めるため「学歴不問」「未経験者歓迎」などと記載し、少しでも応募する人を増やそうとしています。
熱意重視の言葉に惑わされず、しっかりと業務内容や労働条件を確認しましょう。
抽象的な言葉が多い
企業説明会や面接などで、こちらから業務内容や勤務時間などを質問してもそれには具体的に答えず、抽象的な言葉で返答する企業には注意が必要です。
業務内容や勤務時間を具体的に答えると、入社希望の人材がいなくなるため、抽象的に答えざるを得ません。
例えば、「一緒に夢を追いかけよう」「仲間と一緒に」「挑戦できる」などの言葉で業務内容を答えることがあるかもしれません。
「根性」「やる気」などの精神論を、必要以上に持ち出すこともあるでしょう。
真剣に面接してくれない
面接の際に、あなたの長所や自己PR、その企業への志望動機、学生時代に頑張ったことなどを聞かずに雑談ばかり、という企業はブラック企業かもしれません。
ブラック企業は、人材の定着率が低く、すぐに辞めてしまうため人手不足です。
そのため、「入社してくれるなら誰でもいい」と思っている傾向が強いようです。
面接とは名ばかりで、真剣に面接をせず、雑談をして短い時間で終わってしまうような企業は避けたほうがいいでしょう。
労働基準についてきちんと説明してくれない
労働基準について質問したとしても、ブラック企業ならばそれにきちんと説明してくれない場合が多いでしょう。
実際の残業時間や、有給休暇の取得率などを正直に答えると、ブラック企業というのがわかってしまうため答えられません。
例えば、残業時間のことを質問しても、「一般的です」や「そんなに多くありませんよ」などと、はっきり答えてくれない場合は注意が必要です。
年末年始の休みを聞いても、「その年によって違います」など、具体的に説明がない場合は、休みをもらえないと思っていたほうがいいかもしれません。
内定が出るのが早い
ブラック企業は離職率が高く、「誰でもいいから働いてもらいたい」と思っているため、内定が出るのが早いでしょう。
面接の場で内定を言い渡されるかもしれません。
内定がすぐ出たことに喜ぶのではなく、あなたの人物やスキル、将来性などをきちんと評価されての内定かどうかというのを振り返ってみてください。
もしも、「とにかく面接を受けた人は誰でも内定を出す」というような状態ならば、その企業は避けたほうがいいでしょう。
採用数が不自然に多い
その企業の事業規模に比べて採用数が不自然に多い場合も、もしかしてブラック企業かもしれないと疑ったほうがいいでしょう。
採用人数が多いのは、それだけ採用してもすぐに会社を辞めるから、それを見越して大勢採用している可能性があります。
離職率が高いのはブラック企業の可能性が高いです。
事業拡大などの明確な理由がある場合は採用数が多いのは頷けますが、そのような理由なく、あまり多くの採用をする会社は避けたほうがいいでしょう。
説明会会場が無駄に豪華
大手企業の説明会ならば、広い会場や豪華な会場を借りることがあるかもしれません。
しかし、大手ではない企業の説明会会場が豪華な場合は注意しましょう。
自社オフィスで説明会をすると、よくない雰囲気が伝わるかもしれず、それを避けたいからかもしれません。
説明会に役員しかいない
企業説明会に役員しか参加していない場合は、注意が必要です。
役員が企業説明会に参加しているということは、採用活動に本気のためだと思うかもしれません。
しかし実は、社員を説明会に出席させると、長時間労働の実態や職場の雰囲気が悪いことがバレるため出席させていないケースもあります。
ブラック企業対象のチェックもおすすめ
厚生労働省は、労働基準関係法違反の疑いで送検された国内企業を、ホームページ上で公開しています。
「基準関係法令違反に係る公表事案」というPDFファイルで、各都道府県労働局が公表したものをまとめています。
都道府県別になっており、どの法令に違反したのか、どのような違反内容だったのかなどの概要も見ることが可能です。
ブラック企業かどうか、気になる企業がある場合は、ここで確かめてみてはいかがでしょうか。
また、希望している企業がブラック企業かどうかもチェックできますね。
反対にホワイト企業の見分け方とは?
