ソニーと言えば、誰もが知っている大手の会社です。
ソニーの製品を持っている人も、たくさんいらっしゃると思います。
多くの子会社や関連会社を含むソニーグループでは、多岐にわたる事業を展開しています。
そんなソニーの年収はどうなのか、興味のあるところですよね?
グループ全体の年収や他企業との比較などを解説していきたいと思います。
ソニーの平均年収は1,057万円
2020のソニーの平均年収は1,057万円となっています(ソニー有価証券報告書より)。
この金額はトヨタの平均年収865万円を、大幅に上回る年収です。
近年ソニーの平均年収は右肩上がりで推移していますが、2018年以降に年収は1,000万円以上となりました。
これはCMOSイメージセンサー(スマホカメラ向けの画像処理半導体)やゲームの売上が伸びたためです。
2019年3月期の売上高が8兆6,657億円に昇り、これは過去5年間で最高の売上高となりました。
コロナがソニーに与える影響
順風満帆に見える業績ですが、さすがに新型コロナの影響を受け、2021年3月期の決算の数値を下方修正することになります。
当初は2021年の業績はプラスになる予定で、上方修正を出していました。
しかし、コロナの影響があり、2020年3月27日に「2月の上方修正を打ち消すほどのマイナスの影響が出る」と声明を出しました。
辛くもこの時、最も収益を上げている半導体への被害は免れたのは、さすがというべきでしょうか。
ソニーの年収の評価システム
ソニーでは一般的な年功序列式ではなく、独自の成果主義を取り入れています。
ここでは、ジョブグレード制と呼ばれる仕組みと、年齢別の年収について解説します。
この評価システムは、年功序列の要素を完全に廃止しているので、年齢は関係ありません。
あくまで「役職ではなく役割」が評価の対象になります。
ジョブグレード制
社員全員がクラス分けされ、新入社員を含めた全員が「I (I1〜I5)」に属します。
I5から昇格する場合に等級I6と等級M6のどちらかに分かれます。
プロフェッショナルとして会社に貢献するI(インディビジュアルコントリビューター。
そして、管理職として貢献するM(マネジメント)の2つの選択肢があります。
給与は個人のグレードに合わせて支払われ、この二つは数字が同じなら給与は同じです。たとえばI7とM7は同じ年収ということになります。
また、IとMを行き来することもできます。
上級専門職
年功序列の旧評価制度では、管理職になることで給与が上がるシステムでしたから、技術を究めたいエンジニアには不平等でした。
しかし、この制度に移行したことで等級I6以上の上級専門職を目指すことができる道が開らかれたのです。
始めは新入社員を含めた全員が「I (I1〜I5)」に属しますが、I5から昇格する場合に等級I6と等級M6のどちらかに分かれます。
旧制度では、管理職にならなければ給与が上がらなかったため、技術を究めたいエンジニアには不評でしたが、この制度にしたことで等級I6以上の上級専門職を目指すことができる道をひらいたのです。
専門性を評価
ソニーはエンジニア中心の会社でもありますから、統括職だけではなく、専門性に応じた役割等級を新たに儲けることで、社員のキャリアの選択肢を広げる結果となりました。
I6以上の上級Iグレードは、高度な専門性を保って会社への貢献を果たす役割を持つと定義されています。
そして、その専門性あり方を厳格に審査の上に、グレードアップを果たして行きます。
ソニーの評価の概要
ボーナスに関しては「実績評価」が査定に反映され、「行動評価」は実績評価と合わせて「役割遂行度評価」として基本給査定に反映されます。
そしてこの「役割遂行度評価」はジョブグレードアップの参考指標としても反映されます。
具体的には「実績評価」は年1回、目標のハードルと達成度の2点を考慮し、実績の程度を5段階(1〜5)での評価になります。
ほとんどの社員が2〜4の評価になります。
また「行動評価」も年に1回、人事部の評価基準である「ソニー社員に求める行動」を規範として、ジョブグレード毎の行動評価基準の実践度を、各項目毎に上司が決定します。こちらも5段階評価(1〜5)です。
これら実績評価と行動評価の二つの軸が、ボーナスやジョブグレードアップに反映され、ジョブグレードが上がれば基本給も上がっていきます。
常日頃からソニーの社員は、目標や行動を1つ上のグレードを意識することを、当たり前のようにしています。
ソニーの福利厚生について
1年生へのランドセルの贈呈
