広告代理店と言えばドラマや映画などでは花形のお仕事です。
しかし、その仕事の実態を知っている人は数少ないのではないでしょうか。
広告代理店の年収はいくら?広告代理店の仕事って何?どのような人に向いているの?
そんな疑問を解決しながら、転職活動をどのように進めていけばよいのか、これまで多くの転職エージェントに登録して転職動向を見て来た私が詳しく解説して行きます。
広告代理店の年収が高いって本当?
大手広告代理店の場合
大手広告代理店の場合、新卒でも年収は平均をかなり上回り、最も年収が高い年齢(40~50歳)では1000万円を超えてきます。
以下に主な広告代理店と企業情報を示します。
社名 | 売上(円) | 従業員数(人) | 平均年収(円) | 主な特徴 |
電通 | 1兆200億 | 63,000 | 1,200 | 世界的に事業展開 |
博報堂 | 9,990億 | 3,600 | 1,100 | 創造性に富む |
ADK | 3,500億 | 2,000 | 800 | アニメに特化 |
大広 | 1,610億 | 800 | 560 | 顧客と直接応対 |
東急エージェンシー | 36億 | 1,000 | 680 | 東急グループ |
広告代理店の年収が高いといったイメージは、電通、博報堂など、常に上位ランクに位置する企業のためであり、広告業界全体で見た場合の平均年収は、それほど高いレベルとは言えません。
広告業界全体で見た場合
国税庁の調査(2018年)によると、1500社あるとされる広告業界全体の平均年収は約630万円です。
一方、日本人の平均年収は約440万円と公表されておおり、広告代理店の平均年収は「それほど高いレベルではない」とはいえ、世間一般の平均年収を200万円近く上回っています。
広告代理店の仕事とは
広告代理店業界の特徴
先に示した広告代理店、上位3社の特徴を簡単に記述すると以下のようになります。
- 電通:平均年収が最も高いが、体育会系の激務が求められると同時に未経験者の転職は難しい
- 博報堂:第2位の平均年収であるが、体育会系の電通に比べ創造力が求められる繊細な業務内容
- ADK(アサツー・ディーケー):アニメのコンテンツマーケティングを世界展開する営業職がメイン
年収は企業規模が大きくなるに従い高くなり、中小企業も決して低くない広告業界ですが、業界固有の特徴があります。
それは、大手企業は離職率が低い反面、中小企業は離職率が高く、中途採用の比率もこれに比例しているという事です。
大手企業は激務を伴いますが、中小企業に比べ年収が格段に高いので、離職率が低くなっています。
一方、中小企業では、ステップアップや自分のやりがいを求めて転職する人が多い業界といえます。
大手広告代理店の特徴は、勤務時間が長い傾向があります。
その理由は、
- 広告を出す媒体が多い
- 複数パターンもの制作物を作る必要がある
- 締め切りや納期が短い
- クライアントとの飲み会が多い
などの業務上の特性によるものです。
しかし、激務を承知で入社している、精神力と体力に自信のある人達の集団であることと、年収の高さゆえ、離職率がそれほど高くはありません。
中小広告代理店においては、新卒で入社し経験をある程度積んだら、大手代理店へステップアップしたり、入社した広告代理店とは別の広告界で転職したりする人は多くいます。
こうした業界の特徴を踏まえて、あえて中小広告代理店から社会人のスタートを切る若者もいます。
広告代理店の仕事とは
広告代理店の仕事は、「広告主」と「媒体社」の仲介をして手数料を得ることです。
広告代理店の広告主とは
広告代理店の広告主は、自社製品やサービス、イベント、人材の募集などを世間一般に知らせたい企業や組織などのことです。
広告主は、広告を出したい大手企業から中小企業、スーパーや個人商店に至るまで、あらゆる業種が対象となります。
広告代理店は、広告主の業種を絞り込むことが一般的です。
それは、広告を出す上で、広告主の事業内容や製品・サービスを、企業秘密に関わる領域まで深く理解する必要があるためです。
広告の媒体社
広告の媒体社は、新聞、雑誌、テレビ、Webメディアといった、広告を載せて収益を得たい企業や組織などのことです。
広告代理店は、広告主が伝えたい内容と、伝える相手を明確にし、最適な媒体を選定して広告を配信するという重要な役割も担います。
広告代理店が得る仲介手数料は、掲載する広告を独創性のあるデザインで制作し、大きな宣伝効果が期待できるに従い、手数料を多く得ることが出来ます。
広告代理店の業種を詳しく解説
広告代理店の業種は大きく分けて5つに分類できます。
①営業
仕事を受注し、クライアントの要望に応えるために社内から人選してチーム編成を行います。
②経営戦略
ストラジックプランニングと呼ばれ、クライアントのブランド、マーケティング、コミュニケーション
