自分は口下手だから営業に向いていないと、決めつけてしまっている人は多いのではないでしょうか。
しかし、口下手な人ほど営業に向いているという意外な事実があります。
実際、トップ営業マンには口下手や人見知りの人もいます。
世間一般の営業マンへのイメージと、本当に営業マンに必要な要素には乖離があります。
そこで今回は、営業の本質を理解し、成果をあげるために必要な要素を徹底解説します。
トップ営業マンのイメージ
まず、トップ営業マンと聞いてみなさんはどのような人をイメージしますか。
一般的には以下のようなイメージをするかたが多いのではないでしょうか。
- 話が上手い
- 社交的
- 合いの手上手
- 性格が明るい
学生時代にはクラスで人気者だったようなタイプですね。
逆に、営業に向いていない人には、
以下のような特徴があると思っている方が多いのではないでしょうか。
- 口下手
- 人見知り
- 引っ込み思案
しかし、このイメージとトップ営業マンの特徴には大きな乖離があります。
営業のゴールとは何か?
トップ営業マンの特徴を理解するうえで、まずは営業の目的について整理してみましょう。
営業マンが営業をする目的はシンプルです。
会社にコミットする目的は「売り上げを作ること」、お客様にコミットする目的は「お客様の持つ課題を解決すること」この2つこそ、営業マンが営業をする目的です。
2つの要素は密接にリンクしており、「売り上げをつくるためにはお客様の課題を解決することが必要」「お客様の課題を解決すれば会社の売り上げを作ることにつながる」というような関係性になっています。
営業の目的と手段
前述したトップ営業マンに持つイメージですが、話が饒舌、社交的、性格が明るいということは、目的達成をする要素になることはあるかも知れません。
しかし、あくまで手段であって目的ではありません。
目的は「お客様の持つ課題を解決すること」です。
饒舌なトークでその場の空気を作っても、本質が伴わなければ契約までつなげることはできませんし、運良く契約してもらえても、リピートしてもらうことは難しいです。
営業マンにお客様が望むもの
営業にはどのような要素が必要となるか解説していきます。
まず、あなたなら営業マンに何を求めるかを考えてみてください。
ほぼ全てのお客様が望むのは、この2つの要素です。
- 信頼できる人物である
- 課題の本質を解決する力がある
それぞれ解説していきます。
まず、「信頼できる人物である」という要素です。
こちらはシンプルに、この営業マンは「信じられる人物であるか」「誠実な人間であるか」という観点で判断されます。
信頼を高める方法については、後ほど解説いたします。
次に「課題の本質を解決する力がある」という要素に関しては、
- 課題を理解しているか
- 課題を解決する提案を持っているか
- 課題解決のための十分な知識があるか
というような、有益性をもたらす力があるかを判断します。
自分が話すのではなくお客様に話をしてもらう
お客様が望むものを満たすためには、自分が話すのではなく、お客様に話をしてもらうことが重要です。
この点が、口下手な人ほど営業がうまくいくポイントでもあります。
多くの営業マンは自社の良いところを理解してもらうことに注力して話します。
ただ、それがお客様の求めるものでなければ全く響きません。
むしろ、いらない情報はノイズでしかありません。
すべての鍵はお客様が持っています。
どこに課題の本質があるかのヒントも、契約の意思決定もお客様が持っています。
そのため、自分がいくら一辺倒で話してもゴールにたどり着くことはできません。
お客様にいかに話をしてもらうかが営業のポイントになります。
加えて、人は話を聴く事より話すことが好きな特性を持っています。
そのため話を真摯に聴くことは、信頼感の構築にもつながります。
だからこそ、営業では話を聴くことが重要となります。
トップ営業マンに必要な要素
前述した内容をふまえて、トップ営業マンに必要な要素を解説していきます。
相手の話を真摯に聴き、信頼を得て、課題を解決する。
この目的を達成するためには以下のような要素が求められます。
- 傾聴力
- 質問力
- 仮説構築力
- 課題発見力
一つずつ順番に解説していきます。
傾聴力
先ほど解説したように目的達成への答えはお客様が持っています。
テストやクイズで問題をよく理解しないと答えがでないのと同じように、
営業でもまずは課題を理解することが重要です。
一方的に話をしてしまう饒舌な営業マンが陥りやすい罠でもあります。
また、傾聴力が高い人は相手の言葉から会話を組み立てられます。
それができることにより、お客様のニーズにそった解決へ向かうことができます。
まずは相手の話を聴くことに集中し、課題解決のためのヒントを探しましょう。
質問力
自動車を普及させた立役者、ヘンリー·フォード氏の言葉で、「もし顧客に、彼らの望むものを聞いていたら、彼らは”もっと速い馬が欲しい”と答えていただろう」という言葉があります。
この言葉で伝えているように、お客様の中にヒントはあれど、どのような方法が課題解決となるかはお客様も分からないということです。
