フリーランスはお仕事がなければ食べていけません。
案件を受けることができたときは嬉しいものですが、あてにしていたお仕事が急にキャンセルになることがあります。
とても力を入れていた案件であったり、そのためにスケジュールを空けていたり、他のお仕事をお断りしていたら、心身ともに大ダメージです。そのダメージを最小限にする対処方法をご紹介いたします。
案件を受ける仕事
フリーランスのお仕事として代表的なのが、PCひとつでどこでもできるお仕事です。
場所も選ばずスタイリッシュで、憧れる人の多いお仕事のひとつですね。
稼げる人は月三桁もの収入の人もいるという、修羅の世界でもあります。
そんなお仕事の中には、SE、エディター、デザイナーなど、知識が必要なお仕事が多いです。
しかしライターなどは、資格や知識がなくても単身チャレンジし始めることができるお仕事もあります。
契約の種類によるキャンセルのダメージの違い
案件を受ける仕事の中にも種類があり、それぞれ請負型と委任型と言います。
「契約書の記載の違い」とだけ認識しているフリーランスの人もいるかもしれません。
正直フリーランスになりたてのときは気にしなくてもいいくらいの分別ですが、知っておくことで急なトラブルに対応しやすくなります。
キャンセルされやすい仕事としては、請負型が多いです。
なるべくなら、キャンセルされてもダメージが大きくなりづらい、委任型で案件を受けるように意識した方が安心です。
委任型
委任型のお仕事は、業務委託とも言われます。
作業の時間や期間を決めた上で、求められた仕事をこなしていくことです。
ライターであればサイト専任ライターとして毎月何件納品をすること、SEであればホームページ管理などが委任型のお仕事にあたります。
委任型の場合は、その月の報酬は決まっていますから、外部委託の社員という感覚と言ってもいいかもしれません。
キャンセルとなった場合でも契約期間分は報酬が発生することが多いので、急に収入がなくなる心配も少ないです。
委任契約を結ぶ方が、キャンセルなどのトラブルに関して安心できると言えるでしょう。
長期契約と呼ばれることもありますが、長期契約の請負型のこともあるので契約書はきちんと確認しましょう。
請負型
請負型のお仕事は、1件1件に報酬があるタイプのお仕事です。
タスクや単発のお仕事は請負型のことが多いでしょう。
クライアントとしても、長期の契約ができるほど信頼できるワーカーかどうかを判断するためのとっかかりとして請負型の仕事を募集することもあります。
しかしこの場合に多いトラブルが、たとえ請け負ったお仕事を進めていても、納品前にクライアント側からキャンセルされると報酬が発生しないことです。
請負型の報酬条件は、納品すること、作業を完成させることにあります。
そのためにかかった時間や労力というのは、納品後の報酬に含まれてしまいます。
納品前にキャンセルされてしまっては、使った労力も時間も全て水の泡になってしまうということです。
これは契約書を交わしたとしても、請負契約を交わした場合は変わりません。
キャンセルされる前に納品してしまえるスピードをつけるか、または契約時にキャンセル料などの条件を提示する方法などがあります。
キャンセルされにくい案件の取り方
キャンセルされることが心配ではありますが、まずは案件を取らなければ話になりません。
フリーランスのお仕事の取り方は、会社と比べては大きな差はありませんが、「全て個人で行うこと」にポイントがあります。
案件の取り方によってキャンセルのリスクも変わってきます。
クラウドソーシングでの案件
案件の数が多くクラウドソーシング運営に手数料を払いますが、安定して様々な案件を受けることができます。
やりとりもソーシング内で管理されているので安心です。
契約期間によってソーシング側からリマインドもあるので、未払いのまま放置ということもありません。
キャンセルに不安がある人にはクラウドソーシングがおすすめです。
案件の金額も様々で、登竜門の気持ちでどんどん案件を受けることもできます。
クラウドソーシングで気をつけるべき案件
しかし、クラウドソーシングだからと言って完全に安心なわけではありません。
日々の連絡手段として別のアプリに誘導される場合があります。
その場合、クラウドソーシング管理下外での契約となることがあるので、未払いや契約外業務、キャンセルなどのトラブルも考えられます。
ほとんどは優良な受注者さんなので過度の警戒はいりませんが、クライアント情報もきちんとチェックして信頼度の高い案件を受けるようにしましょう。
契約前に納品しない
大前提でもありますが、クラウドソーシングでは契約書は交わしません。
運営側は契約後のキャンセルなどは対応してくれますが、契約前の相談段階ではそうはいかないのです。
相談段階で納品してしまっては契約の内容などのすり合わせもきちんとできてないので、未払いとなっても対応のしようがありません。
納品は双方で報酬の話し合いをし納得して契約した後でするようにしましょう。
求職サイトで応募する取り方
安心できる案件の取り方として、求職サイトに応募するのも一つです。
仕事の受け方も選べますし、クライアントを吟味して受注することができます。
クラウドソーシングを通さないので手数料も取られません。
求職サイトで応募した場合は、契約書を締結するのがほとんどです。
クライアントにも事情があるので、契約書を交わしたからといってキャンセルが絶対にないわけではありませんが一方的に契約を反故にされることはないでしょう。
人脈を使う案件
フリーランスを始めたばかりの時は、いろんなお仕事を試してみるべきです。
役に立てそうなお仕事であればどんどん紹介してもらうと、スキルも身に付きますし、自分の得手不得手がわかってきます。
しかし、この人脈による案件は、気軽にキャンセルされやすいという難点があります。
お仕事を受けやすい反面、価格に関しても融通が効くと思われがちなところもあるので、やりがい搾取にもなりやすいのでハイリスクでもあるのです。
