金融営業へ転職を行う際、その業界で求められる人物像や転職方法は非常に気になりますね。
何せお金に関わる仕事ですので一般に給与が高い職種が多いのですが、入社するのが大変ですし入ってからもいろいろ厳しいとの話も良く聞きます。
ただ、現在、1990年代の金融自由化や2007年金融庁発表の「金融・資本市場競争力強化プラン」を受け、世の中に金融商品があふれかえっています。
したがって金融商品の需要はその後も大いに盛り上がり、現在に至るまでさまざまな商品が発表されています。
そのためいろいろな業界からこの業界へ転職する人は多いのですがいまひとつ実態が分かりづらいですね。
ここでは金融営業の転職を考えている方の不安解消するため、転職前に事前に知っておくべきポイントと、成功する方法をお伝えします。
金融営業とはどんな仕事なの?
金融の業務を整理してみましょう。「金融」とはお金が余っている人からお金が必要としている人にお金を融通する仕事です。
当然、お金を扱う仕事ですので、お金を預けられる側は信用が求められます。
また、預けたお金が運用され増えていくことが前提ですので当然の結果ですね。
「金融営業」とはそのようにお金の運用を手助けする仕事と考えて下さい。
それでは具体的に、あなたがある金融関係の会社に入社したと考えましょう。
その会社で扱う「金融商品」を新しいお客様にどのように購入をいただくかを考えます。
その際お客様に金融商品のメリットやデメリットを数字で分かり易く説明し、ご納得いただければ契約が成立します。
つまり「金融商品が素晴らしいもの」であると言うことを、自分の「言葉」で説明し、了解いただければ業務が完了するのです。
このような打合せを通してお客様にメリットを実感していただくことで、やっと購入というステージに至るのです。
金融営業としてのコツは?
命の次に大事と言われる「お金」を扱う仕事ですので、任せていただく為にはそれなりの信頼をお客様から勝ち得なければなりません。
そのため、第一にあなたの言動や行動からお客様が信頼に足りうるようにしなければなりません。
少しでも信頼をなくすような振る舞いがあれば、お客様は他営業マンや他社の乗り換えてしまいます。
よって、常日頃から服装や持ち物、言動、行動を注意し信頼を勝ち取るようにすることが求められます。
そして一番大切な事は、お客様の話をよく聞くということです。
これはお客様が語る話の裏にある「本当に困っていること」を推測してあぶりだす作業です。
例えば、小さな雑談の中に、お客様が「本当に困っていること」を漏らす場合があります。
その背景は何なのか?なぜそのようなことを言われるのか?常に想像力を働かせて真の原因を考え、そしてお客様に解決策を提案してみましょう。
そうすることによりお客様の心の扉を開き、一歩踏み込んだ人間関係を作ることが出来るのです。
そのため、会社入社時は同僚、先輩、上司のお客様への配慮や行動、言動を見習い、良い会話の進め方や話の導き方を自ら修得することが大切です。
多くの会社では、数か月の研修期間がありますので、そこでそのビジネスの基礎を修得することができます。
これも基本ですがお客様から受け取った困りごとに対して、常に解決策を複数提案できる行動が最も大切なのです。
金融営業がキツイとは?
「金融営業がキツイ」との話を良く聞きますが、どういうことでしょうか?
それは、この業務が持つ特徴に起因しています。金融商品というものは基本的にお客様にメリットを与えるものなのですが、デメリットが発生する場合もあるのです。
つまり、お客様のお金が大きく減る場合があり、そのリスクを含んだ金融商品を営業マンは販売していることをお客様にも十分理解いただく必要があります。
特に元本保証のない商品は元本割れのリスクもありますが、市況が良い場合には何倍もの利益を享受することも可能です。
したがって、購入後予想以上に販売した商品の価格が下がった場合は、お客様からひどく叱られたり、時には罵られたりするケースも出てくるのです。
もう一つの原因は営業売上の「ノルマ」がキツイということです。
「ノルマ」によるプレッシャーがストレスになり、証券会社、銀行でやめていく方が多いのです。
金融業界では自分の営業売上が数字で明確に分かるため、特にプレッシャーを受けることになります。
このようなケースはこの金融営業業務では多々あるので、それを深く受け止めず冷静に対応する心構えが必要です。
つまり、自分自身のメンタルを強化して、気に病まないように心をコントロールすることが求められます。
金融営業の必要なスキルは?
