過重労働、マタハラに残業代の未払いー日々ニュースで、労働環境にまつわるさまざまな問題が取り沙汰されていますね。
そんな現代社会では、会社に対して不満を持っていない人はほとんどいないでしょう。
それでは、多くの人は一体どんな不満を抱えているのか?
不満とその理由をランキングにまとめてみました。
また、不満を解消する方法、会社を辞めたいと思ったときにやるべきことなども併せてご紹介します。
会社の不満ランキング

2020年10月、求人サイトを運営する株式会社ビズヒッツが、会社勤めをしている男女1000人を対象にアンケートを実施しました。
その中で、「会社を辞めたいと思ったことがある」と答えた人は88.9%。
なんと9割もの人が会社を辞めたくなった経験があるのです。
原因は会社の環境や仕事内容よりも、同じ職場で働く人に関わることが半数近くにものぼりました。
「どんなときに会社を辞めたいと思うか」
1位 職場の人間関係が悪い(206人)
2位 理不尽な扱いや叱責を受けた(188人)
3位 仕事量や残業が多い・休みが取れない(131人)
4位 給料が安い・ボーナスや昇給がない(104人)
5位 上司と合わない(60人)
6位 ミスをした・仕事がうまくいかない(55人)
7位 評価されない(50人)
8位 やりがいがない(41人)
9位 客からのクレーム対応(33人)
10位 ノルマがある(23人)
上位5つの理由について、アンケートの回答者の声を紹介します。
1位はやっぱり人間関係
「職場の人間関係が悪い」と答えた人は206人。
人間関係の陰湿さを感じる。仕事でぼろぼろになった上で、人間関係で更にストレスが溜まると本当に辞めたくなる(30代 男性 看護師)
参考:株式会社ビズヒッツ「会社を辞めたいと思う瞬間ランキング」
職場の雰囲気は業種によってそれぞれ特徴がありますが、どんな職場でも人間関係には悩みが付きもののようです。
朝から夜まで、家にいるよりも多くの時間を過ごす会社。
そこでの人間関係が悪いと、日々ストレスが蓄積されて大きな心の負担になってしまいます。
2位は上司による理不尽な態度
2位は「理不尽な扱いや叱責を受けた」でした。
上司から理不尽な理由で叱責され、パワハラまがいの恫喝を受けたとき(30代 男性 事務職)
参考:株式会社ビズヒッツ「会社を辞めたいと思う瞬間ランキング」
理不尽な行動やパワハラのような言動は、なかなか直すのが難しいところ。
人を変えることはできないとは言いますが、相手が上司ともなると問題がより複雑になります。
同期や部下なら注意することができても、上司にはなかなか批判的なことは言えません。
自分よりも立場が上の人からの悪態は、解決するのが難しい問題です。
3位は労働時間に対する不満
「仕事量や残業が多い・休みが取れない」というのはよく聞く不満ですね。
毎日深夜まで残業。先輩や上長も同じ状況なので、一生このままかもと思い、辞めたくなる(30代 男性 営業職)
参考:株式会社ビズヒッツ「会社を辞めたいと思う瞬間ランキング」
長時間労働は、体だけではなく心の健康にも影響を及ぼしかねない重大な問題です。
若いときは耐えられたとしても、ずっとハードな労働を続けていくのには不安を感じるのが当然。
最近は、長時間労働を強いる会社が「ブラック企業だ」と告発されるケースもありますが、まだまだ多くの企業に残る課題です。
4位は金銭的な問題
会社への不満の4位は「給料が安い・ボーナスや昇給がない」
仕事内容に対して報酬が低すぎる。また、どんなに頑張っても手を抜いても同じ給料なのでモチベーションの維持が難しい(30代 女性 介護士)
参考:株式会社ビズヒッツ「会社を辞めたいと思う瞬間ランキング」
成果が評価されにくい職場だと、能力のある人はどうしても不満を抱いてしまいます。
過酷な労働環境に見合った給料をもらえていないと感じている人や、年功序列の昇級システムに不満を抱える人も多いようです。
5位は上司との相性
上司と合わないことも不満の原因になっています。
上司との折り合いがつかずに、関係性が悪くなってしまったとき(40代 男性 障害者施設の職員)
参考:株式会社ビズヒッツ「会社を辞めたいと思う瞬間ランキング」
例え悪い人ではなくても、毎日顔を合わせる相手との相性は大切。
考え方や方向性があまりにも違う人とは、意思の疎通も難しいものです。
上司との相性や関係性は、仕事に良くも悪くも影響を及ぼします。
不満を解消する方法