今まではブラック企業を見分けるポイントについて、説明しました。
その反対に、ホワイト企業を見分けたい場合は、どんなポイントがあるのでしょうか。
ホワイト企業である可能性の高い、4つのポイントを一つひとつ説明します。
社員の離職率が低い
ブラック企業では社員の離職率が高いです。
それとは逆に、居心地のいい企業だと、誰しもが長く勤めたいと思うため、社員の離職率が低い会社がホワイト企業と言えるのではないでしょうか。
では、どのように離職率を調べるかですが、大手企業の場合はIRとして公表していることがあります。
企業のホームページを確認してみましょう。
また企業の採用担当者に、失礼にならないように直接聞くという方法があります。
この方法は、正確な数字がわかりますが、選考がかなり進まないと聞ける機会もないでしょう。
選考の前に知りたいという場合は、口コミサイトやSNSを利用する方法もあります。
ただしそこに載っている情報が正しいとは限らないため、注意してください。
充実した福利厚生
ホワイト企業は、基本的に福利厚生が充実しています。
例えば、住宅手当や扶養手当があるのとないのとでは、年収に大きな差がつくでしょう。
産休や育休の制度がなければ、仕事と育児の両立が難しく、仕事を辞めないといけなくなるかもしれません。
充実した研修制度があると、キャリアアップもしやすくなるでしょう。
語学学校に通う費用を補助してくれたり、海外留学できる制度があったりします。
健康面の福利厚生もあり、スポーツクラブの利用料の補助、ランチの補助、カウンセリングの無料提供をしている企業もあります。
残業時間が少ない
ホワイト企業では残業が少ないでしょう。
残業が月に20時間以下なら、一般的に残業が少ないと言えます。
残業が少ない企業は、残業が少なくてすむようにさまざまな工夫をしています。
社員も、残業をしなくていいように、常日頃から仕事を効率的にするように心がけているはずです。
残業が少ないと定時に帰りやすく、あなたのプライベートの時間が確保でき、習い事に通う時間もできますよね。
仕事だけでなく、趣味も充実させられ、公私のバランスもとれるでしょう。
有給休暇を取得しやすい
ブラック企業の場合、制度的に有給休暇はあるものの、誰も有給を取れないという状況があるようです。
一人で抱えている仕事量が多いと、休みを取る余裕もありませんし、誰かが休むと他の人にしわ寄せがいくような職場では、有給は取得しにくいでしょう。
しかしホワイト企業は、みんなが有給を取得しているため、あなたも「私だけ休んでいいのだろうか」という気分にならずに有給を取得できます。
特に用事がなくても、自分のリフレッシュのためだけに有給が使えるような企業で働きたいですよね。
ホワイト企業だからかならず幸せになるとは限らない
ブラック企業を避けて、ホワイト企業に就職できたら、将来が安泰で必ず幸せになるのでしょうか。
ホワイト企業だから、必ず幸せになれるとは限りません。
もちろん、ブラック企業で長時間労働にへとへとになったり、ハラスメントで心が折れてしまったりするよりは絶対いいでしょう。
ただし、人はそれぞれ何を会社や仕事に求めるかが違います。
企画を考えることが得意で、挑戦することが好きな人は、いくらホワイト企業でも、決められた仕事をルーティーンでこなすような毎日だと不満がたまるでしょう。
結局は、あなたが会社や仕事に何を求めているかをはっきりと知り、あなたにあった会社を選ぶことが幸せにつながります。
「ホワイト企業」にこだわらずに、仕事を通じてどんな自分になりたいかをまず考えてみてください。
【まとめ】ブラック企業は見極めが大切
この記事では、「ブラック企業の見分け方とは?」というテーマで解説しました。
ブラック企業の中には長時間労働の上、毎日上司から罵声を浴びせられるようなひどい職場もあります。
今回解説したブラック企業の見分け方を知り、就活をする際にブラック企業に引っかからないよう是非参考にしてください。