コロナ禍で廃業した飲食店も少なくはありません。
今回のように情勢が起因となって、予期せず店を畳まざるを得ないという可能性もあります。
飲食店を廃業する場合、「どのタイミングでやめるべきなのか」、「どのくらいの費用がかかるのか」など、様々な悩みが尽きません。
そんな悩みを解決するためにも、この記事を参考にしてくれると幸いです。
余裕を持って廃業するための「タイミング」は?
飲食店を閉店するのに大切なのは、やはりタイミングです。
閉店や撤退を先延ばしにしてしまうと、借金が膨らんでしまい、経営破綻してしまうこともあります。
このような事態を避けるためにも、閉店するタイミングをしっかり見計らう必要があります。
ベストタイミングでお店を閉め、手続きなどを滞りなく進めていきましょう。
お金を目安に考える
お金が尽きるまでの営業は望ましくないので、資金が底を尽く前に閉店しましょう。
様々な方法を試行錯誤しても売り上げが伸びないのであれば、店を続けることは難しいです。
苦渋の決断ではありますが、閉店の選択をしましょう。
お客さんが来なくても、人件費や家賃などの固定費は発生しますので、資金は減少していく一方です。
また、閉店にも資金が必要です。
改善でどれほど持ち直せるかを見極め、持ち直せない場合は閉店に必要な資金を把握しましょう。
時間にも気を配る
閉店をするためには、手続きが必要です。
閉店後の日本年金機構や公共職業安定所、労働基準監督署などの届出もしなければなりません。
そのほかにも、電気・ガス・水道局などへの解約の電話や、お世話になった常連はもちろん、他のお客様や仕入れ先の方々にも閉店のお知らせをしなければなりません。
それゆえに、閉店してから新しい場所でリスタートを切るのは数ヶ月ほど先になります。
飲食店の廃業にかかるお金
廃業を決めたら真っ先に賃貸契約書の内容を確認しましょう。
店舗を引き払うのに最もかかる費用が、原状現状回復工事費です。
賃貸契約書に定められている原状回復条項を把握しておきましょう。
原状回復にあたり、どの程度の工事が必要かで費用が変わってきます。
また、費用を無駄にしないためのスケジュール管理も大切です。
解約予告期間の家賃
賃貸契約書には解約予告期間が設けられています。
物件を解約する時は解約予告期間の確認をしましょう。
例えば解約予告期間が5ヶ月の場合、退去日の5ヶ月前には家主に伝える必要があります。
解約予告期間が長い場合、救済措置が設けられている契約もあります。
救済措置の有無を含め、きちんと賃貸契約書の確認をしましょう。
また、解約届は3ヶ月〜半年前に提出する必要があります。
期限をしっかり確認し、余裕を持って提出できるようにしましょう。
原状回復工事費
原状回復工事費は建物の構造によって費用は変わってきます。
一般的に、1坪あたり数万円から10万円程度かかることが多いです。
廃棄物の処分は、原状回復工事業者が引き受けてくれることがほとんどです。
しかし、自分で処理する場合は、処理費用も試算しておきましょう。
また、原状回復の状態の認識にズレがあるとトラブルになりかねません。
そのような事態を避けるためにも、内装工事の見積もりの際には、物件貸主・所有者や管理会社の人に立ち会ってもらいましょう。
保証金の償却費
保証金とは、入居時に家賃滞納の充てん用や、退去時の修復費用として貸主に預けるお金のことを指します。
保証金は、償却分を差し引いた金額が返金されます。
そのため、契約書に”保証金償却”が設定されていないか確認する必要があります。
10%〜20%、家賃の1〜2ヶ月程度が償却費になります。
しかし、償却割合には地域性があるため、契約書をよく確認しましょう。
「保証金を閉店する際の費用にしようと思っていたのに足りなかった」なんて事態にならないように、償却費のことは把握しておきましょう。
飲食店の廃業にかかる時間
閉店をする際は居抜きで明け渡す場合と、原状回復工事をする場合があります。
自分の店がどちらにあたるのか、しっかり知っておきましょう。
知っておくことで、閉店のタイミングや費用が変わってきます。
他にも、スケジュールに入れておくべき閉店準備は多数あります。
予定管理をすることで、スムーズな閉店作業が可能です。
居抜きで明け渡す場合
居抜きというのは、飲食店の設備を残したまま退去する方法を指します。
居抜きは費用がかからない上、譲渡益を得ることもできる場合もあるため、メリットは大きいです。
その場合は、次の借主を見つけてから貸主に交渉することをおすすめします。
物件を貸す側にとって、次の借りてがいないのにもかかわらず、居抜きとして明け渡しをするのはリスクが高いのです。
そのため、次の借り手が決まっている状態で明け渡した方が、スムーズに話が進みやすくなります。
原状回復工事をする場合
原状回復工事とは、その名の通り借りた当初の状態に戻すことです。
なにもないまっさらな状態で借りていて、そこから工事などをした場合は、原状回復を求められることがほとんどです。
その場合、かかる費用は業者によって10万円〜20万円の変動があります。
安く費用を抑えるには、複数の業者から見積もりを取る時間が必要です。
また、原状回復工事を行う場合、最も重要になるのは「解約予告期間」です。
原則、契約期間内に工事を終わらせることが決まりとなっているため、その期間をどう使うかがポイントになってきます。
飲食店の廃業後はどうする?