そのため、潜在ニーズを引き出していくプロセスが必要です。
お客様がまだ気づいていないようなニーズを、質問によって深堀りしていく必要があります。
課題深堀りのための質問をする際は、以下のようなポイントを抑えると効果的です。
- オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
- 意図のある質問をする
- 相手が聴いて喜ぶ話、話したくなる質問をする
- Why型の質問をする
オープンクエスチョンとクローズドクエスチョンを使い分ける
この2つの簡単な切り分けとしては、「はい」か「いいえ」で答えられるかどうかです。
オープンクエスチョンは何を?、どんな?などの質問に対して答えを回答するため、「はい」か「いいえ」での回答はできません。
クローズドクエスチョンは好きですか?、嫌いですか?のように、「はい」か「いいえ」での回答ができる質問です。
クローズドクエスチョンだけでは相手からニーズを引き出すことは難しいですが、
オープンクエスチョンだけでは相手が回答に困ってしまいます。
答えやすいクローズドクエスチョンから入り、オープンクエスチョンでニーズを探るなど、2つの質問の使い分けが必要です。
意図のある質問をする
お客様は忙しいので無駄な時間が嫌いです。
特にB2Bの場合、経営者や役員といった時間にシビアなかたを相手にすることが多いです。
そのため、意図の無い無駄な質問は相手から嫌がられます。
課題解決につながる質問にフォーカスをあてましょう。
相手が聴いて喜ぶ、話したくなる質問をする
人は話すのが好きです。
その中でも自慢したいことや苦労話は特に聴いて欲しいと思っています。
先方企業の好調な部分や、顕著に回復を見せている部分が答えとなるように質問をしてみるのもテクニックの一つです。
それにより、相手に気持ち良く話してもらい、貴重な情報を話してくれるきっかけにもなります。
Why型の質問をする
Whatである”何を”の部分は顕在化しやすいため、相手も理解していることが多いです。
しかし、Whyである”なぜ”の部分は自分自身で考えていないことが多いため、
潜在的な答えを掘り出す良い質問となります。
なぜ?、どうして?、どのような理由で?といったような切り口の質問は、
目的達成に向けた効果的な質問となります。
仮説構築力
ビジネスで仮説が大事というのはよく聞く話ですが、営業においても、とても重要な要素となります。
相手に納得してもらうためには、話に筋道を立てることが大事です。
そして、筋道をたてるうえでは事前に全体を把握しておく必要があります。
その全体設計をするうえで必要なのが仮説構築力です。
仮説がない場合、その場で考えただけの提案しかできず、
相手にとって価値のある提案をすることは難しいです。
また、軸がないため提案がマッチしない際の方向修正もうまくいきません。
仮説だてて話した場合、提案に説得力がでます。
仮に提案が相手の意にそぐわないものだとしても、
仮説だてた筋道をもとに、修正すべきポイントに気づきやすくなるため、次により価値のある提案ができるようになります。
自分で構築した仮説をイメージしながら、相手の話を傾聴し、効果的な質問をなげかけることで相手の潜在ニーズにたどり着けます。
課題発見力
潜在ニーズを見つけるためには課題発見力も必要です。
表面から見える状況は、本質的な課題ではないことが多いです。
穴の空いたタイヤに空気を入れても、また空気は抜けてしまいます。
この場合、原因である穴を埋めるということが根本解決になります。
表面から見える状況を解決しても、本質的な課題を解決しなければ同じ問題はまた起こります。
本質的な課題を発見するためには、課題を深堀りしていくことが必要です。
課題を深堀りするフレームワークとしてはトヨタの5Whyが有名です。
見えた問題に対して、なぜ?を5回深堀りしていくというものです。
例) ①「なぜ機械は止まったか」 →「オーバーロードがかかって、ヒューズが切れたからだ」 ②「なぜオーバーロードがかかったのか」 →「軸受部の潤滑が十分でないからだ」 ③「なぜ十分に潤滑しないのか」 →「潤滑ポンプが十分くみ上げていないからだ」 ④「なぜ十分くみ上げないのか」 →「ポンプの軸が摩耗してガタガタになっているからだ」 ⑤「なぜ摩耗したのか」 →「ストレーナー(濾過器)がついていないので、切粉が入ったからだ」 |
このように本質的な課題こそが潜在ニーズであるため、
なぜ?を深堀りして考えていく必要があります。
口下手な営業マンが信頼を高める方法
営業マンが信頼を高める方法としては以下のような手段があります。
- 嘘をつかない
- 小さな成果で良いので実績をつむ
- 余計なことを言わない
- 自社と他社のメリット、デメリットを明確に伝える
- 最終的にメリットではなくベネフィットを伝える
- 一生懸命さを伝える
嘘をつかない
嘘をつくのは営業マンとして論外です。
嘘をついてしまった時点で信頼は0になるので、小さな事でも嘘が無いようにしましょう。
小さな成果で良いので実績をつむ
実績は一番の説得力です。
最初から大きな案件獲得は難しいですが、小さな案件なら獲得しやすいです。