まず真っ先に挙げられるのがこのランドセルの贈呈式です。
ソニーでは、社員とその家族を大切にしており、
毎年2月に新1年生になる社員の子どもを職場に招いて、「ランドセル贈呈式」を開催しています。式典終了後には新一年生と社員の家族に手づくりのお祝いイベントをプレゼントもあります。
法定福利構成6種
ソニーは特別手当や補助金なども、手厚い保護があります。
健康保険・雇用保険・厚生年金保険・介護保険・労災保険・児童手当拠出金労災保険の6種を官費しています。
法定外福利10種
・通勤手当ての他、社員も寮あります
・定期検診及び一定年齢以上の人間ドック
・産前産後休暇制度及び育児短時間勤務の利用
・必要に応じてテレワークも可能
・社内部活制度及び活動費支給
・慶弔金が支給
・豊富なメニューが揃っている食堂・カフェテリア、コンビニや自動販売機あり
・集合研修やe-learningなどを受講・チューター制度など教育関連の制度が充実
・自己啓発関連の補助金
休暇について
年次有給休暇が初年度17日、最大で24日付フレキシブルキャリア休職制度があります。
また、社員が私費留学する場合-最長2年の休職が認められます。
その他、配偶者の海外転勤や海外留学に同行する場合に最長5年、本人の海外留学では最長2年の休職も認められています。
特定治療支援制度
これは、がん治療や不妊治療などの特定の疾患や治療を行う社員のために、短時間勤務や特別な有給休暇を取ることのできる制度です。
治療の内容によっては、最大で1年間の休職制度が利用できる上に、治療費の一部補助の申請もできます。
その他
・コロナウイルス予防のサポート手当支給
・介護休職支援金(月額賃金50%を補助)
コロナ禍に対する補助金の他にも、傷病や治療にも補助金があり、キャリアアップのための補助金も手厚いものがあります。
ソニーのグループ会社について
ソニー株式会社を中心とする、ソニーグループは7部門からなり、1019・3・31現在で子会社1,588社を数え、関連会社も145社に登ります。
G&NS(ゲーム&ネットワークサービス)・音楽・映画・EP&S(エレクトロニクス・プロダクツ)・I&SS(イメージング&センシング・ソリューション)・金融・その他と、事業内容は多岐に渡っています。
ソニーは一一部上場企業の中でも最も子会社の数が多い企業です。
ソニーの子会社と関連会社について
子会社とは、親会社が50%以上の議決権(株式)を持っている企業のことを指します。
親会社が保有している議決権(株式)の割合に比例して意思決定権が大きくなります。
この議決権が100%になると完全子会社ということになります。
ここでいうソニーの子会社は全て完全子会社となっています。
また、議決権(株式)が20~50%のときは関連会社と呼ばれます。
ソニーはグループで事業を展開
また、ソニーは事業毎に子会社数社をまとめてグループ全体で事業展開をしています。
例えば、金融部門には
- ソニーファイナンシャルホールディングス(株)
- ソニー生命保険株式会社
- ソニー損害保険株式会社
- ソニー銀行株式会社
以上の4社が配置され事業展開を助け合っています。
業種が異なっていても、映像 – 音楽 などは親和性が高く、共に事業シナジーを生み出すことに取り組んでいます。
ソニーのグループ会社の年収
代表的なソニーの子会社と関連会社の年収がこちらです。
- ソニーフィナンシャルホールディングス 923万円
- ソニーモバイルコミュニケーションズ 844万円
- ソニー・インタラクティブエンタテインメント 650万円
- ソニー銀行 620万円
- ソニー生命保険 生命保保険 588万円
- ソニー・ミュージックエンタテインメント 584万円
- ソニー損害保険 損害保険 558万円
(参考:有価証券報告書|ソニーフィナンシャルホールディングス)
(参考:転職会議)
ソニーの子会社・関連会社の年収は、総じて高い方ですね。
*ただし、こちらはあくまでも口コミの年収となります。
ソニーとライバル社との比較
ソニーは電気機器業界では、年収が5位です。1位のキーエンス社は1,839万円ですが、ちょっと詳細を比較してみましょう。
従業員数や売上高や利益率を比較すると、以下のようにソニーの利益率の高いことがわかります。
キーエンスは従業員2,511人に対して、売上高が5,518億円となっています。
ソニーは従業員2,682人に対して、売上高82,598億円にも昇っています。
ソニーはなぜ年収が高いのか?