廃業したからといって、その先の道が途絶えたわけではありません。
飲食店経営で培ったスキルと料理の腕前を生かすことも、他の業種へ転職することも選ぶことができます。
閉店することをネガティブに捉えず、次へのステップのための経験としてポジティブに捉えましょう。
閉店して終わりではなく、経験を次に生かしましょう。
他業種へ転職
退職する前に次の転職先をあらかじめ決めておくことが重要です。
飲食業界から他業種へ転職を成功させるには、これまで培ってきたスキルを生かせる仕事や、未経験からでも活躍できる仕事を知っておきましょう。
飲食業界で培うスキルといえば、コミュニケーション能力やお客様に対する真摯な姿勢などです。
それらのスキルを持っていれば他業種でも十分通用します。
他業種へ転職することで、飲食店で働く悩みも払拭できる可能性もあるので、他業種への転職もおすすめです。
飲食業へ就職
今の職場ではなく、他の飲食業界へ転職するのも1つの手です。
飲食店は人手不足な店が多く、選択肢はたくさん広がっています。
そのため、待遇面や職場環境のより良い職場に移ることで、今抱えている悩みなどを解決できるかもしれません。
接客を通して大きなやりがいを実感できる飲食業界ですが、その反面大変なこともたくさんあり、悩みが尽きることはありません。
これまでの経験とスキルを生かして、他の飲食店へ転職することも考えてみてはいかがでしょうか。
飲食店の廃業後おすすめの転職先
転職活動は、廃業する前に進めておきましょう。
在職中の転職は時間が限られているので、効率的に動くことで転職活動がスムーズに進みます。
もうひとつのポイントとして、事前にスケジュールを立てておくことも忘れないようにしましょう。
スケジューリングを行い、活動を進めることで、自分のキャリアが開けてくるでしょう。
介護職
少子高齢化の進む日本では、介護業界の拡大に伴い、介護職が不足しています。
それゆえに積極的に採用が行われています。
年齢・経験関係なく転職できるのが、介護職の良いところでもあります。
介護職には入所型施設での仕事、通所型施設での仕事、訪問型介護事務所での仕事があります。
激務であるイメージの介護職ですが、『介護職員初任者研修』や『介護福祉士』、『ケアマネージャー』などの資格を取得することで、キャリアアップも目指すことができます。
営業職
飲食業界からの転職で最もおすすめなのは、営業職です。
営業職は未経験でも挑戦することができ、飲食で培ったスキルを思う存分生かすことができます。
飲食で評価されるコミュニケーション能力はもちろん、、マーケティング力やマネジメント力などは営業職でも評価されます。
また、ほとんどの業界では営業職を必要としているため、求人数は非常に多く、比較的転職しやすい傾向にあります。
営業職で求められるお客様に対する人当たりの良さも、飲食店での経験が生きてきます。
サービス・教育業
人を教育することが好きで、丁寧で正確な仕事ができる人には是非サービス・教育業をおすすめしたいです。
それ以外にも、人当たりの良さやトラブル解決力などが求められます。
サービス業・教育業に限った話ではありませんが、自分の強みや、やりがいを理解していると、どの職種に向いているのかが分かりやすくなります。
「人のために貢献したい」という方にも向いている職業です。
年代別に転職成功のポイントは下記の記事で詳しく解説しています。
本記事と合わせてぜひご覧ください。
まとめ
コロナ禍で畳む店が多いように、自身が望まない廃業や、廃業するか迷っていて手続きを躊躇してしまう場合もあると思います。
廃業時に慌てないよう、スケジューリングをしっかり管理することや、各書類の確認を怠らないようにしましょう。
転職においてもスケジューリングは大切です。
効率的に動くことで、自分の望む第2のキャリアが開けてきます。
異業種も視野に入れて、自分の望むキャリアをしっかりと歩んでいきましょう。
また、転職の際には転職エージェントを利用すると効率的に転職活動を行うことができます。
転職エージェントを上手く利用して転職する方法は下記の記事で詳しく解説しています。
ぜひご覧ください。