契約書の締結は特にしっかりした会社相手でなければ、口約束が普通でしょう。
キャンセルなどのトラブル面で見ると人脈によるお仕事は不安が大きいですが、経験値のベースアップにはなるのでフリーランス初心者にはおすすめです。
営業して勝ち取る案件
自身の得意不得意がわかり、どんな仕事なら良質な内容で顧客満足度の高い仕事ができるのかを自分で分かった人におすすめなのが営業です。
欲しい仕事を取りに行くスタイルなので、自身を売り込むための手段も必要です。
ポートフォリオや、その分野におけるスキルや知見があることを証明しなくてはいけません。
営業で案件を取りに行くときは、価格も自身で提示することができますし、契約方法を提案することもできます。
キャンセルされた時のために着手金などの提示もしやすいです。
この場合のキャンセルリスクはスケジュールリスクが主になるでしょう。
スケジュールリスク
「お願いしたい仕事がある」と言われれば、スケジュールを取っておくのがどんなお仕事でも受ける側のマナーです。
しかし、せっかく空けておいたスケジュールでもクライアントの都合によって急にキャンセルとなっては損失となります。
この場合は、先々の抑えるスケジュールは何日前まで、と個人的に決めてしまうのがおすすめです。
スタートの時期が遅れてしまう場合なども、設定した一定期間が過ぎれば残念ながら受注できない旨を先に報告しておきましょう。
クライアントとしても急な連絡にならずに済むので、こちらから提示することでコミュニケーションを円滑に取ることができます。
キャンセルに対応できる方法
お仕事を探すことろから注意するのも大切ですが、いただいた案件がキャンセルになった時のためにやっておくと安心な具体的な方法もご紹介します。
契約書を交わす
フリーランスでは特に、口約束でお仕事を始めることは珍しくありません。
日本人は特にサービス精神が旺盛なので、頼まれたお仕事以上のことをしたくなったり、または求めたりもします。
サービスはする分にはいいのですが、サービスありきで仕事を求めるのはおかしい話です。
契約書を交わすことでその線引きを明確にすることもできます。
報酬、期間の設定
まずは報酬と納期の設定が話し合いやすり合わせの通りかをきちんと確認しましょう。
クライアント側からの提示であってもこちらからの提出であっても、双方合意の内容が明記してあることを確認する必要があります。
あまりないことですが、確認を怠って話し合いの内容とは違う報酬で契約書を交わしてしまうと、思ったような報酬を得られないこともあるので確認は大切です。
作業範囲の設定、確認
次に作業範囲の確認です。
請負型の場合は納品までですが、差し戻し、修正が何回もあるとなると、また時間と労力を割いてしまいます。
修正に関しても回数を決めるなど、作業範囲を明確にしておくと、より仕事がしやすくなります。
委任型の場合でも、最低限の業務内容を明記しておくことで、それ以上の仕事をした時にクライアント側からも評価されやすく、報酬アップにもつながりやすくなります。
著作権についての確認
納品した作成物についての著作権が、どちらにあるのかもはっきりとさせておくようにしましょう。
多くはクライアント側に権利が移転します。
ワーカー側に著作権が残る場合は、これからの活動につながるポートフォリオとして活用できる場合もあります。
イラストや画像であれば、二次使用されないように署名を残しておくことも考えましょう。
確認メールは必須
契約書は大仰すぎる、信頼していないように思われるとクライアントに失礼かもと心配する気持ちもわかります。
しかし、形ある証拠として残しておかないと、いざというときに泣き寝入りすることになってしまいます。
その場合に失礼ともならず、逆にきちんとした人だなと印象をよくすることにも繋がるのがメールでの確認です。
例えば電話で受注した時などは、口約束となるので認識に違いが出やすいです。
話している内容に認識違いがないかの確認にもなり、文字化することで証拠としての価値もあるので、内容の確認メールを送ることは忘れずに行うようにしましょう。
この場合も、報酬、納期、作業範囲、著作権を忘れずに明記し、了承の返事をもらえれば双方納得の契約完了とみなされます。
この確認メールと了承のやりとりが、契約書を交わさない場合でも相応の証拠能力を持つのでとても大切です。
キャンセルされても報酬を得る方法
キャンセルされることも想定した契約書を作成することも、おすすめのキャンセル対策になります。
クライアントから契約書を提示される場合もありますが、ワーカー側から契約書を作成することで、キャンセルをされた時にも報酬をゼロにしない方法があるのです。
キャンセルポリシーを設定する
案件がキャンセルになった時に、どう対応するのかの基準となるのがキャンセルポリシーです。
契約書を交わす段階でキャンセルポリシーを設定することで、双方の合意となります。
宿泊施設のキャンセルポリシーを参考にしてみてもいいかもしれません。
着手金を設定する
着手金として先に報酬の何%かをもらっておく方法もあります。
クライアント側も着手金の契約をすることで、ワーカーに真摯に仕事に取り組んでもらいやすくなるのでデメリットにもなりません。
クライアント側からの予期せぬキャンセルとなった場合でも、着手金を放棄することを契約とすれば、安心して仕事に取り組むことができます。
キャンセルリスクを回避してフリーランスとして働こう!
キャンセルの予防線を知っておけば、泣き寝入りして収入につながらない悲劇を回避することができます。
もちろん普段からクライアントとのコミュニケーションは円滑にしておくことで信頼度が高まれば、急なキャンセルの危険も少なくなります。
ただ、時世もありクライアントにもやむを得ずキャンセルとなってしまうこともあるので、そこは自衛として予防線を張っておくのが安心でしょう。