保険会社のグローバル化が進んだことや過酷な業務が続いていることなどから、保険業界の仕事を辞めたいと考えている方もいることでしょう。
しかし、これまでとは異なる業界への転職となるとさまざまな不安を感じてしまうのも当然です。
そんな保険業界での仕事から別の業界への転職を考えていても、なかなか踏み出せない方に必見。
本記事では、保険業界から転職する際のポイントについて解説しています。
ぜひ、最後までご覧ください。
保険業界を退職して転職したい理由とは?その実態について紹介!
保険業界は比較的安定しているというイメージを持った方が多いようですが、実際は保険業界の離職率は比較的高いです。
厚生労働省発布の「平成30年雇用動向調査結果の概況」によると、金融・保険業の離職率が11.1%。また、保険業界のなかでも、特に営業の離職率は圧倒的に他業界の営業職と比較しても高い傾向がみられます。
現在、保険業界で営業の仕事をしている方は、全国で約2万人(登録者数は推定100万人)いるといわれており、保険業界の営業職員は年々減少しています。
保険業界の営業職員が減少し続けている理由は、保険業界の新卒者離職率が高いためです。
具体的な離職率の数値を公表していない保険会社が多いため、保険業界全体としての離職率は明確ではありませんが、口コミサイトや掲示板などでは、新卒3年以内の8割が離職しているといわれています。
そして、保険業界を退職して転職したい理由には、「ノルマ」と深い関係があるようです。保険業界とノルマとの関係性については、次章で詳しく解説します。
保険業界は過酷?転職する際の3つのポイントについて解説!
ここでは、保険業界が過酷といわれている「ノルマ」だけでなく、給与面についても解説しています。
また、保険業界から転職する際のポイントについてもまとめています。
それでは、詳しくみていきましょう。
保険業界で過酷なケースとは?
保険業界から転職したい方の想いとして、「こんな理由で転職するのは自分だけなのでは?」と不安を感じている方もいることでしょう。
ここでは、保険業界から転職した方が、業界を退職してまで転職を考えた理由を紹介します。
- ノルマが苦痛
- 収入が不安定
それでは、詳しくみていきましょう。
ノルマが苦痛
前述していますが、保険業界を退職して転職した方々の理由として多い理由といえばノルマ。
保険業界以外でも、営業での売上目標などのノルマは存在します。
しかし、保険業界の営業の場合、ノルマを達成できていないと会社や上司から精神的に追い詰められることも珍しくありません。
また、ノルマ達成のために家族や親戚、友人などから手当たり次第契約を獲得することで、関係性が悪化することもあるでしょう。
そこまでしてノルマを達成しなくてはならないのかと疑問に思い、徐々にノルマに対して苦痛を感じるようになる方も少なくありません。
収入が不安定
保険業界は高収入なイメージがあります。
実際、年収1,000万円以上という収入を得ている方も存在しますが、実は収入が不安定なため保険業界から退職して転職したという方も少なくありません。
保険業界は成績によって収入が左右されます。
給与形態が固定給となっており、成績によって収入が左右されない保険会社もありますが、完全歩合制や数年後に完全歩合制となる制度を採用している会社も存在します。
そうした完全歩合制の保険会社は、基本給を低く設定されていることも多いため、契約を獲得できれば高収入を得ることができるでしょう。
しかし、契約が獲得できなかったり、顧客が解約してきたりした場合には、最低賃金しか貰えない可能性があります。
このように収入が不安定な仕事であることから、退職して別業界への転職を考える方も多いようです。
ちなみに、収入が不安定な仕事であるにもかかわらず、交通費・接待費などを自己負担しなければならないこともあるため、金銭的にも苦しい思いをする方もいるようです。
保険業界から転職する際のポイント3選
保険業界は業務が過酷なことから離職率が高い業界であることは、他業界でも周知されています。
そのため、保険業界から退職して転職してきたということが、マイナスの評価にはなりません。
また転職活動の際に、下記で紹介している3つのポイントを意識しておけば、転職を有利に進めることができるでしょう。
- キャリアアップを目指す
- 保険業界で築いた人脈を活かす