などの戦略立案、および、それらに関する各種調査・分析などを行います。
③プランニング
広告を作るときの方針や企画を立案する仕事です。
④プロモーション
催し物や販売促進を実行します。
⑤デジタル
インターネットを使った販促やWEB技術に関する仕事を行います。
その他の業種
その他にも、大手では、
- 営業と分離して広告枠の買い付けをする「メディア職」
- 広告デザインやCMなど考える「クリエイティブ職」
- 情報メディアを用いた広告戦略を考える「PR職」
など、仕事が細分化されて行きます。
それぞれの仕事の担当者が集まり、クライアントの要望に応える広告を作り上げていくのが広告代理店の主な仕事です。
広告代理店の仕事に向いている人
広告代理店の仕事に向いている人の特徴を以下に列挙します。
- 会議の回数も多く、社内の他部署との連携が不可欠であるため、協調性のある人
- 複数のクライアントの仕事を受け持つことになるので、同時に複数の仕事を並行してこなせる人
- クライアントにアイデアを提供する職種であるため、常に新しい事にチャレンジしたい人
- 過酷な労働環境(連日の飲み会を含む長時間労働)に耐える精神力と体力を兼ね備えたタフな人
広告代理店に転職するには
広告代理店での業務で必要なスキル
広告代理店での業務で必要なスキルは以下になります。
①情報収集力
広告代理店は、広告主となる企業の製品やサービスを充分理解していないと仕事を得ることはできません。
広告主の基本情報の多くは、インターネットや雑誌、書籍などから収集できます。
その収集作業は、多くの類似する広告を参照することになります。
それは、自分のアイデアを膨らませることに繋がり、広告主に広告の企画やデザインなどを提案する際の知識となるため情報収集力は欠かせないスキルになります。
②コミュニケーション力
コミュニケーションが不足していると、制作した広告が、広告主から「要望を満たしていない」といわれます。
インターネットや紙媒体だけの情報収集で得られない、生の情報を得て、広告主が要求するレベル以上の高品質な広告を作り上げていくコミュニケーション力が必要です。
これは、広告主との信頼関係や、媒体社、社内スタッフとの連携を深めていく上で、とても重要な要素でもあります。
③創造力
得られた情報を基に、高品質な広告を制作して行くスキルが創造力です。
広告主の製品やサービスを伝える人達の特性を把握した上で、その人達が普段触れている情報を意識することから、広告の創造が始まります。
独創性のあるアイデアで創造した宣伝効果抜群の広告を提示し、広告主に高い評価を出してもらうことが、広告代理店としての収益アップに繋がります。
④WEBメディアで生き残るためのスキル
広告媒体は新聞や雑誌といった紙媒体から、スマートフォンやパソコンを始めとするインターネットを活用したWEBメディアへと急速に移行しています。
このため、制作担当においては、WEBメディアの広告制作に必要なAdobe IllustratorやPhotoshopなどのスキルが必須となってきます。
営業担当においても、Webの制作手順をある程度理解しておくことは必要になるでしょう。
転職エージェントの活用
大手広告代理店へ正社員として転職する難易度は、国内企業最高レベルと言われています。
その一方で、大手広告代理店は契約社員でも給与が高く、正社員登用の可能性もあります。
このため、契約社員での転職も視野に入れると良いでしょう。
中小企業を含む多くの広告代理店は、ホームページ上に求人情報を載せていない場合がほとんどであり、自身で個々の広告代理店に転職情報を問い合わせるのは至難の業です。
そこで、転職エージェントに自信の経歴、スキル、各種希望条件、自己PRなどを登録しておくと、その情報に見合った求人先を転職エージェントが探し出して知らせてくれます。
大手広告代理店へ正社員としてのハイクラス転職者、希望する年収をターゲットにする契約社員のいずれも、転職エージェントへの登録は、転職手段として常套手段になります。
ここで、広告代理店におすすめの転職エージェントを3社紹介しておきます。
1位doda(デューダ)
膨大な求人数を扱い、転職成功者の実績・判も高く、とにかく登録しておくべき転職サービス。
2位パソナキャリア
グローバル企業、海外勤務の求人情報も多数あり、ミドル世代の転職者へのサポートに強い。
3位レバテックキャリア
ハイクラス・エグゼクティブ向け転職サービス。
厳選されたエージェント・ヘッドハンターが、高年収や経営層を狙う転職者に対し、粘り強いサポートを行います。
未経験から広告代理店に転職する際に準備しておきたいポイント
未経験から広告代理店への転職を目指す場合に必要なものや、準備しておきたいポイントは何があるのでしょうか?