金融商品の種類は多岐にわたっています。
そしてどんどん新しい商品が発表されています。特に金融商品が世界的に増加する中で
金融営業の担当者は常にその動向をウォッチし、理解しておく必要があります。
それはなぜかと言うと、お客様自体もネット等により情報に直ぐアクセスできるようになったからです。
そのため、お客様が何を求めているか、また日々の市況の変化がどうなっているのか等、最新情報の収集を怠らないことが大切なのです。
そのため金融についての最新知識や新商品をよく勉強し、情報収集の感度を上げて日々の情報変化を掴み分析する習慣を作りましょう。
そうすれば急激に商品市況が変化した際、お客様からの緊急問合せや質問に的確に回答できます。
特に高額の商品を扱う金融営業は資産運用の高度な知識や経験が求められるので、現在の情報分析と未来予測を緻密かつ最速で行うことが重要です。
ここでは、現在必要とされる金融資格の中で特に重要とされるものを三つ紹介します。
それはファイナンシャルプランナー(FP)資格、プライベートバンカー資格、証券外務員です。
これは担当業務の中味により必要に応じて取得しなければなりません。
ファイナンシャルプランナー(FP)とは?
ここでは、ファイナンシャルプランナーはどのような資格なのかを確認してみましょう。
具体的な金融商品として「株式」や「投資信託」を利用してお金を増やしたり、生命保険や損害保険でいろいろなリスクに備えたりすることがあります。
その際その相談に乗り正しいプランを作成したりする専門家が、ファイナンシャルプランナーです。
具体的には節約の方法から税金、投資、住宅ローン、不動産、教育資金、相続等、お金に関して技術的な知識を備えた専門家です。
整理すると6つの要素に分かれます。
- ライフプランニング———年金関係の運用に関する知識
- 金融資産運用————財形貯蓄、債券、株式、投資信託の知識
- タックスプランニング——-税金に関する知識
- リスク管理—————不安解消のために入る保険はどれが良いか?
- 不動産——————素人には分かりづらい不動産取引での法律や、税金対策
- 相続・事業継承———–非課税枠等の仕組みを熟知し、相続税の事前対策を行う
この資格は、国家資格の「FP技能士」と民間資格の「AFP、CFP」があります。
特に、銀行や保険、証券などの金融機関、住宅メーカーや物件仲介する不動産業では業務上必修の資格です。
プライベートバンカー資格とは?
富裕層の味方と言われる「プライベートバンカー」は純資産1億円を超える富裕層の資産管理を行う専門家を示します。「プライベートバンカー資格」を持つ専門家はお客様一人ひとりの要望に沿い、豊富な金融知識、税金対策、対象法制を活かしてオーダーメイドの資産管理を提案することを業務としています。
現在、日本では公益社団法人日本証券アナリスト協会が、「プライベートバンカー」の資格試験を実施しています。
証券外務員とは?
証券外務員は現物株式等の取り扱いが出来る二種外務員資格と、更にその上位の信用取引やデリバティブ商品取り扱いができる一種外務員資格に分かれます。
証券会社や銀行・生命保険・損害保険などの金融機関での営業販売業務の資格です。
試験は日本証券業協会が実施しています。
金融営業以外の必要なスキルは?
金融営業、特にお客様を相手にする営業スタイルの場合は、お客様の信頼を得て長い間その信頼関係を続けるために下記のスキルも大切です。
人間関係構築スキルとは?
金融営業は人間関係に関して苦手意識を持たず、人に接することが求められます。
お客様はいろいろな人がいます。
十人十色と言われるように人それぞれに個性が有り、求められる事や内容の程度が違います。
その違いを理解した上で営業マンとしての的確な振る舞いが求められるのです。
特に、新たなお客様を開拓するための電話勧誘や飛び込み営業では、どのようなお客様が現れるか事前に分からず対応に苦慮する場合があります。
そのような場合、どのような状況でも対応できるようにいろいろなケースを想定して、ケースバイケースの対応を準備すれば、良い営業活動を行うことが出来るのです。
雑学のスキルを磨きましょう
金融商品を購入利用されていないお客様に商品をお薦めする場合、お客様と人間関係を構築した後に金融商品の話を進めることが大切です。
特に対人営業の場合は此方の話に興味がわくように話を進めることが必要です。
そのためお客様の注意をひく「話題」を会話の中に挟んで話題が続くようにします。
お客様の趣味は何か、ゴルフ、お酒、旅行….等、事前に調べそれを活かして会話を弾ませて主題の契約の話に移るのです。
そのために常日頃からいろいろな事に興味を持って学んでおく必要があるのです。
金融営業は女性に向く職業?