- 転職先の企業分析
それでは、詳しくみていきましょう。
キャリアアップを目指す
転職での面接選考時に、志望理由は必ず聞かれます。
その際に、転職先として志望した理由として、将来的に実現したいことや身につけたいスキルといった、キャリアアップに関する内容を告げると面接官の評価も上がります。
ただし、その際は単に「キャリアアップを目指したい」と告げるのではなく、目指したいキャリアアップを明確にしておかなければ意味がありません。
ちなみに、キャリアアップといってもさまざま。
- 専門スキルやビジネススキルを磨き、人材市場での価値を高める
- 仕事の幅や裁量範囲を広げる
- 収入やポジションを上げる
など、数多くのキャリアアップが存在します。
転職によって、どのようなキャリアアップを目指したいのか明確にし、そのキャリアアップを目指すために転職後の働き方を検討していくことが重要だといえるでしょう。
このように、中長期的なキャリアビジョンを面接時に告げることがポイントです。
保険業界で築いた人脈を活かす
保険業界の営業では、人脈の構築が仕事で成功する鍵といっても過言ではありません。
これまで保険業界で築いてきた人脈は、その後の転職で活かすことができます。
そもそも、保険業界で働いていた時期に築いた人脈を活かすことは、転職先でも仕事を有利に進められることに繋がります。
保険業界で築いた関係性が営業先や顧客の取引において、別業界への転職の際の力になるケースは珍しくありません。
また、同じ保険業界の別会社に転職したのであれば、これまでの顧客との人脈を利用することはあまりおすすめしません
しかし、転職後も関係を断ち切らないようにしておけば、これまでの関係から転職先でも顧客となってもらえる可能性があります。
転職先の企業分析
転職先を決めるために、企業分析をすることは重要なことです。その際、
- 転職先がどんな能力を持っている方を求めているか
- 転職先に不足しているのはどんな人材か
の分析もしておきましょう。
転職先の企業分析しておけば、一般的に保険業界経験者だと高いと思われている能力のどれをアピールすれば転職に有利になるのかが判明します。
ちなみに、保険業界で働いていた方は、下記の能力が高い傾向がみられます。
- 厳しいノルマを達成してきた忍耐力
- さまざまな方との契約を取るために磨いたビジネスマナー・コミュニケーション能力
- 問題が起きたときに臨機応変に対応する能力
これらはどの業界でも人材として欲しい能力ですが、企業分析によって特に求められている能力が分かれば、アピールしやすいでしょう。
転職先の企業分析をするのであれば、転職を考えている企業ホームページに掲載されている人材募集ページを確認することは必須。
また、その企業の代表者がTwitterやFacebookを利用していたり、雑誌などで取り上げられていたりしたなら、そうしたツールから情報を集めることで、より詳しい情報から企業分析ができます。
保険業界から転職する際におすすめの仕事先3選
保険業界で働いていた方は、これまでの経験から下記の能力に長けているといわれています。
- 忍耐力
- ビジネスマナー
- コミュニケーション能力
- 臨機応変な対応力
そして実際、経験から高い能力が身に付いている方も多いです。
そのため、次に紹介する転職先では能力を高く評価してもらえる可能性が高くおすすめです。
営業企画・マーケティング
営業企画・マーケティングの仕事は、マーケットを分析して戦略的に商品・サービスを売る仕組みを構築すること。
市場調査や商品・サービスのプロモーションを行うプロフェッショナルとして、売上アップや企業のイメージアップを図るために、下記に挙げられる工程を実践します。
- リサーチ・分析
- ブランディング
- 商品・サービスの開発
- 企画
- 設計
- 広告宣伝
- 広報
- 価格設定
- 営業・顧客の管理
営業企画はマーケティングの仕事は、プロジェクトメンバーだけでなく、他部署の担当者や経営陣、クライアントなどとコンタクトを取りながら業務を進めていくことが多い仕事です。
そのため、保険業界で磨いたコミュニケーション能力やビジネスマナーが活かせるでしょう。
また、経営陣やクライアントからの急な変更要望にも対応しなければならないことも多く、忍耐力や臨機応変な対応力が身に付いていると仕事に役立ちます。