ここでは、未経験から広告代理店への転職を目指す方へ向け、転職する際のポイントを解説します。
①広告そのものに改めて目を向ける
世の中には多種多様な広告が溢れています。
普段何気なく目にしていた広告が、非常に考え抜かれた構成であるということは良くある事です。
広告に起用される芸能人や風景、音楽、言葉づかいなど「なぜ、それなのか?」を意識していると、新たな発見があったりします。
また、新聞、雑誌、テレビなどのマスメディアの広告が全てではなく「広告とは思えないものも実は広告であった」ということがよくあるのです。
広告代理店業界に転職を考えているのであれば、普段から意識して準備しておくべき項目です。
②希望する広告代理店の顧客をあらかじめ調べておく
取り扱う広告の内容により、営業スタイルは大きく異なります。
人材募集広告を取り扱う広告代理店ではテキスト広告が中心となり、電話営業が中心で、広告掲載の数をこなしていく業務形態になります。
企業の製品やサービスの広告を取り扱う広告代理店では、広告主と深くコミュニケーションを行う業務形態となります。
さらに、広告主が取り扱う業界や製品に対する深い知識や、宣伝効果の大きい広告を作り上げていく想像力が求められます。
求める業務形態を良く考えた上で、自分に合った広告代理店を絞り込んでおくことが必要です。
応募をする前に、広告代理店のWebサイトを良く調べることによって、その代理店の業務形態や特徴をあらかじめ把握しておくとこが重要です。
③インターネットと、インターネット広告について知っておく
インターネットの普及に伴い、従来からある新聞・ラジオ・雑誌などの広告媒体はその効果がしだいに衰退してきています。
相対的に、インターネットを媒体とする広告の世界では、広告の効果を最大化する技術が急速に発達し、インターネット広告の価値が上昇を続けています。
これからの時代は、スマートフォンやパソコンでインターネットが一通り使えるようになっておくことが不可欠です。
そして、インターネット広告の配信のされ方をよく観察し、その広告を見てご自身が感じた事を意識する習慣をつけるようにしておくと良いでしょう。
これからの時代、広告代理店でインターネットは必須の広告媒体となることに間違いは無く、しっかり勉強して知識を身に着けておきましょう。
まとめ
広告代理店は、営業、経営戦略、広告の企画と制作、販売促進といった、多種の業種が協業してプロジェクトを実行して行く仕事です。
広告を見ている人に対してインパクトのある広告を企画提案し、その宣伝効果を広告主に認めてもう楽しみは、何ものにも代え難い喜びになるでしょう。
広告代理店業界への転職は、年収の面でも他業界に比べて挑戦する価値のある世界です。
未経験者の広告代理店への転職は、若手であれば自身の熱意と可能性、ベテランであれば、これまで培ってきた能力や経験を応募の際にアピールすることで内定を獲得する事が可能です。
そして、広告代理店への転職プロセスは、広告主に広告を企画提案する業務そのものです。
興味のあるかたは転職エージェントに登録して、前向きに転職を検討してみてはいかがでしょうか。