現在の日本では人々の価値観の多様化がすすみ、理想の働き方に合わせて転職を検討している方が多いです。その中で、気になるのは「管理職への転職」。管理職への転職は、転職する側も採用する側も難易度が高く、慎重に行う傾向があります。
この記事では、管理職への転職は実情からメリットやデメリット、活動する際のポイントまで解説します。
この記事を読めば、管理職への転職活動を開始するまでの心構えができますよ。
管理職への転職の実情
管理職の転職は難しい?
管理職の転職は、一般社員の転職に比べて難易度が高いと考えられます。
理由としては「求人数が少ない」「企業によって管理職へ求めるスキルが違う」「年齢の壁がある」などがあるからです。
管理職の求人というのは、企業側で欠員が出て、代わりとなる人材がいない場合のみに募集されます。そのため、管理職の欠員が出ても、非管理職を管理職にあてがえる、人材豊富な会社ではそもそも募集を行わない場合が多いです。
募集する管理職の人材には部下や上司、関連部署、上層部、取引先など幅広く良好な関係を築く「コミュニケーション能力」。
問題やテーマに正確に理解し、分析を行い、次に何を行うべきか判断する「マーケティング力」。
チームをより良い方向に導くために管理する「マネジメント力」、方向性を定めたら自らが動いてチームをひっぱる「リーダーシップ力」。
担当するテーマや内容に対して、適切な判断できる「専門知識」などが必要です。
企業によっては、「マーケティング力」より「コミュニケーション力」を重視する、「リーダーシップ力」より「マネジメント力」を求める、など、要望は千差万別です。またどの企業も管理職として「専門性の保有」を最低限求めることが多いです。
そのため、管理職として採用されるためには、専門性を兼ね備え、さらに企業の求めるスキルを持ち合わせている必要があります。
また、課長やリーダー職の求人では、年齢制限を定めている場合もあります。経験豊富且つ即戦力の募集の場合、なるべく長く働いて欲しいという意図があるため、年齢に制限を設定します。
以上より、管理職としての転職は簡単なものではないと言えます。
しかし、逆に言えば、このような問題を解決できるスキルや管理職としての実績を保有していれば、転職においては有利となります。
同業種・同職種への転職なら、採用されやすい
難易度の高い管理職への転職ですが、同業種や同職種への転職の場合は、ハードルが下がる傾向にあります。
前述しましたが、企業は管理職の募集に対して「専門知識」があることを前提としている場合が多いです。
そのため、同じ業界で働いた経験がある場合、専門知識の保有の担保となり、「会社とは違う視点から、アイディアをもたらせてくれるのでは?」と判断し、採用してくれる場合があります。
また、別業界からの転職の場合でも、職種が同じの場合は、管理職へ転職しやすいと言えます。
例えばですが、飲食チェーンのマーケティング部でチームリーダーを務めていた方が、食品メーカーのマーケティング部のリーダーに転職したということがあります。
他にも、SNSマーケティングの会社の管理職経験者が、新しくSNS販促チームを立ち上げた百貨店のマーケティング部のリーダーに転職したという例もありました。
このような人材であれば、年齢関係なく、即戦力の管理職として雇ってもらえる可能性が高いです。
管理職には、幅広い能力が必要のため、求められるスキルが高い傾向があります。未経験の業界や職種の場合、ハードルがぐっと下がるため、
自身の経験・スキルを直接的に生かせる同業界・同職種への転職を検討しても良いかもしれません。
非管理職から管理職へのスキルアップは可能か?