さらに、営業経験のある経験者を求めていることが多く、入社後にマーケティングに関する研修が実施されることも多いため、未経験からでも心配はいりません。
ノルマがないこともあるため、ノルマが苦痛で保険業界を退職して転職した方にはおすすめの職種です。
医療系営業職
医療系営業職の仕事は、メーカーや卸商社、輸入商社などに所属して、自社が扱う医療機器や消耗品などの医療資材を売り込むこと。
売り込む商材は会社によってさまざまで、CTやMRIなどの大型機器を扱っている会社であれば、注射器や消毒用のガーゼなどの消耗品のみを扱っている会社も存在します。
医療系営業職には、一般的な医療系営業職の他に、医薬品の情報を提供し提案販売するMR(Medical Representatives:医薬情報担当者)と呼ばれている営業職もあります。
このMRはMR認定資格を得なければできない仕事ですが、一般的な医療系営業職は公的な資格がなくてもできるため、保険業界からでもすぐに転職できます。
営業職のためノルマはありますが、基本給が低く、歩合の割合を高くしている保険業界とは異なり、基本給が高く設定されていることが多いです。
そのため、保険業界の営業のように収入が不安定になることが少なく、契約を獲得できないと翌月の給料が最低賃金しか貰えないといったことはありません。
メーカーのルート営業
メーカーのルート営業の仕事は、自社製品を納めている他メーカーや企業、小売店、卸問屋などを回り継続して契約を取ること。
顧客の要望をヒアリングして、製品の開発段階から関わったり、アフターケアを行ったりする業務があります。
メーカーのルート営業も、基本給に契約数に応じた歩合制で月々の給料額が変わることがため、ノルマ達成や収入が不安定なことから保険業界を退職した方の転職先には、おすすめできません。
しかし、保険業界の営業とは異なり、顧客の求めに応じて製品の開発・設計段階から関わることができるため、やりがいを持って働けます。
また、保険業界で磨いた能力やこれまで築いてきた人脈が活かせる仕事でもあります。
保険業界を退職したら転職エージェントを活用できる?
転職エージェントとは、転職を効率的に進められるようサポートしてくれるサービスのこと。
そもそも、エージェントとは、本人から委任あるいは授権された代理権限の範囲内で、本人に代わって取引・契約など法律行為をなす者を指します。
転職エージェントには、下記の特徴が挙げられます。
- 専任アドバイザー(キャリアコンサルタント)と転職に関する打ち合わせをしながら進めていくため、転職に関するさまざまな相談ができる
- 専任アドバイザーが求人への応募、採用試験や面接の日程調整、条件交渉、企業の独自情報の収集・提供、模擬面接といった面接対策といった、転職前後にさまざまなサポートをしてくれる
- 転職希望者の経歴を踏まえながら、自身の経歴や希望を踏まえた求人を紹介してもらえる
転職エージェントの場合、一般公開されていない非公開求人も紹介してもらえるだけでなく、保険業界を退職した方の転職であっても利用できます。
同じ営業職への転職であっても、これまでと環境が異なっていることも多く、「転職を少しでも有利に進めたい」「転職に失敗したくない」というのであれば、転職エージェントの利用はおすすめです。
エージェントを利用しての転職成功のポイントは下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。
まとめ
保険業界のなかでも営業は大変な仕事のため、退職して別の仕事や業種に転職を考える方はあなただけではありません。
ただ転職するのであれば、同じ営業職かそれとは全く別の職種を選ぶのかは、明確にしておく必要があります。
転職先に選ぶとしても、これまで保険業界で磨いた能力を転職時に活かさないのはもったいないです。
また、同じ営業職への転職であっても転職エージェントに登録し、相談してサポートを受けると、より有利に転職をすすめることができるでしょう。
退職・転職には苦労も多いですが、「辞めたい」と感じた時点で仕事に対しての熱意は冷めていくため、すぐに退職・転職の準備を開始することをおすすめします。
在職中の転職活動については下記の記事で詳しく解説しています。
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