「お客様を笑顔にできる接客業」として、飲食業を選ぶ人は多いでしょう。
しかし、あまりの忙しさに嫌気がさしたり、年収の低さから「辞めたい」と思ってしまうこともあるはずです。
今回は、飲食を辞めた方が良い理由や、円満退社するポイントについてご紹介します。
飲食を辞めた方が良い理由
「料理を作るのって楽しそう」
「接客に憧れる」
最初はワクワクしていても、想像以上のハードワークが待ち受けているのが飲食業です。
しかし、働き始めるとそれが当たり前になり、異常と感じられなくなる場合もあります。
ここでは、「こんな時は飲食を辞めた方が良い」という点について見ていきます。
勤務時間が異常に長い
まず挙げられるのが、異常な勤務時間の長さです。
飲食業に関する求人情報を見ると、多くの職場が「1時間休憩あり」や「しっかり交代できる」と謳っています。
しかし実際は、店の混み具合やアルバイト社員の急な欠勤など、様々な理由による残業や休憩時間短縮は珍しくありません。
気が付けば、「契約時間を過ぎても退勤させてもらえない」ということが日常になっていることもあります。
こんな場合は、心身共に疲労困憊してしまう前に、きっぱり辞める決断をしましょう。
休日が少ない
2つ目に挙げられるのが、休日の少なさです。
一般的に、会社員の平均年間休日は120日とされています。
しかし、それに対して飲食業の平均休日は、週1回。
年間にするとわずか52日で、これは会社員の平均日数の半分にも届きません。
その原因となっているのが、飲食業回の慢性的な人手不足です。
激務で飲食業に留まる人が減り、結果的に、再び激務で休暇のない労働環境を生み出してしまっているのです。
激務なのには年収が低い
忙しい現場で必死に頑張ったぶん、給料が高ければ納得はいくかも知れません。
しかし、飲食の仕事は「激務にも関わらず年収が低い」という特徴があります。
令和元年度産業別賃金によると、飲食業の給料は206万円で、これはワースト1位なのです。(厚生労働省より)
激務で休暇も取りづらい上に、給料も低いため「本当にやりたい」と思えない人は、迷わずに辞める勇気が必要です。
人手不足
慢性的な人手不足に陥っている点も、飲食業界にとっては深刻な問題です。
すでにご紹介したように、「飲食店は激務で休みも取れない!」ということが世間一般の常識となっているため、入れ替わり立ち代わりが激しいためです。
アルバイトを雇っても、すぐに辞めていってしまうケースが非常に多く、そのしわ寄せを社員がしなくてはなりません。
「休日も少なく給料も低い、おまけにいつもギリギリの人手でお店を回している…」
そんな職場に留まりたくないと思ってしまうのは、仕方のないことでしょう。
将来の見通しが立たない
また、将来の見通しが立ちにくい、という点も挙げられます。
飲食店の仕事は、格式の高いレストランや、超ハイレベルなお店のシェフ、ネームバリューがしっかり確立された店でない限り、「誰でもできてしまう仕事」と見なされがちです。
そのため、「将来は他の職種に転職したい」という希望を持っている場合、飲食業での経験を武器にすることは難しいのです。
「飲食で生きていく!」という固い決意がない人は、早めに飲食を辞める決断が必要になるでしょう。
飲食を辞める方法
「飲食を辞めたら、次は何をしよう…」
辞めたいけれど、その後できることがわからなくて、一歩踏み出せない人もいるでしょう。
飲食業を抜け出した後の道をしっかり見据えることで、新しいステップに進めるはずです。
ここからは、飲食業を辞めた後に、挙げられる選択肢について解説していきます。
他業種へ転職する
せっかく勤めていたお店を辞めても、また飲食店を選んでしまっては、同じ生活を繰り返してしまう可能性があります。
そうならないために、全く違う職種に転職してみるというのが1つの手です。
違う業界で1からキャリアを作り直すとなると、もちろん苦労も多いでしょう。
しかし、「新しい環境で、自分の可能性を広げてみたい」という人には、勇気を振り絞って他業種への転職をオススメします。
経営者となる
飲食のブラックさに嫌気がさしてしまった場合、一度「経営をする側」を経験してみるという選択肢もあります。
店のオーナーのなるためには、「食品衛生責任者」や「防災管理者」等の資格を取る必要があったり、マネジメントに関しての知識も問われたりします。
しかし、飲食店経営の教養を養って責任者になることで、トップだからこそわかる「飲食の面白さ」を再発見できるかもしれません。
他業種へ転職する際の注意点
「よし!全く新しい業界に転職してみるぞ!」
と考えている場合、他業種へ転職する際のリスクも知っておく必要があります。
ここからは、飲食から違う職種に転職する場合の注意点や、転職先が決まらない場合について解説していきます。