管理職への転職のためには、「ポストに就いた経験が必要だ」と認識している人が多いかもしれません。
たしかに管理職にはマネジメント力やリーダーシップ力が求められますが、必ずしもポスト経験が必要なわけではありません。
管理職に必要な「マネジメント力」や「リーダーシップ力」などは、組織やチームを統率し、分析を行い、メンバーを成長させるために必要です。
しかし、管理職として働かなくても、そのスキルを習得していることがあります。
例えば、プロジェクトのチームリーダーや新人の教育係を務めたことがある人です。
その場合、企業から求められるリーダーシップ力やマネジメント力が既に身についている可能性があります。
そのため、管理職の経験はなくとも、マネジメント力やリーダーシップ力を発揮した場面を言語化し、きっちりアピール出来れば、内定を獲得できますよ。
また、現在では人々の価値観に多様性が発生しており、ワークライフバランスを重視したいために、「管理職になりたがらない」という層が増えてきています。
そのため、意外とチャンスが転がっている可能性があります。
今後はスキルさえあれば、非管理職から管理職へのスキルアップを兼ねた転職のチャンスが増えていくかもしれません。
以上より、非管理職から管理職へのスキルアップの転職は、高いスキルが求められますが、可能性は十分にあります。
管理職へ転職するメリット
キャリア&年収アップが可能
管理職への転職は、キャリアアップや年収アップが見込めます。
特に現在勤めている企業で、自分より上のポジションのポストに空きがない状態や給料アップに見込みがない場合は、可能性が高いです。
他の企業に移れば、今よりも高い地位のポジションにつき、高い給与アップが見込めるからです。
またいきなり今より高い地位のポジションにつけなくても、その会社でしばらく働き続ければ、どこかでさらなるキャリアアップをする可能性があります。
現在勤めている企業で、そのような課題がある人は転職を検討してみても良いかもしれません。
将来への不安解消
自分の仕事や給与に納得していても、会社の将来性に疑問を感じ、不安を感じる管理職の人もいると思います。
管理職は上層部とコンタクトを取ることが多く、自社の将来性に対して分析することが多いです。そのため、会社の将来が見えてしまっているということが、一般社員よりも多い傾向にあります。
転職に成功し、新たな環境で働く場合、そのような不安が解消されます。これまで感じていたストレスから解消されるでしょう。
ただし、業界や企業の将来性をしっかりと分析し、転職活動を行わないと、また同じような状況に陥ってしまう可能性があります。
そのため、企業リサーチをしっかり行いましょう。
後述しますが、転職エージェントを活用しても良いかもしれません。
やりがいの獲得
仕事に対して飽きが生じている管理職の人もいるかもしれません。
転職をすることにより、マンネリが解消され、新たなやりがいを入手できます。
管理職は業務用内容が多岐にわたるため、仕事に対して興味や関心がなくなると、すぐに管理しているチームが崩壊する可能性があります。
その場合、会社や周りからに評価が下がり、給料のダウンやキャリアダウンにつながってしまいます。
自身の欠如やキャリアに傷がついてしまいます。
仕事に対して飽きを感じる人は、早めに新しい環境に移った方が良いかもしれません。
管理職へ転職するデメリット
プレッシャーがある
管理職への転職は、転職が成功してからも大変という傾向があります。
管理職で転職する場合、新しい部下からは「高い能力を保有しているものだ」という前提認識を持っており、プレッシャーがかかる状態でスタートする可能性が高いからです。
そのため、入社してすぐに即戦力として活躍できない場合、いつまでたっても周りから認められません。
また、新しいプロジェクトのリーダーを任せられる、課題を多く残しているチームで問題解決を求められる、という期待された職に配属される可能性もあります。
想定と違う仕事を任せられる
いざ転職してみたら想定したキャリアとは違う仕事を任せられることがあります。
グループリーダーとして採用されたと思っていたのに、ふたを開けてみたら裁量権のないサブリーダー的ポジションでの採用だったということも起こり得ます。
このミスマッチは、リサーチ不足はもちろんですが、企業によって管理職への役割が違うために発生します。