「もう我慢できない!」と不満が爆発する前に、不満を解消するためにできることをやってみましょう。
第三者に相談をする
根本的な解決にはなりませんが、人に話を聞いてもらうことで気持ちが楽になります。
ひょっとしたら、思いもよらないアドバイスをもらえるかもしれません。
1人で悩まず、家族や友人など心置きなく相談できる相手に話をしてみましょう。
ちなみに「会社への不満は誰に相談しているのか?」というアンケートでは、家族と回答した人が38.8%。
友人・知人・恋人は27.5%、誰にも相談しない人が19.6%。
社内の人に相談すると答えたのはわずか10.6%でした。
やはり会社の不満を話すのは、仕事上での関わりがない人が良いのかもしれません。
考え方を変える
人間関係の問題については、自分の考え方を変えるのも1つの方法です。
会社の人とは仕事だと割り切って付き合う。
問題の原因を見つめ直して、自分に改めるべきところがないか考えてみる。
相手の良いところを見つけてみる、など。
人を変えることはできなくても、自分の考えを変えることならすぐに実行できます。
会社に相談する
自分の中だけでは処理・解決できないような不満は、会社に相談をしましょう。
相談する相手は上司、上司についての不満ならば人事部へ。
上司と一対一のミーティング、人事評価の面談など、人のいないタイミングを選んで。
伝え方にもポイントがあります。
- 客観的に事実を伝える
- 感情的にならない
- 不満を連ねない
- 特定の人物のせいにしない
人間関係の問題について話すときには、感情的になってしまうかもしれません。
しかし、周りの人の理解を得るためには、冷静に客観的な事実を話すことがポイントです。
不満ばかりを並べたり特定の人を批判するような言い方はNG。
自己中心的な印象を与え、話し合いが不利になりかねません。
また、面談ではなくメールで伝えるという方法もありますが、直接話をするよりも一層、言葉選びに注意が必要になります。
メールでは文章がきつい感じにならないように、柔らかい言い回しを選びましょう。
やっぱり辞めたいと思ったら

「不満を伝えるのが難しい」「不満を伝えても解決しなかった」といったことから、会社を辞めたいと考える人もいるかもしれません。
そんなとき、やるべきことを3つのステップでご紹介します。
資格を取る
先述のアンケートで会社を辞めたいと答えた人へ「それでも辞めない理由は何か」と質問した結果、337人が「生活のため」と回答しました。
「転職が難しい・仕事が見つかるか不安」と答えた人は223人。
「給料や待遇が良い」と答えた人が116人でした。
やはり、退職後の収入が壁になり会社に留まっている人が大勢いるようです。
不満を抱えながら働き続けるならば、資格の取得をしてみては。
資格はないよりはあった方が確実に良いものです。
特に、転職で給与のアップやステップアップをしたいならば資格は必須。
例えば、不動産業界なら宅地建物取引士の資格を持っている方が給与が高くなります。
介護の仕事をしているならケアマネージャー、事務の仕事をしているなら秘書検定を受けるなど。
資格があれば、就職活動のときだけではなく待遇面でも有利に働きます。
資格については下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
貯金をする
会社を辞めたいと考え始めたら、少しでも早く貯金を始めましょう。
貯金は給与の3ヶ月分が理想的です。
転職活動にかかる期間は、一般的に3ヶ月〜6ヶ月と言われています。
そして、自己都合で退職をした場合、失業保険が給付されるのは最短でも3ヶ月後だからです。
会社を辞めた日の翌日から7日間、待期期間というものが設定されています。
待機期間が終わってから2ヶ月後に失業保険の支給が開始されます。
しかし、実際にお金が振り込まれるのは、支給開始からさらに1ヶ月ほど経ってから3ヶ月ほどかかるのです。
もちろん、転職先を見つけてから退職ができればベストです。
しかし、上司の理不尽な態度や長時間労働によるストレスなどは、無理して我慢し続けるのも良くありません。
退職時に転職先が見つかっていなくても、貯金があれば安心して求職活動に専念できます。
転職先を探す
貯金ができたら転職先を探します。
転職専門の求人サイトや、転職エージェントといったサービスを活用しましょう。
転職エージェントは、転職のプロが求職活動をサポート。
求職者の経歴などを客観的な視点で見て、その人に合った転職先を紹介してくれます。
企業側が求める人材や考えも把握しているため、入社してから「なんだかイメージと違った」というミスマッチを引き起こす可能性が低いことがメリット。
求職者にも企業にも嬉しいサービスなのです。
履歴書の添削や模擬面接、さらには企業との面接日や待遇面の交渉なども、転職エージェントが進めてくれます。
しかも、転職エージェントへの報酬は企業側が負担することが一般的なので、求職者は無料で利用できます。
年代別に転職成功のポイントやおすすめのエージェントは下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
退職理由の上手な伝え方