一つには厳しい人材獲得競争が影響しています。
一昔前に批判を受けたため姿を消していた、新卒の「青田買い」が今起こっています。
中国の華為技術(ファーウェイ)は、ご存知でしょうか?
通信機器メーカーである華為技術(ファーウェイ)は、優秀な新卒を多数確保するために、初任給を40万円で採用する方針を固めました。
積極的に新卒の「青田買い」を行おうとしています。
国内ではシャープや東芝などの、大手企業が経営危機陥っていますが、そんな中で理系の学生たちは、自らの才覚で高額給与に手が届く、外資系企業に人気が集まっています。
このような社会的な動向の中で、ソニーは自社の企業戦略の要となるAIの開発 やIoT(モノのインターネット)などを担う人材の確保をすべく、新卒採用を3割増にする方針を打ち出しています。
合わせてソニーは、2021年の春闘で過去最高額の年間一時金(ボーナス)を7.0ヶ月分(特別一時金0.3ヶ月)を提示しました。
すでに、2018年に年収ベースで約5%の賃上げを行っているのも、AIなどの先端技術の開発を担う優秀な人材を獲得競争に打ち勝つためです。
この賃上げが、中堅人材の外資への流出を食い止めることにも繋がりました。
話題の春闘について解説
この春の労使交渉では、年収ベースで3%以上の賃上げを行うと回答した企業は、わずか22.2%に留まりました(日本経済新聞の調査)。
ほとんどの大手電気メーカーが年収ベースで2~3%の賃上げしかできなかったにも関わらず、ソニーは過去最高益の業績を年収へと反映し、5%もの賃上げを実現したことになります。
まとめ
今回はソニー本社採用の社員の年収の他に、おおよそのグループ会社の社員の年収も、参考までに挙げてみました。
エンジニアの多いソニーならではの、成果評価性を取り入れ、専門性に高い評価を与えることが、高い年収につながっています。
福利厚生にしても、社員のキャリアアップを長期的なサポートで支えるなど、社員に寄り添った形で適用されています。
社会の変化とともに、福利厚生も変化させていく、ソニー独特のサポートの形は、「まず社員ありき」の企業という印象を受けました。
世界でも日本でも世の中の移り変わりが激しく、会社の設立当初と同じ経営状態や業務形態を保っている企業は、ほとんどありません。
大手と言われる企業でも、その業界で生き残るのは難しい時代です。
そんな中で、ソニーは生き残りを懸けて人材を確保するという選択をしました。
それが、この春の労役交渉の回答に現れています。
提示された6.9ヶ月に対して、前代未聞の7ヶ月の回答に誰もがソニーの未来にかける気概を感じるのではないでしょうか?
「まず社員ありき」を掲げるソニーが、これからの業界を牽引して行くことを、期待したいと思います。
また、下記の記事では年代別の転職成功のポイントを解説しています。
ソニーへの転職を考えている方はぜひ参考にしてください。