例えば、「課長」として採用されたが、ふたを開けてみたら、グループ長でない「課長」という役職(「担当課長」と呼ばれることが多い)での就職だったというケースです。
対策としてはしっかりと企業に対してリサーチを行うようにしましょう。
面接で、募集内容の詳細を確認してみるのもおすすめです。
管理職への転職活動のポイント
自己分析を行う
管理職になる人物を採用しようとしている企業は、非管理職に対する採用試験よりも
力が入っているものです。
「チームや部署を引っ張る即戦力の人材」を採用するために、面接試験での質問も多くなる傾向です。
そのため、どんな質問にも答えられるように自己分析をしっかりと行う必要があります。
管理職から管理職への転職を目指している人は、
「どのようにマネジメントをしたのか」
「リーダーシップを発揮した際はどのようなときか」
「課題解決のためにどのように行動したか」
などをエピソードと一緒に話せるようにしましょう。
非管理職から管理職への転職を目指す人は、「どんな時にマネジメント力やリーダーシップ力」を発揮したかを分析するようにしましょう。
紙に書き出すと、考えがまとまるのでおすすめですよ。
企業をリサーチする
自己分析が終わったら、企業の選定を行います。
想定していた仕事と違ったという「ミスマッチ」をなくすために、「リサーチ」は自己分析と同様にしっかり行う必要があります。
ここでは「転職先候補の規定の確認」「エントリーする条件の設定」の2点に重点を置いてリサーチをかけましょう。
「転職先候補の規定の確認」に関しては、求人や企業の情報(HPやニュース)から情報を収集します。
「どのようなスキルのある人材が欲しいのか」、「どのような採用活動をしているのか」を中心にチェックしましょう。
特に「人材育成の方針」や「評価方法」が自分の価値観や経験とマッチしているかどうかに着目してみてください。
そのうえで「エントリーする条件の設定」のために、自分の「マネジメント力」や「リーダーシップ力」、「マーケティング力」を活かせそうな企業をリサーチします。
前述しましたが、企業によっては管理職に求めるスキルは違います。
チームをひっぱり、がんがん案件を進めていくベンチャー気質の企業の場合、「マネジメント力」よりも「リーダーシップ力」に重きを置いて募集をしています。
また、メンバーを管理しながら長期スパンでプロジェクトを進めていくタイプの企業では「リーダーシップ力」より「マネジメント力」を求める傾向があります。
自分の経験を最大限活かせる企業を見つけるために、しっかりとリサーチしましょう。
エージェントを利用する
自分で自己分析や企業のリサーチができないという人は、転職エージェントを活用しましょう。
転職エージェントを利用すると、あなたにあった企業の求人案内はもちろんのこと、これまでのキャリアの中で活かせそうなスキルや経験、強みを発見できます。
管理職への転職の場合は、「マネジメント力」「リーダーシップ力」「マーケティング力」などに関してのアピール方法を相談するのも良いでしょう。
転職エージェントからは転職市場の現状、採用側の事情、要望人材に関してなどの情報を入手できます。
面接の練習、履歴書や職務経歴書の添削までしてくれるエージェントもありますよ。
また、エージェントは数多くの転職者とやり取りした経験がありますので、メンターとして不安に思っている事や悩みなどの相談にのってくれます。
年齢・職種別のおすすめ転職エージェントは、下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
まとめ
管理職への転職は難易度が高いため、しっかりとした対策が必要です。
管理職への転職のメリットやデメリットを把握した上で、「転職をする」と判断した場合は、自己分析や企業のリサーチを行うようにしましょう。
自己分析やリサーチには、転職エージェントの活用がおすすめです。転職エージェントは、転職市場の現状、採用側の事情、要望人材に関してなどの情報提供はもちろん、面接の練習、履歴書や職務経歴書の添削などもしてくれます。
また、転職エージェントは、独自のコネクションやルートを持っているので、一つではなく複数登録しておくことがおすすめですよ。
うまく転職エージェントを活用し、管理職の転職を実現させ、理想のキャリアや生活を目指しましょう。
年代別に転職成功のポイントは下記の記事で詳しく解説しています。
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