退職理由の伝え方によって、退職するまでの働きやすさや居心地は大きく左右されます。
円満に退社をするためにも、気を付けるべきポイントを抑えておきましょう。
退職理由を伝える相手
退職する決意が固まったら、まずは直属の上司に話をしなくてはいけません。
例え上司との折り合いが悪いとしても、直属の上司より先に他部署の上司に伝えるのは厳禁です。
もしも上司との話がうまくいかなかったときには、人事部などに相談を。
伝えるタイミング
会社を辞めるとなると、仕事の引継ぎ、各種保険の手続きなどやることがたくさんあります。
他部署や取引先への影響も考え、退社希望日の2ヶ月〜3ヶ月ほど前には、上司に伝えた方が良いでしょう。
また、繁忙期のタイミングは避けるのが社会人としてのマナーです。
会社の就業規則で決められている場合もあるので、事前に確認をしましょう。
退職の理由の伝え方
退職の理由を伝えるときに気をつけることは3つ。
- 本音をそのまま言わない
- 相手の気持ちも気遣う
- 感謝もセットで伝える
嘘をつく必要はありませんが、不満ばかり伝えると相手はいい気がしません。
円満に退社するためには、オブラートに包んだ言い方をするなどの配慮をすると良いでしょう。
しかし、あまりにもやんわりした言い方では引き止められてしまう可能性もあります。
「会社を辞める」という意思は明確に伝えなくてはいけません。
違う業種の仕事をしたい、家庭の事情で仕事を続けるのが難しいなど、「今の会社では働き続けられない理由」があると上司の理解を得やすくなります。
退職する前に知っておくべきこと

退社してから新しい仕事を探すと、社会保障に加入していない時期が発生します。
その場合は、国民年金や国民健康保険への加入が必要です。
住んでいる地域の役所に行って必ず手続きをしましょう。
住民税は退職する月の給与から一括で天引きされて、会社が支払います。
ただし、給与よりも住民税の方が多い場合は、自分で納付しなくてはいけません。
また、6月1日~12月31日の間に辞めると、退社翌月分からは普通徴収に切り替えられます。
自宅に払込用紙が送られて来るので、郵便物のチェックを忘れずに。
支払い期限を過ぎると遅滞金が発生するので、忘れずに納付をしましょう。
年末をまたいでの求職活動になると会社による年末調整がないため、確定申告も自分で行います。
退社後に源泉徴収票・雇用保険被保険者証、新しい就職先が決まっていない場合は離職票も郵送されてくるはずです。
無くさないように保管をしてください。
会社への不満は溜め込まないで
ここまで、会社への不満ランキングや不満・退職理由の伝え方をご紹介しました。
会社への不満を抱えている人が多いことが分かり、「自分だけではないんだ」と少し気持ちが楽になりますね。
けれど、会社への不満は1人で抱え込まないで。
家族や友人に相談をしたり、休日に気分転換をしてストレスを発散しましょう。
どうしても納得ができないことは、会社に不満を相談することも検討してください。
また、貯金や資格の取得は転職をしないとしても役に立つものです。
会社を辞めたいと考え始めたら、ひとまず準備をしてみてください。
在職中の転職活動については下記の記事で詳しく解説しています。