まずは小さな案件を獲得しお客様に満足してもらいましょう。
そうすれば信頼が生まれ、より大きな案件へつながります。
余計なことを言わない
饒舌な人ほど余計なことを言ってしまい、信頼をなくしてしまうことがあります。
軽はずみに口にだしたことが相手の気を害してしまうこともありますので、不用意な発言は控えるようにしましょう。
自社と他社のメリット、デメリットを明確に伝える
営業で一番大事なのは、何度もお伝えしているとおり相手の課題を解決することです。
時として他社商品に優位性がある場合があります。
その場合でも隠そうとせず、相手の利益を一番に考えて話すことで大きな信頼感が生まれます。
一度の契約は逃しても、信頼が生まれれば次回の契約やリピートにつながり、結果、長期視点で大きな成果へとつながります。
最終的にメリットではなくベネフィットを伝える
お客様が最終的に知りたいのは、あなたの会社の商品のメリットや強みではなく、商品を購入することで得られる利益です。
その商品を購入することで、自分の会社がどのような状態になるのかが知りたいのです。
ですので、メリットで終わらずベネフィットを訴求していきましょう。
一生懸命さを伝える
お客様も人間です。
B2B(対法人)でもB2C(対エンドユーザー)でも対応するのは人間です。
そのため、人の一生懸命な姿には心を動かされます。
口下手なかたは一生懸命伝えることで、「口下手なのに頑張ってくれてる」とポジティブ要素にとらえてもらえることもあります。
全力で望む姿勢が何より大事です。
営業職には魅力がたくさん
最後に営業職の魅力について解説したいと思います。
営業職というとノルマに追われる、接待疲れするなどネガティブなイメージを持つ方もいるかも知れません。
ただ実際、営業職は魅力が多い職種です。
給与、やりがい、将来のキャリア構築を考えても魅力的なポイントが多いです。
- 無資格でも挑戦できる
- 営業手当がもらえる会社もある
- 業種を変える転職で給与アップしやすい
- トップ営業マンになればスカウトがかかる
- フリーランスや起業にもつなげやすい
- 人情や人の暖かさを感じられる
無資格でも挑戦できる
営業職は基本的に資格がなくても挑戦できる場合が多いです。
資格よりも、前述した課題解決力や人間力が必要とされるため、ビジネスパーソンとしてどの会社へ行っても必要とされる力を養うことができます。
営業手当がもらえる会社もある
会社によっては営業職に営業手当を支給している会社があります。
また、成果によってのインセンティブが支給されるケースも少なくないです。
そのため他の職種と比較し高めの給与設定がされていることが多いです。
企業が利益を作るうえで、営業に重きを置いていることが伺えます。
業種を変える転職で給与アップしやすい
営業職は転職に困りづらい職種であるというメリットもあります。
営業のスキルは転用が効きやすいことと、どこの企業でも必ず営業というポジションがあるためです。
給与水準は基本的に業種 × 職種で決まります。
そのため、業界移動がしやすい営業職では、給与水準の高い業種へ転職することで年収をあげていくことができます。
下記の記事では、年代別に転職成功のポイントを解説しているので、転職を検討している方はぜひご覧ください。
トップ営業マンになればスカウトがかかる
トップ営業マンになれば他の企業からスカウトがかかるケースも多いです。
売り上げを上げる営業マンをどこの企業も必要としているからです。
予想以上の好条件でスカウトの声がかかるケースも少なくないです。
フリーランスや起業にもつなげやすい
将来、フリーランスや起業を考えているのであれば、営業職の経験を活かすこともできます。
ビジネスを発展させるためには売り上げを作ることは必須です。
その重要な役割を担うスキルを、自分自信で持つことには大きな意味があります。
また、営業時代のお客様が独立後に助けてくれる場合もあります。
営業で得た人脈もあなたの資産となります。
人情や人の暖かさを感じられる
営業はロジカルに戦略立てていくことが大事ですが、最終的には人と人です。
困ってる人を助ける、時には誠意をもって対応したお客様から助けてもらえる場面もあります。
そのような人情や人の暖かさを感じられる職種でもあります。
下記の記事では営業の魅力や営業に向いている人について詳しく解説しているので、ぜひご覧ください。
口下手な人ほどトップ営業マンになれる
お伝えしたように、饒舌、社交的、性格が明るいなどは、営業マンとして必ずしも必要な要素ではないです。
大事なことは信頼を積み重ね、相手の課題を解決することです。
そのため、口下手な人ほど営業に必要な本質に気づくきっかけが多く、トップ営業マンとなる人が多いです。
実際、私の学生時代の友人も、仲間内では寡黙で遠慮がちなほうでしたが、大手企業のトップセールスとなりました。
営業の本質を磨くことこそが、トップ営業マンへの道につながっています。
下記の記事では、今注目のフルコミッション営業について詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。