はっきり言って金融営業は女性に向く職業です。
見ず知らずの方とお金の話をする場合人間関係の機微を敏感に感じ取る女性には、その特長を活かせる職業と言えます。
いろいろな生命保険や損害保険を扱う販売員の方に女性が多いのもうなずけます。
また、女性は家庭では家の財布を預かることも多いので金銭感覚に優れており、会話の中にきめ細やかな配慮も出来ます。
やわらかな口調でお客様の不安を解消し心を掴むことが出来れば、大きな商談をまとめることも可能です。
金融営業の種類は?
金融商品を扱う営業には「個人営業」と「法人営業」の二つのパターンがあり、業務内容も異なっています。
ここでは、その業務内容の違いについて説明します。
個人営業とは?
個人営業とは金融機関(銀行・証券会社/生命保険、損害保険等)の営業マンが、個人のお客様へ金融商品を提案する業務です。
また一般にリテール営業とも呼ばれます。
例えば、銀行では個人のお客様に対して、住宅ローン、教育ローン、一般貸付等の貸し出しや、定期貯金、外貨預金、保険商品の取り扱いを行います。
証券会社では株式、債券、投資信託や一部保険業務も行います。
生命保険会社は、がん保険等の各種生命保険、損害保険会社は自動車保険や、地震・火災保険を取り扱います。
法人営業とは?
法人営業とはその名の通り「企業」や「団体」に対して金融機関の営業マンが、資金調達の方法を提案する業務です。
例えば、銀行の法人営業では現金の融資であり、証券会社では株式や社債の融資です。
お客様は経営者や役員クラス、財務責任者など、金融の専門知識を十分兼ね備えた方々です。
そのお客様相手に対等に渡り合うためには此方もそれ相当の金融知識と運用経験を持ったプロであることを示さねばなりません。
そして、その知識、経験から作成したプランで相手を納得させる交渉能力も必要です。
つまり、非常に優れたコミュニケーシ能力がお客様交渉時に求められます。
金融営業の年収?必要とする業界は?
金融機関における金融営業とはどのようなものでしょうか?
その業務内容や想定年収の調査結果をその業種別にまとめて解説します。
銀行
金融営業に求められる業務は主に二つです。個人や個人事業主のリテール業務と大企業や、中堅企業、自治体、機関投資家向けの資産調達やその運用を支援する業務です。
この業務はホールセール業務と呼ばれます。
リテール業務は主に富裕層の資産形成や・運用等個人の資産形成に携わる業務となります。
またホールセール業務では、資金を必要とする企業に融資し、その利息を得ることが主たる業務となります。
最近では上記二業務の他にお客様の後継者不在による事業継承を主としたM&A仲介も増えています。
また、その他の業務として大手企業が中堅・中小企業を買収するM&A仲介も増加しています。
そのようなM&A仲介に関する案件発掘も業務としては増えつつあります。
想定年収は年収500万円~1000万円程度です。
銀行については下記の記事で詳しく解説しています。
証券会社
証券会社での個人営業は銀行同様、富裕層の資産管理を全般や投資相談、相続・事業承継・保険・不動産コンサルティング、有価証券やファンド担保ローン等が主たる業務です。
法人営業の場合は、企業や財団法人、学校法人等のお客様に対して資金調達の提案、アドバイスを実施します。銀行と異なるのは取り扱う商品が株式や社債に変わりお客様のニーズに応じて商品提案を行うことです。
現在、多くの証券会社が海外展開やIT活用(Fintech:等)を目指しており、最新の金融知識と英語力が営業マンには求められます。
想定年収は年収500万円~1000万円程度です。
生命保険/損害保険会社
保険会社では、お客様から集めた保険料を株式や債券で運用しそこから得られる利益を収益源としています。
例えば、損害保険会社では法人企業が抱える経営リスクに対して、損害保険を中心とする保険商品を活用し最適な提案を行います。
想定年収は年収500万円~1000万円程度です。
保険業界については下記の記事で詳しく解説しています。
外資系投資銀行
外資系投資銀行は日本の銀行とは異なり、企業に対してM&Aのアドバイスやその資金サポート、機関投資家への金融商品売買というような業務が主な仕事となります。
どちらかと言えば証券会社に近い業務です。
また、報酬は成果主義であり、実力主義です。