飲食経験は評価されづらい
先ほども述べたように、「飲食経験は、キャリアとして評価されづらい」ことを理解しておきましょう。
「ある程度のコミュニケーション能力と、礼儀作法があればできる仕事」と捉えられがちな分、アピールポイントになりづらいです。
ゼロからお店の基礎を作り、開業した場合を除けば、同様にチェーン店の店長経験もあまり評価されません。
「誰でもできる」と思われがちだからこそ、どんなに頑張った経験も認められにくい、悲しい現実があるのです。
退職時に引き止められることがある
慢性的な人手不足に苦しんでいるほとんどの飲食店では、退職時に「引き止め交渉」に合う場合があります。
その名の通り、「君に辞められたら困る!」と引き止められるのです。
毎日ギリギリの人手で回している店では、困った時に頼りにできる社員を失うことは最大の痛手です。
そのため、快く思ってくれなかったり、気を削ぐ様なことを言って、退職させてもらえないケースがあることを知っておきましょう。
転職先が決まらない場合は職業訓練に通おう
また、辞めたはいいものの転職先が見つからない時は、職業訓練に通うことをオススメします。
自己都合での退職の場合は、失業保険が使えるのが退職してから3ヶ月後となっています。
それまでの期間、転職先が見つかれなければ、厚生労働省が運営する、ハロートレーニング(職業訓練)に通ってみましょう。
失業給付をすぐに貰え、かつ他職業につく際に必要なスキルも身に付けることができます。
次の仕事先が決まらない場合は転職エージェントに相談しよう
「飲食を辞めたいけれど、次の仕事が決まるか不安」
「次の仕事先が決まらなくてどうすればいいか困っている」
などの場合は転職エージェントに相談してみましょう。
転職エージェントはキャリアやスキルから判断し、経験に沿った仕事を紹介してくれます。
希望の条件や、待遇などを担当者と相談することで自分にマッチする求人を紹介してくれるので、在職中でも次の仕事先を見つけることが可能です。
「次の仕事を探したいけれども、仕事を探す時間がない」という方は転職エージェントに登録して、スカウトを受けましょう。
下記の記事では、未経験の業種に転職を聖子させるポイントを解説しています。
転職をお考えの方は、ぜひ読んでみて下さい。
スムーズに飲食を辞める方法
「できるなら、立つ鳥跡を濁さずで辞めたいな…」と誰もが思うはずです。
嫌だった職場でも、今まで頑張って働いてきた職場なら、できれば快く見送ってもらいたいですよね。
ここからは、「スムーズに飲食を辞める方法」をいくつかご紹介します。
円満退社したいなら1ヶ月前に申告
最初に、いさかいなく円満退社を目指すなら、1ヶ月以上前に申告することをオススメします。
退職は、民法では2週間前の申告が義務付けられていますが、ほとんどの飲食業では就業規則により1ヶ月以上前と規定されています。
また、新しい社員への引き継ぎにかかる時間を考えると、1ヶ月以上の余裕を店に持たせることが一般的なマナーです。
円満退社を願うなら、できる限り1ヶ月前に退社の意を申告しましょう。
辞めるタイミングは繁忙期を外す
繁忙期を外して辞めることも、スムーズな退社を目指す上では重要です。
年末やゴールデンウィーク、お盆など、ただでさえ忙しい時期の退職は控えましょう。
お店側に余裕がなければ、辞めることを快く思わないばかりか、認めてもらえないかもしれません。
両者が、可能な限り落ち着いて行動できるタイミングで、辞職の意を伝えることが重要です。
引き止められてもはっきり断る
「君には、まだこの業界の面白さがわかってないよ!」
「今ここで辞めれば、全てが無駄になる!」
たとえ、この様なことを言われたとしても、自分が本当に辞めたいと考えるなら、きっぱり断る勇気が必要です。
企業側としても、せっかく雇った社員を簡単には諦めたくないため、一生懸命説得してくる場合がほとんどです。
しかし、そんな時は自分の気持ちを大切に、「辞めます」と言い切りましょう。
退職代行を利用する
「どうしても上司に会いたくない」
「ブラックすぎるからまともに取り合ってもらえない」
そう思って、辞められずにいる人は、退職代行サービスを利用することも可能です。
「退職代行ガーディアン」など、弁護士の適正な業務を通して行われる退職代行を使えば、確実に翌日から退職することができます。
精神を壊してしまう前に、この様なサービスを利用して、どうか自分を守ってください。
まとめ
「飲食業の忙しさで、自分が壊れてしまいそう…」
あなたが今、そう飲食業界で苦しんでいるのなら、辞めることで自分を守りましょう。
あなたのスキルや得意分野を活かせる場所は、飲食の現場以外にもたくさんあるはずです。
この記事が、新しいステップへ進むための力になることを願っています。