仕事の成果にもとづいて報酬が払われるため高収入となりますが、成果が出ない場合は低い報酬となります。
よって、実力次第で年収1000万円~3000万円程度の報酬を得ることも十分可能です。
政府系金融機関(日本政策投資銀行、日本政策金融金庫等)
政府系金融機関は法人営業として、さまざまな事業法人や金融法人に対して投資を中心とする提案業務です。
また、その他にM&A仲介、資産管理等の金融ノウハウを活用したグローバル金融市場でのファイナンス企画提案もあり、活躍の場が広がっています。
年収想定は600万円~1200万円程度となります。
ベンチャーキャピタル
ベンチャーキャピタル(VC)とは、未上場の将来有望なベンチャー企業に出資して株式を取得します。
その後、ベンチャー企業が新規株式上場やM&Aによる株式売却することで利益を得る投資会社です。
そして金融営業としての「ベンチャーキャピタリスト」は将来有望なベンチャーキャピタル(VC)を発掘し、投資契約、またその後企業成長支援、M&A、新規株式上場をコーディネートします。
想定年収は600万円~1200万円程度となります。
金融業界の将来は?Fintechとは?
金融業界は日本版ビックバン(1997年より)、金利や各種手数料、資金が国をまたいで移動することが出来るようになりました。
その結果、業界各社は独自サービスが可能となりました。
その改革は下記の5つとなります。
- 株式手数料等各種手数料の自由化
- 外資企業の参入自由化
- 銀行・証券会社・保険会社が互いの分野への進出可能
- 金融機関以外の会社が金融業界へ参入開始
- 持ち株会社の創設を解禁
このような改革を経験した金融業界は現在、新たな改革の波にさらされています。
それは、下記の7つの新たな波となります。
- 業務のオートメーション化—-従来業務のシステム化
- Fintech——————-FinanceとTechnologyの融合した金融サービス
- 海外進出—————–金融機関が海外に拠点構築
- 新規参入—————–2018年銀行法改正による銀行の一部機能を開放
して異業種参入可能
- ブロックチェーン技術——-銀行で行っているお金の入出金をブロックチェーン技術
で置き換え。
- 不動産業務の簡略化——–ブロックチェーン(スマートコントラクト)活用による簡略化
- デジタル通貨—————FaceBookの「リブラ」、デジタル人民元等
よって、IT業界を含む異業種からの参入の可能性が高まり、更にスピーディで低手数料の金融商品が生まれる可能性が高いのです。
よって、金融業界も更に変化し、新技術を使った金融商品の登場が期待されます。
従来の金融知識だけでなく、IT分野等の異業種エキスパートの知恵と経験をもとに発展するこの分野は、新たな人材を求めて行くことは確実です。
まとめ
金融営業の転職を成功させるポイントは、転職エージェントに登録することです。
但し、各転職エージェントにも得意・不得意があります。
例えば、30歳以上に強い転職エージェント、ある業界に強いエージェント。ハイクラスキャリアに強いエージェント等いろいろな特長を持っています。
そして転職エージェントにはさまざまな業界の個別情報に精通した専門のキャリアアドバイザーが所属しています。
そのキャリアアドバイザーは自分に合った企業を紹介してベストな選択が出来るように支援します。
更に、企業の人事とコネクションを持っているため、詳しい会社の部署や配属先などの情報を教えてくれることもあります。
また、様々な情報をもとに面接対策や入社対策などの包括的なサポートを行なう場合もあります。
自分の転職希望職種と業界が決まりましたら、実力を発揮出来る職種、希望年収等の条件を転職エージェントに登録しましょう。
更に、自分の実力に自信のある方は転職エージェントに対して好条件・非公開求人への就職依頼、またはヘッドハンティングの求人依頼も行いましょう。
転職のプロであるエージェントを利用することで、転職先を探す時間と相手先との交渉時間を短縮出来ます。
良い条件の転職先を早く探す場合は最高の手段となります。
下記の記事では年代別に転職成功のポイントを詳しく解説しています。
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